ホンダのミドルクラスアドベンチャーモデル・NC750Xのマイナーチェンジが2024年11月5日に欧州で発表された。外装のデザインが変更されたほか、新たに5インチTFTカラーメーターを装備。また車体ではダブルディスク化された足回りを中心にホイールなども変更している。

このほか、カーキとブラックの車体色の外装カウルには、環境にやさしいバイオマスプラスチックを採用することになった。これらについて従来モデルと比較しながら詳しく見ていくことにしよう。

2025年新型NC750Xの走行シーン。

2025年新型NC750Xの走行シーン。

外装デザインを変更でシャープな顔つきに!

2025年新型NC750X

2025年新型NC750X

2025年新型NC750X

新型LEDヘッドライトが、バイクの正面に力強い特徴与えている。スクリーンは優れた防風・防寒機能も備えており、スリムなサイドパネル、カバー、改良されたテールユニットが「マスフォワード」スタンスを強調するとのこと。

外装デザイン変更……と言ってもぱっと見では既存の2024モデルとは区別がつきにくい新型NC750Xだがパーツごとに見ていくと変更点がよくわかる。一番目につく変更点はヘッドライトで切長なデザインとなり、スクリーン下のおでこの部分が広くなっている。また側面のデザインが複雑な面構成が簡素化されシャープなデザインに、またまたテールカウルユニットも改良されており、「マスフォワード」スタンスが強調されることになった。

2024従来モデルのNC750X。

2024従来モデルのNC750X。

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型

右・2025年新型

このほか上部フェアリングと下部フェアリングもシャープな折り目と細やかなラインが加えられており、フェアリングの構造とバイクへの取り付け方法を見直したことによりメンテナンス性も向上しているという。ステッチを追加した新しいシート表皮が含まれ、バイクの高級感が増している。

シート表皮にステッチ加工が施されたことで高級感アップ!

シート表皮にステッチ加工が施されたことで高級感アップ!

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型。NCシリーズ最大の特徴といっていもいい23ℓのラゲージボックス(容量に変更はなく、アドベンチャースタイルのヘルメットを収納可能)のカバーも改良されている。

右・2025年新型。NCシリーズ最大の特徴といっていもいい23ℓのラゲージボックス(容量に変更はなく、アドベンチャースタイルのヘルメットを収納可能)のカバーも改良されている。

2025年新型NC750Xのハンドル回り。

2025年新型NC750Xのハンドル回り。

今回のモデルチェンジでメーターが、LCDから5インチのフルカラーTFTディスプレイへと進化。光学接着を使用したことで強い日差しの中でも見やすくするためにメニューとカラーリングを採用している。またHonda RoadSyncを介してスマートフォンに接続する機能も新たに得ており、ターンバイターン ナビゲーションが追加。これに合わせて左スイッチボックスもリニューアルされ、バックライト付きになったほか、4wayタイプのセレクトスイッチも追加されている。

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型。カバーガラスとTFTスクリーンの間の隙間を樹脂で密閉することで、グレアが軽減され、視認性が向上。ディスプレイのデザインは、「バー」、「サークル」、「シンプル」の表示パターンがある。

右・2025年新型。カバーガラスとTFTスクリーンの間の隙間を樹脂で密閉することで、グレアが軽減され、視認性が向上。ディスプレイのデザインは、「バー」、「サークル」、「シンプル」の表示パターンがある。

ターンバイターンナビゲーション機能が追加された。

ターンバイターンナビゲーション機能が追加された。

トグルスイッチを得た左スイッチボックス。ターンバイターンナビゲーションはもちろん、電話をかけたり、音楽を聴いたりといった操作がしやすくなった。

トグルスイッチを得た左スイッチボックス。ターンバイターンナビゲーションはもちろん、電話をかけたり、音楽を聴いたりといった操作もしやすい。

環境にやさしい素材を使った2色のサステナブルカラーが登場

DurabioTM(バイオベースのポリカーボネート樹脂)が採用された2025年新型NC750Xの走行シーン。

DurabioTM(バイオベースのポリカーボネート樹脂)が採用された2025年新型NC750X「アース アイビー アッシュ グリーン」の走行シーン。

2025モデルのNC750Xの特徴には、「アース アイビー アッシュ グリーン」と「アース ブラック」の2色に植物由来原料を採用したデュラビオTM(バイオベースのポリカーボネート樹脂)が採用されたことも大きなポイント。この技術は2023年モデルのCRF1100Lアフリカツインアドベンチャースポーツのスクリーンで確立され二輪車としては世界初となったが、2025モデルのNC750Xではフェアリングパーツ、ウィンドスクリーンをはじめとし、より多くのパーツに採用することになった。

しかも、フェアリングパーツに関しては、デュラビオの樹脂そのものに着色を行うことで塗装を廃止。塗装を行わないことでさらなるCO2発生の低減に成功している。このデュラビオTMは、素材そのものの透明度が高く、より鮮やかな発色となるのが特徴だとか。また、車体の一部にはリサイクル素材も使われている。

