電動二輪市場への参入を本格化してきているHondaは、電動スクーター「ACTIVA e:」「QC1」2車を二輪車のビッグマーケットであるインドで発表した。ACTIVA e:は交換式バッテリーのモデルで、QC1は固定式バッテリーのモデル。好みの用途やシチュエーションに応じて選択が可能となっている。インド専用モデルで日本導入はない予定だが、さらに実用的になった電動スクーター開発のノウハウが日本モデルへフィードバックされることを期待したい。

ACTIVA e: 量販モデルから最新電動スクーターに進化を遂げた

ACTIVA e:は、インド市場全体、また、Hondaの二輪車においても最量販モデルで、年間約250万台を販売する「ACTIVA」のボディー・フレームをベースに新規開発し、交換式バッテリーHonda Mobile Power Pack e:を、動力源として2個搭載した排気量110cc相当の電動コミューターモデルである。

 

 

 

 

Honda Mobile Power Pack e:を2個搭載することで高出力・航続距離を確保

動⼒⽤電源には、交換式バッテリーのHonda Mobile Power Pack e:を2個使⽤。Honda独自開発の自社製ホイールサイドモーターを採⽤し、定格出力4.2kW(5.6hp)、最大出力6.0kW(8hp)を発揮する。また磁気回路と構造の最適化により高効率化を図ることで、日常の使い勝手に十分な航続距離102kmを実現している。インドネシア・ヨーロッパでは、Cuv e:では航続距離は70kmと発表されていたばかりだが、こちらはそれと比較し、航続距離が32kmも伸びている。

 

 

Honda e:Swap インド主要3都市でバッテリーが交換できる画期的サービスを伴い販売

ACTIVA e:は、インドの主要3都市(ベンガルール、デリー首都圏、ムンバイ)で2025年春に販売する予定である。この3都市においては、Honda Mobile Power Pack e:を用いたバッテリーシェアリングサービスHonda e:Swapを同時に提供する。これは、最寄りのステーションでフル充電されたバッテリーと交換できるので、バッテリー切れの不安や、充電の待ち時間から解放され、より安心で実用性を高めてくれるサービスだ。

日本でもホンダから「EM1 e:」という電動スクーターが販売されており、これもHonda Mobile Power Pack e:を搭載している。しかし、航続距離は53km、満充電までの時間は6時間と、外出先での電池切れも不安だ。日本国内ではENEOSと共同した「Gachaco(ガチャコ)」ステーションでバッテリーシェアが進んでいるが、2024年11月時点では東京、大阪の限られた場所のみに設置されている。今後はインドと同様、主要都市での普及を期待したいところだ。

 

リバースモードやHonda RoadSync Duoなど最先端の機能満載

デザインは、一目で電動二輪車とわかるシンプルなスタイリングと、フロントコンビネーションライトおよびリアコンビネーションライトやウインカーをLED化することで先進性を演出している。
さまざまな走行シチュエーションや好みに応じて、3つの走行モード(STANDARD、SPORT、ECON)から選択ができ、駐車時に便利なリバースモードも搭載している。

さらに、バイクとスマートフォンをBluetooth接続することで、通話やナビゲーション機能などを利用できるHonda独自のサービス、Honda RoadSync Duoを装備したタイプも設定している。新しいHonda RoadSync Duoインターフェイスは、天気予報、近くの充電ステーションに関する情報、安全警告、盗難防止、リアルタイム追跡も提供する。さらに、ハンズフリー通話や音楽再生もシームレスに行え、ディスプレイには発信者名、曲名、アーティストが表示されるなど、利便性がさらに向上した。Honda RoadSync Duoの最大の利点は、購入後も更新し続けるOTAソフトウェアアップデートが可能なことで、ドライバーは常に最新の機能にアクセスできる。Honda RoadSync DuoについてはヨーロッパのCuv e:でも発表があったのでHondaの電動二輪車のサービスとして定番になっていくことだろう。

 

 

 

5色のカラーバリエーション

 

 

パール・シャロウ・ブルー

パール・シャロウ・ブルー

 

マットフィギイ・シルバー・メタリック

マットフィギイ・シルバー・メタリック

 

パール・ミスティ・ホワイト

パール・ミスティ・ホワイト

 

