
スズキは開催間近のミラノショーにて、新型2モデルを発表した。DR-Z400S/SMがフルモデルチェンジを果たした、400ccオフローダー「DR-Z4S」とスーパーモタード「DR-Z4SM」だ。EURO5+に適合するエンジンは38PSを発揮、最新電子制御やトラクションコントロールを備え、従来のキャラクターのまま生まれ変わった!
クラス唯一&ストリート最強モタード登場!「DR-Z4SM」
2004年から2009年まで国内でラインナップされていたDR-Z400SMは、400ccクラス唯一のスーパーモタードとして人気を博したモデルだ。日本では排ガス規制により販売終了しているが、アメリカではキャブレター仕様のまま、現在まで生産が続いていた。そんなDR-Z400SMがスパルタンな特性をそのまま、世界中で販売できるインジェクション仕様としてフルモデルチェンジを果たした。
DR-Z4SM[2025]開催迫るミラノショー会場にて、兄弟機DR-Z4Sと共にアンベールされた。
クラスでも屈指の過激スーパーモタードとして人気だったDR-Z400SMが、ついに世界に向けて復活!
インジェクション化に加え、最新電子制御を搭載しかつて以上のパワーアップを遂げた。
ネーミングも刷新した「DR-Z4SM」。同時に発表されたオフロードモデル「DR-Z4S」と同様、最新排ガス規制EURO5+に適合した水冷DOHC398cc単気筒エンジンを搭載。従来のエンジンをベースとしてはいるが、カムシャフトやシリンダーヘッドをはじめとしたほぼすべてのパーツが再設計されており、もちろんキャブレター仕様だった吸気系はインジェクションに更新。OBDIIも装備しているため、アメリカ以外の国でも販売が可能となった(もちろん日本も)。ボア×ストロークは90.0mmx62.6mmのショートストロークで、出力は欧州仕様で最高38PSとなっている。吸気系、エキゾーストも見直され、ラジエーターも大型に変更された。ドライサンプのオイルシステムはそのままだ。またクラッチアシスト(SCAS)を新装備し、ハイパフォーマンスエンジンを使いやすくコントロール可能となった。
基本設計は従来を踏襲しているが、黄色いパーツは全て再設計されたもの。ほとんど新設計に近い。
スズキクラッチアシストシステム(SCAS)を装備し、扱いやすさもアップ。
車体はというと、スチールフレームは、スーパーモタードらしい優れた走行性能のためにしなやかかつ強度を求めて全面新設計。サスペンションはフロントにKYB製倒立フォークを採用、260mmのロングストロークを持つ他、テンション/コンプレッションどちらも調整可能だ。ホイールは従来通り前後17インチで、スタンダードからダンロップ製ハイグリップタイヤSPORTMAX Q5Aを装備し、アグレッシブな走行性能を支える。ブレーキは前後ともに軽量化を目指したシンプルなフロント270mm、リア240mmのシングルディスクだ。
新設計スチールフレームで最適な剛性を実現。シート高は890mmだ。
外見上の最も大きな変化は、フルLED化した灯火類だ。ヘッドライトはLEDプロジェクターライト1灯となり、シンプルなフロントマスクを獲得。メーターはオーソドックスなLCD液晶だが、各種電子制御の追加により、マルチファンクションな操作機能を備える。スイッチ類もシンプルに構成されているが、左スイッチのMODEセレクトにより、電子制御の直感的な変更が可能だ。
フロントマスクは1灯LEDに変更され、印象は一気に最新機へ。
メーターは従来通りのLCD液晶。各種電子制御用のインジケータを備える。
スズキインテリジェンスライドシステム採用!任意でカットできるトラコンも
車体設計はもとより、内部システムも最新鋭に強化された。近年のスズキ製スーパースポーツ、ストリートファイターに搭載されているスズキインテリジェントライドシステム(SIRS)を、DR-Z4SMも獲得。走行モード設定は三段階で、アグレッシブで鋭敏なモードA、ソフトで乗りやすい味付けのモードB、ウェット路面に対応するモードCを選択できる。さらにトラクションコントロールでは、より精密にリアタイヤのグリップを制御。モード1、2、グラベルの3種類で、路面に合わせて変更ができるほか、スーパーモタードらしい鋭い走りのために、完全にスイッチをオフにすることも可能だ。ABSは前後に搭載されているが、リア側はこちらも任意でカットすることが可能。ダートコースでのホイールロックをコントロールし、好みの制御方法を楽しむことができる。
スロットルは電子化されたライドバイワイヤを採用。オンボードECMを活用し、緻密なスロットル制御性を実現した。軽く確実な動作ができるライドバイワイヤだが、シーンやポジションによってワイヤー風に遊び調整ができるスロットルワイヤ―も備えている。
スズキ最新のSIRSを採用し、モードセレクトとトラコンの調整を可能に。
ABSカットにより、直感的にアグレッシブな走りを実現できる。
そんなDR-Z4SM、いまだ価格は未発表だが、EURO5+への適合で世界中どこでも販売が可能だ。既に欧州モデルも発表されており、国内仕様販売の障壁はない。かつてよりライバルの少なかった国産ハイパワーモタードの雄だが、現行ラインナップの中ではカテゴリー唯一の存在となるだろう。気になる発売は2025年5月より、北米&欧州を中心に開始予定とのこと。国内仕様の情報解禁を待ちたい!
また、同時に発表されたDR-Z4Sも、貴重な400ccオフローダーとして目が離せない存在だ。こちらも排ガス規制適合や最新装備はSMと同様。オフロードファンも続報を待つべし!
同時発売されるDR-Z4Sはオフローダー。基本設計はSMと同様だ。
DR-Z4SM[2025:海外]主要諸元
・全長×全幅×全高:2195×885×1190mm
・ホイールベース:1465mm
・シート高:890mm
・車両重量:154kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒 398cc
・最高出力:38PS
・最大トルク:37Nm
・燃料タンク容量:8.7L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70R17 M/C、R=140/70R17 M/C
・価格:未発表
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