2025年新型NC750X・「アース ブラック」

2025年新型NC750X・「アース ブラック」

2025年新型NC750X・「アース アイビー アッシュ グリーン」

2025年新型NC750X・「アース アイビー アッシュ グリーン」

ダブルディスク化と共にホイールを軽量化

ダブルディスクを得た2025年新型NC750Xの走行シーン。

ダブルディスクを得た2025年新型NC750Xの走行シーン。

エンジン、フレームまわりに関しては、2024モデルをそのまま踏襲している2025モデルのNC750X。ただし足回りに関しては大きな変更を受けている。最大のポイントはフロントブレーキで、従来モデルがローター径320mmのシングルディスクだったのに対し、新型の2025モデルではダブルディスク化され、ローター径が296mmへ。またローターそのものもフローティングディスク化されている。

このダブルディスク化の重量増に対し、前後のホイールを軽量な「3by3」デザインに変更。1.8kgの軽量化を行うことで、ダブルディスク化による重量増を相殺している。

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型。あらゆる状況で安心できる制動力と信頼性を提供するためにダブルディスク化&フローティングマウント化。

右・2025年新型。あらゆる状況で安心できる制動力と信頼性を提供するためにダブルディスク化&フローティングマウント化。

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型。ホイールを「3by3」デザインに変更し1.8kgの軽量化。タイヤサイズに関してはフロント120/70 ZR17、リヤ160/60 ZR17で変更なし。

右・2025年新型。ホイールを「3by3」デザインに変更し1.8kgの軽量化。タイヤサイズに関してはフロント120/70 ZR17、リヤ160/60 ZR17で変更なし。

DCT仕様車は低速域の制御をブラッシュアップ!

2025年新型NC750X DCTの走行シーン。

2025年新型NC750X DCTの走行シーン。

エンジン回りに関しては主要諸元などを見る限り基本的に既存の2024モデルと一緒のようで、最高出力、最大トルクも2024モデルを踏襲。各走行モードのパラメーター設定についても一緒のようだ。ただDCT仕様車に関しては低速走行時の応答性を向上させたとのこと。

2025モデルのNC750XDCT仕様車は従来モデルに対し、「停止状態からのスムーズな発進」と、「10 km/h 未満の低速での制御」が向上。小さなスロットル開度で「迅速かつ穏やかな」駆動力を作り出すために、DCTの動作パラメータをバージョンアップしたという。詳しくは、“クラッチピストンチャンバーの油圧を推定し、クラッチピストンの上流にある油圧センサーに頼るだけでなく、フィードバックゲインの適用方法を完全に見直し、クラッチ応答を改善ししたことでより繊細なコントロールが可能になった”とのこと。これにより電子制御スロットルの能動的なコントロールが行えるようになり、DCTには極低速走行専用の設定も盛り込まれた。

左・2024従来モデル

左・2024従来モデル

右・2025年新型。クラッチカバーに「HONDA」のロゴが追加されたくらいでエンジン周りの外観に大きな変更はないようだ。

右・2025年新型。クラッチカバーに「HONDA」のロゴが追加されたくらいでエンジン周りの外観に大きな変更はないようだ。

アクセサリーにはコンフォートシートと調整式スクリーンも登場

今回のモデルチェンジでNC750Xのアドベンチャーツアラーとしての性能を高めるオプションのアクセサリーも新登場。高さ調節可能なスクリーンが登場し、より快適な乗り心地を実現するために追加のウレタンパッドを使用した新しいコンフォートシートも用意された。

このほか、パニアケースやフォグライト、ハンドガードなどのアクセサリーパーツがあるのは従来通り。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」、「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」、「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」、「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」のハイポジション。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」、「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「高さ調節可能なスクリーン」のローポジション。

オプションのアクセサリー「フォグライト」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「フォグライト」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「ハンドガード」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「パニアケース」、「コンフォートシート」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「パニアケース」、「コンフォートシート」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「パニアケース」、「コンフォートシート」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリー「パニアケース」、「コンフォートシート」を装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリーを装着した2025年新型NC750X。

オプションのアクセサリーを装着した2025年新型NC750X。

NC750X[2025 欧州仕様]主要諸元

・全長×全幅×全高:2210×846×1330mm
・ホイールベース:1525【1530】mm
・シート高:802mm
・車重:216kg【226kg】
・エンジン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 745cc
・最高出力:58PS(43.1kW)/6750rpm
・最大トルク:7.0kg-m(69Nm)/4750rpm
・燃料タンク容量:14.1L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=φ296mmWディスク R=φ240mmディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17 R=160/60ZR17
※【 】内はDCT仕様

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    これでクルーズコントロールが付けば理想のバイクなんだけどな~

  2. 匿名 より:

    DCTで十分

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