
2027年からMotoGPマシンの排気量が850ccにスケールダウンすることが決まっている。すでにホンダが新型マシンを開発していることを明らかにしているが、ヤマハも850ccエンジンを準備しているようだ。
こだわりの並列4気筒から脱却か
MotoGPは2002年に従来の2ストローク500ccエンジンから4ストロークに移行した際に誕生したクラス。当初は990ccまでの排気量だったものが2007年から800ccに引き下げられ、2012年から現在の1000ccに拡大している。そして、2027年からは850ccに再び縮小される。
ヤマハはMotoGPクラスにYZR-M1を投入し、一貫して並列4気筒エンジンを採用し続けてきた。その理由は市販車両とのイメージの共通化と当初は言われており、決して有利とは言えないエンジン型式でもその可能性を極限まで追求してこれまでタイトルを獲得してきた。
YZR-M1の大きな転機は、2004年にバレンティーノ・ロッシ氏を迎え入れるのと同時にエンジンが不等間隔爆発になったことだろう。甲高い排気音を奏でる等間隔爆発の並列4気筒エンジンとは異なり、YZR-M1がV型4気筒エンジンに似たサウンドになったことにファンは驚いたのだ。
ただし、直4でありながらV4のような特性を併せ持つエンジンには不利な面もあり、バランサーを備えることでパワーのロスが生じてしまう。一方、ホンダやドゥカティが採用する90度V型4気筒エンジンはこの点で有利となるが、ついにヤマハもV4でこれを克服するかも知れない。
予想される登場時期は2027年。モトGPのレギュレーションが変更されるタイミングで新たにV型4気筒エンジンを採用するというウワサだ。となると、YZF-R9の上位機種として、本気のヤマハV4レプリカの登場を期待してしまうが、気が早すぎる!?
2001年に撮影された開発中のYZR-M1。YZR500のフレームに4ストローク並列4気筒エンジンを搭載しており、排気量はフルスケールの990ccより小さかったと言われている。
2003年シーズンのYZR-M1のエンジン。ケースは削り出し。フラットバルブのスロットルボディが目に付くが、当初YZR-M1はキャブレターを使っていたという名残かも知れない。
YZR-M1に大変革が起きたのが2004年。4バルブ化とともにUneven firing order(不等間隔爆発)を採用した。後のYZF-R1(2009年~)で採用されたクロスプレーンクランクだ。
2005年のYZR-M1のエンジンはより前後長を短縮。この頃は逆回転クランクシャフトの4軸構成と言われていた。軸が増えるということはパワーが食われるデメリットもある。
ロッシが加わり不等間隔爆発のエンジンを採用したYZR-M1はホンダを圧倒する強さを発揮。2006年は990cc最後の年となるが、ホンダRC211Vが新世代に進化することで逆転を許した。
ロッシは、ホンダRC211Vで2連覇した後、ヤマハに移籍してYZR-M1で2連覇を果たした。ライダーとしての実力をアピールするとともにヤマハの競争力強化にも貢献した。
こちらは2024年のミラノショーで発表された中国CFMOTOの997ccV4エンジン。振動対策で有利な90度V型を採用している。ヤマハとは中国で合弁しているだけに関連性が気になる。
幻のヤマハV4レーサーYZR1000(OW34)が50年の時を経て復活!?
ヤマハでV型4気筒と言えば真っ先に思いつくのはVMAXだろう。Vブーストを搭載したエンジンは当時世界最高の145PSを発揮して世界を震撼させた伝説のモデルだ。一方、マッスルクルーザーとは対照的な存在のレーサー「YZR1000(OW34)」はあまり知られていない。
1977年の東京モーターショーに参考出品されたYZR1000は、90度V型4気筒エンジンに先進のフューエルインジェクションを搭載して135PSを発揮。最高速は275km/hと発表されたプロトタイプの耐久レーサーだった。そして、元々は並列4気筒で検討されていたものが、V4に変化したという開発過程も2027年の展開に近いかも知れない。
このV4エンジンは001というコードネームを与えられ、後にホンダNR500の楕円ピストン&8バルブに対抗する500ccV型4気筒7バルブの001Aに進化。さらに、TT-F1レースに対応した750cc並列4気筒5バルブの00V、00Mへと受け継がれ、1985年のFZ750として市販されたのだ。
モトGPが850cc化される2027年は、ヤマハ4ストロークスポーツエンジンの祖と言えるYZR1000から50周年にあたる年。原点回帰して新たにV型4気筒で内燃機関の可能性を追求するのに相応しいタイミングと言えるだろう。続報に注目して欲しい。
YZR1000(OW34) [YAMAHA] 1977年の東京モーターショーに参考出品された幻のV4レーサー。アッパーカウルはどことなくXSR900GPに似ている。
1980年代にホンダがV型4気筒に傾倒する以前から、ヤマハは水冷90度V型4気筒エンジンの開発に取り組んでおり、もし実戦投入されていれば歴史が変わっていたかも知れない。
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スクープといいつつ
〜か?
って、おかしくねー?
2027年からヤマハはV4で参戦決定!
という確定をスッパ抜いてるなら
それはスクープだ。