取材協力:バイク王つくば絶版車館
SR500/400が発売されたのは1978年、今(2025年)から47年も前のことだ。SRシリーズはオフロードバイクのXT500のエンジンとフレームをベースとして開発されたロードスポーツモデルであり、XT500ベースエンジンを積んだシマR&D製作のロードボンバーが1977年の鈴鹿6時間耐久レースに参戦して話題となっていた。
目次
XT500ベースのロードスポーツから、ネオクラシックへ
XT500をベースに開発されたSR500/400は、当初フロントにディスクブレーキを備えたロードスポーツとして展開されていたが、クラシックスタイルのカスタムベースとなることが多いためメーカーであるヤマハは1985年モデルでフロントブレーキをドラムに変更するという異例の仕様変更を行なった。この変更に至るもうひとつの原因としては、よりスポーツ性を強めたシングルバイクSRX600/400が同じ1985年に発売されたことも関係している。ヤマハとしてはスポーツ志向のユーザーにはSRXを、クラシック志向のユーザーにはSRをという戦略を立てたのである。
SRシリーズのベースとなったXT500。ドライサンプ式の空冷単気筒エンジンや、オイルタンクフレームなどを採用している。
1978年式の初代SR500はフロントにディスクブレーキが採用し、シングルエンジンを搭載したロードスポーツモデルとして登場した。
ダブルクレードルフレームや前後ディスクブレーキなどを装備し、600と400の二本立てで1985年に登場したSRX。
SRXは一定の人気を保ち、1990年にはセルフスターターや17インチホイールを備えた新型が発売されたが、このモデルはユーザーに受け入れられず1991年モデルで生産中止となってしまう。しかし、SR500/400はクラシックバイクブームに乗って売れ続け、マイナーチェンジを繰り返しつつ生産が続けられた。SR400は2001年モデルで排出ガス規制に対応するためにA.I.S(エアインダクションシステム)を装備し、フロントブレーキをディスク化するなどしたが、SR500については1999年モデルが最終モデルとなった。
1985年のモデルチェンジでフロントブレーキがドラム化されたSRシリーズは、ネオクラシックへと路線変更していく。
1998年モデルとして登場した「20th Anniversary」は、初代モデルのカラーリングを再現している。
SR500の生産中止後もSR400は排出ガス規制に対応して復活し、フロントブレーキがディスク化されるなどの変更が加えられた。
ストロークで排気量を調整した空冷単気筒エンジン
先にも触れたが、SR500は最初ディスクブレーキを装備していたが、1985年のモデルチェンジでドラムブレーキ化されている。この1985年のモデルチェンジで12Lだった燃料タンクが14Lのものに変更され、19インチだったフロントホイールが18インチに変更されるなど大幅に手が入れられた。その後も様々なマイナーチェンジが施され、燃料タンクは1997年に再度12L仕様へと変更されている。今回撮影したのは1998年に発売された20周年記念モデルで、発売当初のカラーリングを再現したディープレッドカクテル2というカラーリングを採用。本来サイドカバーにはゴールドで「SR500」のロゴが入るのだが、この車両はSRエンブレムに変更されているようだ。
今回撮影した1998年モデルは「ディープレッドカクテル2」で、ゴールドのラインが車体を引き締める初代の復刻カラーだ。
引き締まった印象を受けるリアビューは、SRが元々スポーツバイクであることを主張している。
ベースとなったXT500のエンジンはボア×ストロークが87×84mmの499cc、圧縮比が8.3で最高出力30PS/5800rpm、最大トルク3.9kgm/5400rpmというスペック。SR500にはボア×ストロークと圧縮比は同じだが、最高出力32PS/6500rpm、最大トルク3.7kgm/5500rpmと若干高回転・高出力化されて搭載された。SR400にはボア×ストロークが87×67.2mmの399cc、圧縮比が8.5で最高出力27PS/7000rpm、最大トルク3.0kgm/6500rpmとなる。一般的に同じエンジンをベースに排気量を変更する場合はボアで調整することが多いのだが、SRの場合はショートストローク化することでいわゆる中型の排気量に調整するとともに、より高回転なエンジンに仕立てられた。
ドライサンプ方式を採用したコンパクトな空冷のSOHC単気筒エンジンは、キックスタートのみとされる。
499ccのエンジンは最高出力32PS/6000rpm、最大トルク3.7kgm/5500rpm。400とはストロークの差で排気量が異なる。
SR500最大の魅力とも言えるのは、そのロングストロークが生み出すエンジンのトルクフィーリングであり、400と乗り比べるとそのキャラクターの差に驚かされる。また、SR500はスペックに変更はないが、初期モデルには俗に言う「重クランク」が組み込まれており、この重たいクランクの方がシングルらしいフィーリングが感じられると人気が高い。免許の関係もあるとは思うが、もしSRの購入を考えているのであれば、500と400を一度乗り比べてみることをおすすめしたい。
スリムな車体を生み出したオイルタンクフレーム
SR500/400はXT500のものがベースとなっており、エンジンがドライサンプのためフレームにオイルタンクを設けているのが特徴のひとつだ。XT500はオフロードモデルであるため、最低地上高を稼ぎつつコンスタントな潤滑を確保し、さらに運動性での優位を考慮してスリムさも追求した結果このオイルタンクフレームが採用されたという経緯がある。
フレームのメインチューブがオイルタンクを兼ねるため、ネック部分にオイルフィラーキャップが取り付けられる。
足回りは極めてベーシックな構成で、フロントに35mm径の正立タイプフロントフォーク、リアはスチール製のスイングアームとツインショックの組み合わせとなる。ホイールはスポークタイプの18インチが1985年から採用されており、ブレーキもこの年式から前後ドラムとなっている。クラシカルなイメージを強めるフォークブーツが採用されたのも1985年式からで、とにかくこの1985年がSRというバイクの大きなターニングポイントとなっている。
フロントホイールは1985年から18インチのスポークタイプが採用される。それ以前は19インチで、キャストホイールも存在した。
スチール製のスイングアームやメッキ仕上げのチェーンカバーなど、リア周りは重厚感のあるパーツが採用されている。
スポーツバイクという当初のコンセプトをネオクラシックへと変更したことこそ、SRというバイクが40年を超えるロングセラーバイクとなった最大の要因であったと言わざるを得ない。SR500の生産中止後もSR400は生産が続けられ、2010年にはフューエルインジェクション化、2017年に一度生産が終了するが、2019年モデルとして復活し2021年モデルまで生産が続けられた。
最終的にSR400はインジェクション化され、一時的な生産中止などの後、2021年のファイナルエディションをもってその歴史に幕を下ろした。
SR500主要諸元(1998)
・全長×全幅×全高:2085×735×1080mm
・ホイールベース:1140mm
・シート高:790mm
・車両重量:170kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒499cc
・最高出力:32PS/6000rpm
・最大トルク:3.7kgm/5500rpm
・変速機:5段リターン
・燃料タンク容量:12L
・ブレーキ:F=ドラム、R=ドラム
・タイヤ:F=3.50-18、R=4.00-18
・価格:45万5000円(税込当時価格)
撮影協力:バイク王つくば絶版車館
あらゆるジャンルの絶版車が揃うショールーム。カラーリング違いなども数多くストックされ、好みの1台が見つかるはずだ。
住所:茨城県つくばみらい市小絹120
電話:0297-21-8190
営業時間:10:00~19:00
定休日:木曜日
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「この重たいクランクの方がシングルらしいフィーリングが感じられると人気が高い」
これ本当ですか?!