文/写真:横田和彦
「ダカールラリーを走破する性能を持つバイク」。そう聞き、大柄で腰高な姿を見ると思わず身構えてしまう。カッコイイけど、乗れるかな…という不安を払拭してくれたのは総輸入元である(株)バトントレーディングの大塚代表。「気軽に乗ってきてください」の声に押されて走り出すと…あれ、普通に乗れるぞ!?
目次
キャッチコピーは「ダカールスペックを公道で」
ダカールラリーといえば、「世界一過酷なモータースポーツ」といわれるほど高い難易度を誇る競技。多くのオフロード好きに好きな人にとって憧れであり、叶うならば走ってみたいと思う夢の舞台だと言えよう。そんな過酷なステージを走破するマシンは、各メーカーが威信をかけて生み出した特別仕様車で、一般のライダーにとっては雲の上の存在。ダカールラリーを走り抜けることができる性能を持つバイクに乗ることは、オフロードライダーにとって大きな願望のひとつだろう。
そんな叶わぬと思われた夢が現実になる。ダカールマシンに限りなく近い市販モデルが中国からやってきたのだ。メーカー名はKOVE-MOTO(コーベモト)、マシン名は450RALLY(ラリー)だ。
KOVE 450RALLY 価格(税込)138万円 ※写真はスタンダード仕様
成長著しいアジアメーカー。その筆頭ともいえるKOVE
中国と聞いて眉をひそめる人もいるだろう。確かに、これまで彼の国で生み出された工業製品は品質に大きなバラつきがあった、しかしバイクの世界では変化が起きている。アジア諸国全体の技術レベルが上ってきているのだ。事実、日本の4メーカーでも多くの小・中排気量車はアジア諸国で生産されている。個人的には、今や生産国で判断する時代ではなくなったと考えている。どこの誰がクオリティコントロール(品質管理)をしているかが重要だと思うのだ。
ではKOVE-MOTOとはどんなメーカーか。設立は2017年とかなり若いブランドだ。開発から製造、販売までを一貫して行っていて、本国ではアドベンチャーモデルやネイキッド、フルカウルモデルなどの大排気量車を中心にラインナップ。2021年には年間生産台数2万台を超え、300cc以上の大型モデル販売台数は中国で4位だという。ラリーのほかロードレースにも参戦するなど、世界的にも注目が高まってきているメーカーといえよう。
KOVEは2017年設立の新興メーカーだが、各地のラリーに参戦し、着実にその品質への信頼実績を積んできた。
未舗装路での高い走破性能と、市街地での扱いやすさのバランスを追求
ひと目見れば分かる通り、450RALLYはそのまま砂漠を走っていきそうなスタイルと装備を誇っている。眼の前にすると迫力がある。筆者は身長165cmで、日本人体型だ(要は足が短い)。正直に言うと、大柄なアドベンチャーモデルはやや苦手。スタンダード仕様で960mm、ローダウン仕様でも910mmのシート高は、それなりに手強さを感じる。それでもローダウン仕様なら片足のつま先1/3ほどを接地させることができる。
シート高はローダウン仕様でも910mmと足つきは手ごわいが、軽量で支えるのは苦にならない。
なにより助かるのは車重が軽いこと。乾燥重量145kgというスペックは250ccトレール並。支えるのが苦にならない。といっても30リットル入る前後のガソリンタンクをフルにすると感覚は変わるのだろうが、それでも大型免許カテゴリーのバイクとしては軽量な部類だと言えよう。
想像以上にフレンドリーなエンジン特性
水冷・単気筒エンジンを始動。ブリッピングすると軽々と吹け上がる。公道仕様とあってマフラーから吐き出されるサウンドは、歯切れ良いが抑えられている。クラッチをつなぐと大柄な車体がスルスルッと動き出す。車体の雰囲気から“力強いトルクでガツガツいくフィーリング”かと思いきや、想像以上に滑らかにトルクが生み出されてスムーズに走る。まるで競技用車のようなルックスなのに、街で車の流れに乗っていてもストレスは感じない。ちょっと驚きだ。
車体は大柄だが滑らかなトルク、軽い挙動は街乗りでもストレスは感じない。
座っている位置が高いので感覚も独特。交差点では高い位置にあるハンドルに軽く入力しただけでスッと車体がバンクしていく。重心位置の関係か、あまり経験したことがないハンドリングだ。ここでも軽量な車体がプラスとなり挙動は想像以上に軽く素直。S字での切り返しなども、体全体を使うようにすると大柄な車体がスムーズに動いてくれる。このフィーリング、慣れてくるとオモシロイぞ!
