アグレッシブなデザインのフルカウルを装備しているから、スーパースポーツ?という印象を抱く人がいるかもしれない。とはいえ、GSX-8Sの兄弟車として開発されたGSX-8Rは、さまざまな場面に過不足なく対応できるスポーツツアラーなのだ。
REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)
ハイフンとRの位置で異なるキャラクター
スズキマニアには周知の事実だけれど、“GSX-R”と-Rが付かない“GSX”は方向性が異なっている。GSX-Rがサーキットを重視、あるいは、多分に意識しているのとは異なり、GSXはストリートでの扱いやすさが大前提。そしてハイフンとRの位置から推察すると、2023年3月にデビューしたGSX-8Sの兄弟車として、2024年1月から発売が始まったGSX-8Rは、後者に該当するものの……。
スーパースポーツのGSX-R600/750/1000がカタログから姿を消した現状を考えれば(ただし北米市場では、2024年も並列4気筒を搭載する3種のGSX-Rを継続販売中)、それらの代替機種と言うべき特性になっていても不思議ではない?
試乗前の僕はそんな想像をしていた。具体例を挙げるなら、ヤマハがMT-07の派生機種であるYZF-R7で行った大改革に通じる手法で、日常域重視の特性からサーキットや峠道で真価を発揮する乗り味に、つまりネイキッドからスーパースポーツに、劇的な変身を遂げているんじゃないかと。でも実際にGSX-8Rを体験しての印象は、GSX-8Sのスポーツツアラー仕様で、SとRの関係はカワサキのZ650とニンジャ650的。
まあでも、カワサキのミドルパラレルツインは、世界中で堅実なセールスを記録しているのだから、スズキの選択に異論を述べるべきではないのだろう。
情報提供元 [ モーターファンバイクス ]
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