ヤマハが来春海外発売をアナウンスしている新型スーパースポーツ「YZF-R9」。その姿が初公開されたスペイン・ヘレスサーキットにて、スーパースポーツ世界選手権(WSSP)チャンピオン2人がコースをテストラン。公の場でYZF-R9が走行シーンを見せたのは世界初のことだ。
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R6から世代交代! 次世代ヤマハSSが公の場で初走行
YZF-R9は、ヤマハのスーパースポーツ(SS)シリーズYZF-Rにこの秋追加された新型スーパースポーツだ。890ccクロスプレーン3気筒(CP3)エンジンを搭載し、新設計の専用フレームやYZF-R1と同等のサス&ブレーキ、ヤマハ公道モデル初のウイングレット付きフルカウルを装備。排ガス規制などの理由で2025年モデルを最後に姿を消すYZF-R1に代わる、新たなヤマハのトップモデルSSとなる。
そんなYZF-R9がオフィシャル発表されたのは、10月20日に開催されたワールドスーパーバイク(WSBK)最終戦の会場となるスペイン・へレスサーキット。そこで新型R9は、初めてその存在とディテールを初公開した。さらに来年度のスーパースポーツ世界選手権(WorldSSP)への参戦発表と、その参戦マシンとなるレース仕様モデルも登場。ファンを大いに沸かせた。これまでWSSPにヤマハは「YZF-R6」で参戦を続けており、その後継機の発表ともなったのだ。
この発表に合わせ、1999年WSSPのチャンピオン・ジェームス・ウィサムと、2024年のYZF-R6最終戦を優勝で飾った・ステファノ・マンツィが、それぞれ公道用とレース仕様のYZF-R9に乗り込み、ヘレスサーキットをテストラン。ウィサムはR6による最初のチャンピオンであり、マンツィは最後のチャンピオン。それぞれがヤマハスーパースポーツの世代交代を代表し、公の場でR9を走行する最初の人物となった。
R6最初のチャンピオン・ジェームス・ウィサム『これは素晴らしいトラックデイバイクになるだろう』
「ピットレーンに立っていたとき、マンツィが私に『R6で何年に勝ったの?』と尋ね、私は『1999年』と答えた。マンツィは『私はその年に生まれたんです!』と笑った。その言葉を聞いて、自分がかなり年を取ったと感じただけでなく、新しいR9を初めてトラックに乗せるという、この瞬間がいかに重要なものだったかがわかった。R6は、ヤマハのスーパースポーツクラスの挑戦者であり続けてきた。25年もの間、永遠に感じられるほどだ!
正直に言うと、招待してもらって本当に光栄だったよ。1999年に私が優勝したときのことは、誰も覚えていないかもしれないとも思ったけど……本当に素晴らしいイベントだった。ヤマハは素晴らしい仕事をしたと言わざるを得ない。正直に言うと、R6の後継機開発は難しいと思っていたが、R9は見た目からも本物のスポーツバイクにしか見えなかった。だから乗るのがとても楽しみだった。
もちろん、1周も走れはしなかった。グリッドからスタートして、最後のコーナーでピットレーンに戻ったので、パレードラップのような感じ……新しいタイヤを履いていたから、R9の乗り心地をここで正確に語ることはできないけど、まず気付いたのは音。グリッドを離れたときの公道用モデルの音は素晴らしかったけど、マンツィのWSSP仕様の音は驚異的だ。トリプルの音には、やる気を起こさせる何かがあるんだ。
バイクについてはあまり多くは語れない。来年のプレス向け試乗まで取っておかなければいけないからだ。ただ、感触はぴったりだということは言える。ライディングポジションはスポーティで、軽くて機敏な感じ。最初に思ったのは、『これは素晴らしいトラックデイバイクになるだろう』ということだ」
YZF-R9についての試乗コメントが発表されたのはこれが初めて。市販モデルに関するディテールやスペックは既に発表されてはいるが、実際のフィーリングがどういったものかは、続報を待つほかない。しかし、その日本発売が2025年春以降であることも既に発表済。次世代スーパースポーツを心待ちにしている日本のファンが触れられる日はもうすぐだ!
WSSPには全日本新チャンピオン岡本選手が参戦決定済!
このYZF-R9が投入されるWSSPは、公道用バイクをベースにしたマシンで行なわれる世界大会。出場できるマシンのレギュレーションは4気筒600cc以下、3気筒675cc以下、2気筒750cc以下の4ストロークエンジン機のみだ。しかし近年はベースとなるモデルが減少しており、トライアンフの765ccのストリートトリプルRSやドゥカティの955ccのパニガーレV2などが性能を調整して参戦。ヤマハはYZF-R6にて長年エントリーを続けており、2017年から2022年までは6年連続でチャンピオンを獲得していた。
マシンがYZF-R9へ一新する2025年には、今年全日本ロードレースJSB1000クラスで新チャンピオンとなった岡本裕生選手が、「Pata Yamaha Ten Kate Racing WorldSSP Supported Team」からフル参戦することが発表されている。ヤマハが2022年以来失っているチャンピオンの地位を復活できるか、来シーズンはレースファン注目の熱い展開となりそうだ。
YZF-R9(2025)主要諸元
・全長×全幅×全高:2070×705×1180mm
・ホイールベース:1420mm
・シート高:830mm
・車重:195kg
・エンジン:水冷4ストローク直列3気筒DOHC4バルブ 890cc
・最高出力:119PS/10000rpm
・最大トルク:9.5kg-m/7000rpm
・燃料タンク容量:14.0L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=180/55ZR17
・価格:未発表
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タイトルに試乗と書いてるが試乗してない。
誤解を招くタイトルはいかがなものかと