結論:普通にツーリングにも使えるバイクだった!
ラリーの世界からそのまま抜け出してきたようなスタイリングのKOVE 450RALLY。ラリーに興味がある人にとってはたまらなく魅力的な姿だ。それが思いの外、フレンドリーなエンジン特性であることに驚いた。さすがにシート高は高いが、それさえ許容できるなら普通にツーリングに使うこともできると感じた。そのときは30リットルを誇るガソリンタンク容量が広大な航続距離を実現してくれるだろう。オフロードファンにとって新たな選択肢となるモデルだと感じた。
ラリーの世界感そのままのスタイル、フレンドリーなエンジン特性はツーリングも普通に楽しめそうだ。
ディテール解説
近年のラリーモデルのトレンドであるフロントカウル形状を踏襲。防風効果は高く、ライダーの疲労を軽減してくれる。デュアルヘッドライトの配置が個性的だ。
液晶メーターを備えたコックピットは、ほかにあまり例がない雰囲気。バーハンドルは振動抑制効果をねらってラバーマウントされている。
液晶メーターはシンプルなスクエアタイプ。見やすく配置されているので情報は把握しやすい。
倒立式のフロントフォークはフルアジャスタブルタイプ。サスストロークはスタンダードが305mm、ローダウンが260mmと悪路走行に十分なもの。
肉抜きされたフローティングローターとピンスライド式の2ポットキャリパーとの組み合わせで必要十分な制動力を生む。
フロントのガソリンタンクは左右分割式。エンジンの横まである縦長でスリムに仕上げてある。容量は各7リットル。
ラリーモデルらしくリヤにも容量16リットルのガソリンタンクを搭載。フロント左右とあわせて30リットルを確保している。
水冷・単気筒450cc・ DOHCエンジンはZongshen製。パワーフィーリングは市街地でも扱いやすい滑らかなもの。
跳ね上がったサイレンサーが競技用車らしい。排気音は歯切れよいもの。ヒートガードも装備されている。
ステップバーはオフロード走行を見据えた滑り止めがついたもの。リヤブレーキマスターはリザーバータンク一体型。
リヤのディスクローターも肉抜きされた軽量なもの。キャリパーは1ポット。前後にABSを備えている。
リヤサスペンションのストロークはスタンダードで300mm、ローダウン仕様でも250mm確保。スタンダードとローダウンの違いはサスストロークのみでリンクなどは共通だ。
【問い合わせ】
株式会社バトンTrading
TEL:090-7230-3674
URL:https://www.kove-japan.com
450RALLY(2025)主要諸元
※カッコ内は 450RALLY ローダウン ・車両サイズ:全長2,190mm (2,175) ✕全幅805mmx全高1,420mm(1,380)・ホイールベース:1,490mm (1,475mm)
・シート高:960mm (910mm)
・車両重量:145kg[乾燥]/170kg[車両総重量(ガソリン含)]
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒 449cc
・最高出力:31kW [42PS] / 9,000rpm
・最大トルク:35N • m [14.0kgf • ml] / 6,500rpm
・燃料タンク容量:30L(フロント14L、リア16L)
・変速機形式:常時噛合式6段リターン
・タイヤ:前90/90-21 後140/80-18
・ブレーキ:F/シングルディスク・デュアルピストンキャリパー ABS R/シングルディスク・シングルピストンキャリパー ABS
・価格(税込):138万円(税込) ギャラリーへ (17枚)
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