
KTMからビッグアドベンチャーモデル「1390 Super Adventure S EVO(1390スーパーアドベンチャーSエボ)が発表された。自動マニュアルミッション「KTM AMT」を同社で初めて正式採用。アドベンチャーながら、サーキットユースにも耐えるスポーティーな性能も発揮できるほか、新鋭のアダプティブクルーズコントロール(ACC)により衝突回避やブレーキアシストなどを半自動化。こちらも初採用となる大型の8インチタッチモニターも装備し、ツアラーとしての完成度にも磨きがかけられた。
目次
強烈な運動性能と次世代の安全性&快適性を融合した新型アドベンチャー
2017年に登場した「1290スーパーアドベンチャーS」。同社のアドベンチャーシリーズでは、「S」を冠するのはオンロード向けの位置づけとなり、高速&長距離走行の快適性を重視した装備が充実。2020年のモデルチェンジでは、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を初採用し手注目を浴びた。今回登場した1390スーパーアドベンチャーS EVOは、排気量を1350ccに拡大し、カムシャフトを改良し可変バルブを新採用したエンジンによるパワーアップに加え、ブレーキアシスト、衝突警告、距離警告を備えるボッシュ製ACCも機能を強化。そして先日発表されたばかりの、KTMによる自動マニュアルミッション「KTM AMT」を初採用した。これによりクラッチ操作が不要となり、ハンドルスイッチでのシームレスなシフトチェンジも実現している。
このほかシャーシやシートといった車体設計、フロントマスクの大幅なアップデートも加えられたほか、TFT液晶メーターが従来の5インチから、縦長な8インチのタッチスクリーンへと大きく変更。より視認性と操作性を引き上げた。サスペンションはブWP製で、セミアクティブサスペンションシステム(SAT)を搭載することでダンピング特性を安定化し、オープンカートリッジとクローズドカートリッジの特性を併せ持つ性能を持つこととなった。
従来モデルから全面的にアップデートし、オン/オフどちらの走行性能も強化されるマルチパーパスな1390スーパーアドベンチャーS EVO。価格は未発表だが、海外では2025年初頭に発売予定となり、国内導入も遠くはないだろう。カラーバリエーションはKTMおなじみのオレンジに加え、ブラック/ホワイトの2色がラインナップしている。
1390 Super Adventure S EVO。従来の1290から全面的なアップデートを受けた。
先日発表された自動マニュアルミッション「KTM AMT」をKTM初採用。トラック性能を引き上げている。
ヘッドライトも異形となり、一目でわかる個性を発揮。スクリーン形状も改良された。
KTM初のAMT搭載 ボッシュ製ACCとの連携で自動停止&始動も可能に
大きなトピックとなるのは、やはり同社初のKTM AMTの採用だ。クラッチ操作を自動化していることで、クラッチレスなシフトチェンジが可能。このためクラッチレバーを装備しておらず、左スイッチボックスには指先でシフト操作できるスイッチを備えている。ただしシフトペダルはそのままで、慣れた左足での操作も行うことができる。
さらに、性能強化されたボッシュ製アダクティブクルーズコントロールとの連携で、前車の停車に合わせた自動停車と再始動も実現。ライディング時の操作を極限まで自動化し、疲労感のないツーリングを実現できるようになった。
クラッチは不要のためレバーは備えない。ハンドルにはシフト操作可能なスイッチを備える。
シフトペダルは一般的なモデル同様に備えており、足でのシフト操作も継続することができる。
ヘッドライト下に備えられているミリ波レーダー。ACCとAMTの連携により、完全な自動停車/発進が可能となった。
イメージ一新のディテールで機能性も充実
機能面のみならず、装備面も大きく進化。パワーユニットは1350ccに拡大され、可変バルブタイミング(CAMSHIFT)機構を有する水冷VツインDOHC。全域での力強い出力特性を狙い、最高出力は173PS/9500rpm、最大トルクは145Nm/8000rpmを発揮するものとなった。外観で最も印象を変えたのはヘッドライトで、先行している1390 SUPER DUKEを思わせる異形レンズを備えたフロントマスクを採用。スクリーンも大型化し巡航性能を向上させている。フレームも見直されており、ステップ位置が8mm低下、10mmワイドになったことでポジションも快適に変更された。サスペンションはWP製SATにより、センサーによる自動可変ダンピングを行えるほか、コンフォート/ストリート/スポーツ/レインの4段階のサスペンション設定も任意に行うことができる。
さらに、新採用の8インチTFTメーターもただのモニタではない。サイズが縦にワイドで視認性を高めているというほか、新開発された誘導タッチスクリーンは従来から色数を大幅に増やした25万6000色の表示が可能。ACC機能、マップナビゲーション、テレメトリ、音楽再生といった各機能でモニタを使い分けることができる。また32GBのストレージを独自に備えているため、スマホ接続がなくともバイクと連動したナビゲーションを行う機能も備えている。このモニタはアンドロイド・オートモーティブやeSIM、GPSアンテナやWi-Fiとのダイレクト接続が可能という発展性を備えている点で、従来の単なる液晶とは一線を画するものだ。KTMはモニタ単体が車体とも無線連携する将来についても発表しており、今回の採用はその嚆矢となるだろう。
エンジンは1350cc、173PS/9500rpmを発揮する。新たなCAMSHIFT機構により、全回転域での安定した出力特性も備えた。
WP製前後電子制御サスペンションは、自動減衰調整に加えて任意のモードに変更が可能。
8インチとなったTFT液晶メーターはIoT機能を充実させた新仕様で、独立したナビゲーション機能や32GBのストレージを備えている。
1390 Super Adventure S EVO(2025)主要諸元
・全長×全幅×全高:-
・ホイールベース:1558mm
・シート高:847/867mm
・車重:-
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 1350cc
・最高出力:127kW(172.6PS)/9500rpm
・最大トルク:145Nm(14.79kg-m)/8000rpm
・燃料タンク容量:23.0L
・変速機:AMT(6段リターン)
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=-、R=-
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