パール・ナイトスター・ブラック

パール・ナイトスター・ブラック

 

主要諸元(Honda RoadSync Duo搭載モデル)

・全長×全幅×全高:1854×700×1125mm
・ホイールベース:1310mm
・シート高:675mm
・車両重量:119kg
・エンジン:電動モーター
・最高出力:6kW(8ps)/-rpm
・最大トルク:-N・m/-rpm
・変速機:-
・ブレーキ:F=ディスク、R=機械式ドラム
・タイヤ:F=90/90-12、R=110/80-12

QC1 スペックは標準的ながら固定式バッテリー搭載の実用モデル

QC1は、これまでHondaが培ったガソリン車の技術やノウハウ、信頼性を踏襲したモデルで、通勤通学など日常の近距離移動に最適な動力性能を実現するとともに、経済性重視のユーザーへの最適な選択肢として、インド市場専用に2025年春に投入するモデルである。動力用電源には、高いエネルギー密度と長いサイクル寿命を実現するバッテリーセルを採用した、1.5kWhの固定式バッテリーを搭載。専用充電器による家庭での充電が可能となる。

 

 

 

最高速度50km/hのスペックで80kmの航続距離を達成

後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用し、定格出力1.2kW(1.6hp)、最大出力1.8kW(2.4hp)と原付一種なみの動力性能となっている。またパワーコントロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、一充電あたりの航続距離は80kmを達成。クリーンで静かな走行を可能にしている。公表されている最高速度は50km/h。

 

 

 

オール電化のスクーターらしい装備を標準採用

安心感と先進性を共存させたデザインとし、ヘッドライトは凹凸のないフラッシュサーフェスデザインとするとともに、アイコニックな表情を演出。また灯火器には、夜間走行時の安心感にも貢献する高輝度なLEDを採用している。メーターには、5インチの液晶メーターを採用。スピードメーターに加え、バッテリーの残量表示などさまざまな情報をシンプルに表示することで利便性を高めている。シート下には、ヘルメットを収納するスペースの他、小物の収納が可能なラゲッジボックスを確保。また、フロント部内側にはフロントインナーラックと、携帯端末の充電にも便利なUSB Type-Cソケットを標準装備。日常で使い勝手のよい機能を備えている。

 

 

 

5色のカラーバリエーション

 

パール・セレニティ・ブルー-1

パール・セレニティ・ブルー-1

 

パール・ナイトスター・ブラック

パール・ナイトスター・ブラック

 

パール・ミスティ・ホワイト

パール・ミスティ・ホワイト

 

マット・フォギー・シルバー・メタリック

マット・フォギー・シルバー・メタリック

 

主要諸元

・全長×全幅×全高:1826×701×1129mm
・ホイールベース:1275mm
・シート高:675mm
・車両重量:89.5kg
・エンジン:電動モーター
・最高出力:1.8kW(2.4ps)/-rpm
・最大トルク:-N・m/-rpm
・変速機:-
・ブレーキ:F=機械式ドラム、R=機械式ドラム
・タイヤ:F=90/90-12、R=90/100-10

HONDAのカーボンニュートラル実現へ!電動二輪市場への参入を本格化してきた

ACTIVA e:とQC1は、両モデルともインド国内での生産を予定。それぞれの地域のニーズに応じて適切な場所で生産をするホンダの戦略だ。また、電動コミューターのラインアップの強化により、Honda Mobile Power Pack e:搭載モデルのみならず、固定式バッテリー搭載モデルも加わることで、今後も顧客ニーズに応じて多様な選択肢を増やし、電動二輪車をより身近なものにしていく見通しだ。

Hondaは、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルを実現することを目指す。2040年代には全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標とする。この目標を達成するため、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化に取り組んでいる。2024年を電動二輪車のグローバル展開元年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化。2026年までを市場参入期、2026年から2030年を事業拡大期、2030年以降を事業本格拡大期と位置付け、戦略的に電動二輪車の市場投入を推進している。

今回発表したACTIVA e:とQC1は、「2030年までに、グローバルで電動モデルを30機種投入」における、それぞれ12機種目、13機種目に相当し、目標に対して着実に歩みを進めている。

 

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