2025年はストリートファイターの当たり年。CB1000ホーネット、新型Z900に続き、BMWから新型S1000Rが正式発表された。2眼ヘッドライトに回帰したほか、最高出力をアップし電脳を強化。上級版のM1000Rやベース車のS1000RRらも揃ってモデルチェンジを果たした。

凄み系? シャープな2眼ヘッドライトが復活!

BMWはティザー動画で10月30日(日本時間31日)に海外向け新型の発表を予告。当webが予想したとおり、新型S1000Rが公開された。

S1000Rは、SBK(スーパーバイク世界選手権)に参戦するS1000RRを基盤に、バーハンドルやミニマムなカウルを与えたストリートファイター。心臓部の999cc並列4気筒は公道向けに中回転域重視の出力特性としている。2015年型でデビューし、2021年型で2世代目にフルチェンジした。

そして2025年型では主にデザインのアップデートとエンジンの熟成を実施。電子制御も進化している。

まず外観は、ツインLEDヘッドライトの採用がトピックだ。2眼の初代S1000Rを経て、2代目でR1250R風の上下2段ヘッドライトの異形1眼を採用。4年ぶりに2眼へ回帰した。同日に発表されたカワサキの2025年型Z900を思わせる鋭い2眼でスポーティなイメージが増している。

5PS増で170PSをマーク、電子式のエンブレ制御も追加

999cc並列4気筒は、欧州の最新排ガス規制ユーロ5+に対応しながら、165PS→170PSに向上(発生回転数はともに1万1000 rpm)。最大トルクは従来型と同じ11.6kg-m/9250rpmだ。

電脳では、新たに「MSR」(ドラッグトルクコントロール) と電気式エンジンブレーキ制御を獲得した。MSRは過度なエンジンブレーキを抑制するシステムで、スリッパークラッチに加えて電子的にスロットルバルブを開いて出力を調整し、後輪のスリップを防ぐ。

また、スロットルを全閉から全開までの角度を 58 度 (以前は 72 度) に減少させるM ショートストロークスロットルも採用した。

シャーシやブレーキ、足まわりは従来型を引き継ぐが、ナンバープレートホルダーをミニマム化。シート下に USB-C充電ポート、緊急通報システムを標準装備するなど各部をアップデートしている。


ライバルのCB1000ホーネット、Z900と比べて動力性能は圧倒的

2025年型で登場するストリートファイターのライバルと比較すると、ホンダのCB1000ホーネットは1000cc直4で151.7PS、カワサキのZ900は948cc直4で123PS。170PSのS1000RRはパワーで圧倒している。

車重に関しても、CB1000ホーネットが211kg、Z900が213kgなのに対し、S1000Rは199kgと軽量。スペック上の動力性能ではS1000Rが上回っている。一方で価格は1万3250ポンド~(約259万5027円~)。ホーネットは8999ポンド(約167万6000円)、Z900は9999ドル~(約152万円)、Z900SEが1万1849ドル(約184万円)とプライスの面でも上回る。

新型S1000Rは欧州で2025年1月に発売。国内での発売時期や価格は発表次第お伝えしたい。

高性能版のM1000Rも同様のスタイルで刷新

S1000Rをベースに、徹底チューンを施したM1000Rも合わせてモデルチェンジを受けた。M1000Rは、BMWのハイパフォーマンスモデルを表す「M」の名称を与えたバイクの第2弾で2023年にデビュー。直4の心臓部はシフトカムなどで210PSを叩き出し、ウイングレットほか専用パーツをふんだんに用いる。

2025年型では、S1000Rと同様の2眼やMショートストロークスロットルを採用。さらに新型M1000RRと同様、舵角センサー技術の導入によりスライドコントロールを追加した。

S1000RRは大型ウイング導入、シンボルの“エラ”が復活した

スーパースポーツのS1000RRもマイチェンを敢行した。主眼は空力性能の向上。ウイングレットを大型化し、ダウンフォースの向上でコーナリン速度の向上を図った。

新型ウイングは、300km/hで23.1kgのダウンフォースを生成。従来型の17.1kgと比べ、大幅に増加している。さらにフロントフェンダーにはブレーキ用の冷却ダクトを追加。特にサーキット走行時にブレーキの熱ダレを抑え、Fフォークまわりの整流効果も高める。

サイドフェアリングは初代RR風の非対称デザインを復活。左側に放熱用の開口部、右側に初代S 1000 RRを彷彿とさせるサメのエラ風フィンを設置した。

電脳に関しては、Race Pro 1~3などのモードを含むライディングモードプロパッケージが標準装備された。

基本設計は従来型を踏襲し、210PSのハイパワーは不変。車重はSTDが1kg増の198kg、Mパッケージは同じ193.5kgとなっている。

SBK王者マシンのM1000RRは6PS増と新カウル獲得

S1000RRをさらに磨き上げたM1000RRは、2024年SBKチャンピオンになったレーサーのベースモデル。2025年型では新型ウイングに加え、エンジンの6PSアップも果たした。ユーロ5+に対応しながら、従来型の212PSから218PSにアップ(発生回転数は同じ1万4500rpm)。

これは、新設計のチタンバルブをはじめ、圧縮比を13.5:1→14.5:1にアップ、スロットルボディの大型化(φ48→52mm)、吸排気ポートとマフラーの改良によって実現した。

車体はステアリングヘッドやエンジンマウントの変更で剛性を向上。新デザインのカウルとスクリーン、ウイングによって空力特性もアップしている。特にカーボン製の新設計Mウイングレット3.0は、最高速314 km/hはそのままに、ダウンフォースを22.6→30kgにまで高めている。

S1000R[2025 欧州仕様]主要諸元

・全長×全幅×全高:2085×812×――mm
・ホイールベース:1447mm
・シート高:810mm
・車重:199kg
・エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ999cc
・最高出力:170PS/11000rpm
・最大トルク:11.6kg-m/9250rpm
・燃料タンク容量:16.5L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17 R=190/55ZR17

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