
2013年に登場したBMWのR nineTはBMWモトラッドの伝統的なスタイルを現代的に解釈し、大ヒットモデルとなった。BMWのレガシーを受け継いだこのネオクラシックラインの成功は、より大排気量のR18系を生み出してBMWモトラッドのラインナップを強化した。2024年モデルとしてR nineTはフルモデルチェンジによって「R12 nineT」となり、「R12」というクルーザーモデルもラインナップされていている。
伝説の「R90S」が現代に復活する
BMWのレガシーを色濃く受け継いだR12 nineTだが、ここにきてより強くその血を受け継いだバリエーションモデルが発表された。「R12S」と名付けらたこの新型モデルは、1973年に最高出力63PS、最高速度200km/hという当時としてはハイスペックを誇った「R90S」がモチーフになっている。当時のチーフ デザイナーであるハンス A. ムートの手によるR90Sのデザインは、量産バイクとしては世界初となる空気力学に基づいて設計されたハンドルバーフェアリングを備え、エンジンには赤い「90」のエンブレムが刻まれていた。
オレンジとシルバーの印象的なカラーリングを纏った、カフェレーサースタイルは道ゆく人の目を奪うだろう。
R90Sはレース様々なレースへと参戦して結果を残したことでもその名を知られる。マン島のプロダクションTT では、ハンス-オット・ブテヌートとヘルムート・ダーネが1976年にクラス優勝。同年、スティーブ・マクラフリンがデイトナ200マイルで優勝し、チームメイトのレグ・プリドモアは史上初のAMAスーパーバイクチャンピオンに輝いた。
マン島の最も有名なジャンピングスポット「バラフブリッジ」で大ジャンプを見せる、ヘルムート・ダーネが駆るR90S。
AMAスーパーバイクには1000ccの102PS仕様でチャレンジ。ゼッケン163がレグ・プリドモア、ゼッケン83がスティーブ・マクラフリンだ。
R12SはこのR90Sの意匠を各部に受け継いでおり、そのカラーリングは1975年のR90Sに採用されていた「デイトナオレンジ」をイメージさせるものだ。ハンドルバーマウントのコックピットフェアリングやステッチ入りのスペシャルシート、サイドカバーには赤で「S」のエンプレムが刻まれている。
シルバーとオレンジのバーストカラーに、レッドのダブルラインが入る「デイトナオレンジ」。赤くマークされた「90」も印象的だ。
R12Sに採用されたR90Sの「デイトナオレンジ」のオマージュしたこのカラーは、「ラバオレンジメタリック」と呼ばれる。
シングルシートやハンドルバーマウントのコックピットフェアリングが装着され、よりレーシーなイメージを強めたR12S。
左2本出しのエキゾーストシステムや、バーエンドミラーなどがスポーティさを引き立てる。
フラットツインエンジンの存在感と、それを引き立てる印象滝なカラーのボディワークが独特の存在感を醸し出す。
美しい曲線で構成されたコックピットフェアリングは、スモークタイプのスクリーンが標準で装備されている。
スタイリッシュなシングルシートカウルに、オレンジのステッチが入ったスペシャルシートがマッチする。
サイドカバーに入る「S」のエンブレムは赤く塗られており、このバイクのスペシャル感を演出している。
スペシャルな装備がその魅力をさらにアップ
エンジンはR12系の空油冷DOHC4バルブ水平対向2気筒の1169ccで、ヘッドカバーなどをブラックアウトしたスペシャル仕様。ホイールはワイヤースポークタイプの719 クラシック II ホイールを標準装着し、各部はブラックアウト仕上げされている。また、ヒルスタートコントロールやシフトアシスタントプロ、グリップヒーター、クルーズコントロールを含むコンフォートパッケージが標準装備されている。さらに、コーナーでの道路の照明を向上させるアダプティブコーナリングライトヘッドライトプロも装備され、夜間走行時の安全性も高められている。
エンジンの詳細はスペックは発表されていないが、基本的にはR12系の空油冷式DOHC4バルブ水平対向2気筒1169ccがベースとなる。
ホイールはワイヤースポークタイプの719 クラシック II ホイールを標準装着。ブレーキキャリパーはブレンボ製となる。
ヘッドライトはLEDタイプで、アダプティブコーナリングライトヘッドライトプロが標準装備されている。
R12SはBMW R12nineTをベースにしているため、チタン製排気システムやソフトバッグ、ナビゲーションシステムなどのすべてのアクセサリーを使用することがとうぜん可能となる。さらに、タイヤ空気圧コントロール(RDC)や盗難防止アラームシステム(DWA)、インテリジェント緊急コール、コネクテッドライドコントロール、マイクロTFTディスプレイタイプを備えたメーターなどの追加ファクトリーオプションにも対応している。
ハンドルバーは低めに設定されている。ボリューム感のあるタンクのラインも魅力的だ。
メーターはクラシカルなデザインの2眼タイプが標準となるが、マイクロTFTディスプレイもファクトリーオプションとして用意される。
日本仕様はまだ発表されていないが、ファクトリーオプションなどが全て装備されたモデルがラインナップされる可能性が高いだろう。いずれにしても非常に魅力的な装備が満載されたR12Sだけに、多くのBMWファンが興味を持つことは間違いない。早期の日本への導入を期待したい1台だ。
1970年代を代表する名車と言えるR90Sは、BMWモトラッドのレガシーとも言える存在だ。
R90Sを現代の技術とデザインで蘇らせたR12Sは、BMWモトラッドの新たな歴史を作っていく1台になるだろう。
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R100RSも発売して欲しい
BMWのRシリーズ好きなんだけど、街の小さなバイク屋さんとかでも整備とかしてもらえれば良いんだけどね。結局は、モトラッドのお世話にならんといかんのが、何ともね…。まあ、お金に余裕があれば問題無いんだけどね。
新型R1300GSのパニアケースが出荷されないまま1年近く放置されており、お詫びの連絡ひとつない。そのため今年は一度もツーリングに使えず何のために購入したのか分からない。そんなユーザー軽視のBMWなど信用してはならない。
わざわざ見難いバーエンドミラーを採用する意味はなんだろう?
通常のミラーでは何か不具合があるのだろうか?