直列4気筒を搭載するストリートファイターのZ900が欧州でビッグチェンジを敢行。シリーズ共通の「SUGOMI」デザインは金属パーツを用いた最新版にリファインされ、IMUやクルーズコントロール、クイックシフターなどで電脳も強化した。エンジンに関しては、兄弟車のZ900RSも同様の変更を受けるか?

最新Zデザインは小顔3眼にアルミシュラウドが光る

カワサキが海外で公開したティザー動画どおり、2024年10月30日(日本時間31日)にZシリーズの最新作が発表。その正体は新型のZ900だった。

Z900は、欧州でヒットしたZ800の後継として2017年にデビューしたスーパーNK。現代版Zシリーズに継承されるシャープな「SUGOMI」(凄み)デザインと、948cc並列4気筒+鋼管トレリスフレームによる軽量パワフルな走りが特徴だ。

登場以来、大幅な変更はなかったが、2025年新型ではデザインを全面刷新。エンジンは新設計の電子制御スロットルを採用し、新たにIMUとクルーズコントロール、クイックシフターを標準で備えた。さらに同社初のターンバイターンナビを導入したメーターや、シートなども新作だ。

まずスタイルは、最新のSUGOMIデザインによって、よりエッジィかつ上質な雰囲気を獲得。中でも目を惹くのはツヤ消しアルミ製のシュラウドだ。従来は樹脂製だったが、より高級感が際立ち、ライバルとの差別化を図っている。

顔は、海外の2024年型Z500と血脈を思わせるコンパクトな3眼LEDヘッドライトを導入。タンクやニーグリップ部のカバー、テール、シートも新作だ。

直4ユニットは電脳を大幅に強化、燃費も大幅に向上した

948cc水冷直4エンジンにもメスを入れた。新設計の電子制御スロットルを採用し、6軸IMU(慣性センサー)を搭載。さらにクルーズコントロールとアップ&ダウンクイックシフターを新たに導入した。

IMUによりキメ細かい車体制御が可能となり、ブレーキとエンジン出力を調整してコーナリングをサポートするKCMF(カワサキコーナーリングマネジメントファンクション)も獲得している。

エンジン内部はカムプロファイルやECUを変更し、燃費と低回転域のトルク向上を図った。その結果、最高出力は125 PS/9500 rpm→123PS/9500 rpm、最大トルクは10.1kg-m/7700rpm→9.9kg-m/7700rpmに変更。

一方でCO2排出量は削減され、燃費は16%も向上。100km走行時の燃料消費量は5.7Lだったが、新型では4.8Lに抑えられている。


シートレールの形状変更で快適性と足着き性を両立

軽量な鋼管トレリスフレームは従来型をベースに、シートレールの形状を変更した。これによりフロントシートがフラット化。より厚みのあるウレタンを採用して快適性を向上しながら、足着き性も両立したという。なお、純正オプションとして、830 mm の ERGO-FITハイシートと810 mmのERGO-FITローシートも用意される。

足まわりはラジアルキャリパーを獲得、サス設定も見直した

従来型のフロントブレーキキャリパーは、一般的なアキシャルマウントだったが、新型ではラジアルマウントに変更。キャリパーはニッシン製の対向4ポットとしている。

φ41mm倒立フォークとカワサキお得意のホリゾンタルバックリンク式リヤサスを踏襲するが、前後サスセッティングを見直し、前輪荷重をアップ。より安心してスポーツライディングを楽しめる設定になった。標準タイヤは、最新のダンロップスポーツマックスQ5Aを採用。オールラウンドなハイグリップタイヤだ。

メーターは5インチに拡大、同社初のナビも導入した

メーターは新作の5インチTFTカラー液晶を採用。カワサキで初めてターンバイターン式のナビを表示するほか、アプリの「Rideology The App Motorcycle」を使えば音声コマンドで各種機能をコントロール可能になった。なおSEグレードには、USB Type-Cソケットも標準装備される。

日本仕様の価格はSTD130万円台、SEは140万円台か?

日本仕様のアナウンスはまだないが、導入は確実だろう。価格に関しては、北米仕様のSTDが9999~1万299ドル、SEが1万1849ドルと発表された。

なお、北米ではZ900RSが1万2649ドルで販売され、日本では148万5000円の価格となっている。この価格比率をあてはめると、新型Z900は日本で130万円台、SEは140万円台の価格になるか? 現行Z900は127万6000円とコスパ優秀だけに、価格面も期待したい。

そして国内でベストセラーを続けるZ900RSの今後も気になるところ。Z900の並列4気筒はRSのベースになっており、新型Z900と同様の変更を受ける可能性がある。となれば、Z900RSにもクルコンやクイックシフターが標準になる? こちらの動向も含め、続報を待ちたい。

※2024/10/31 カワサキモータースジャパンから、正式に新型Z900を「日本導入の準備中」とのアナウンスが発表された。価格、発売時期は未発表だが、まずは国内導入が確実となったことを喜びたい。また、アナウンスで公開された写真は「SE」仕様のみ。こちらが導入される可能性が高いといえるだろう。

Z900/SE[2025 欧州仕様]主要諸元

・全長×全幅×全高:2065×830×1075/1110mm
・ホイールベース:1450mm
・シート高:830mm
・車重:213/214kg
・エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ948cc
・最高出力:123PS/9500rpm
・最大トルク:9.9kg-m/7700rpm
・燃料タンク容量:17L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17 R=180/55ZR17
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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    SEは国内でも販売されていた時期がありましたので未導入ではないと思います。

  2. あま より:

    わざわざ改めて泥除けおよびナンバープレートステーをびろーんと伸ばすくらいなら、テールカウルつければいいのに。

    メーカーはテールカウル無い方がカッコいいと思ってるかもしれないが、それによってブサイクな泥除けつけたら本末転倒だろうに。

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