あのハーレーダビッドソンやインディアンモーターサイクルを生み出しているクルーザー大国アメリカ。日本のメーカーもそのクルーザー市場にいくつかの車両をラインナップしている。そして、世界中で多種多様なバイクを販売するホンダも、アメリカで魅力的なクルーザーモデルを販売している。今回紹介するのはその中の1台で、日本ではVT1300CXとして以前販売されていたモデルだが、Furyの名でアメリカでは現在も販売されている。ホンダのラインナップではVツイン搭載モデルとしては最大排気量1,312ccのモデルで、独創的なスタイリングが特徴である。
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ビッグツインでスマートボディのハイネックスタイルアメリカン
クルーザーモデルとして並列2気筒や単気筒などのラインナップが増える中、クルーザーでは伝統となるV型2気筒のエンジンを搭載している。日本国内では2015年発表のものを最終仕様として販売が終了したが、アメリカでは販売が継続されていた。現在では大排気量化が進んでいるハーレーダビッドソンも当時のモデルはソフテイルやダイナなどで1500cc程度だったので、VT1300CXは1312ccのエンジンということもあり、ハーレーのライバルともなっていたモデルであろう。ボア&ストロークは89.5mm×104.3mmで低回転域でも強いパワーとトルクを発生するロングストロークなエンジンで気筒あたり3バルブが採用されている。
ホイールはフロント21インチ、リア18インチとサイズ感は大柄。リアにはモノショックが装備されシンプルなデザインとなっている。シャフトドライブを採用したことにより、より美しい外観を生み出している。
キャスター角は32°に寝かせられており、ホイールベースは180cmとロング&ローのスペックが特徴である。(レブル1100はキャスター角:28°、ホイールベース:152cm)特徴的なハイネックスタイルも相まって、現在はクルーザーと呼ぶが、その姿はアメリカンバイクという名が相応しい。砲弾型のヘッドライトケースがより強いカスタム色を創造している。
LEDライトやトラクションコントロールなど、最新のこのクラスのバイクには装備されている機能はABS以外には何もない古典的でオーソドックスなモデルではあるが、現代的でもあるスタイリングは今見ても古さを全く感じさせない。
アメリカでの販売
アメリカではFuryという車名で販売されているが、Furyとは「激怒」「凶暴」という意味で、なんとも荒々しいネーミングが与えられている。
販売価格は11,499ドル(約177万円)なので、9,599ドル(148万円)のレブル1100より上級の扱いだ。ハーレーダビッドソンのソフテイル・スタンダードの販売価格は14,999(231万円)となっているので絶妙な価格設定となっている。
詳細写真
ハイネックスタイルとは
フレームのハンドル支持部分を従来の位置より高く設定し、フロントホイールをより前方へ配置させることで、フレームとエンジンの間に大きな空間を生み出すカススタムスタイル。ハーレーダビッドソンのスポーツスターなどのタンクアップにも近いかも。小排気量ではあるが、以前販売されていた50ccのホンダジャズもハイネックスタイルに近い。
日本の絶版車、なぜアメリカでは販売できる?
排出ガス規制値が日本(直近では令和2年度二輪車排出ガス規制)やヨーロッパ(直近ではEURO5 2020年適用)では段々と厳しくされてきているが、アメリカは独自の排ガス規制を敷いているため、日本やヨーロッパで販売できないモデルも継続して販売されている。
日本国内での販売
日本では2009年11月に販売を開始。カラーチェンジを行いながら販売されつつも、2015年に発表されたもので最後のモデルとなった。販売されていた当時は大きすぎるかなと思った車両であったが、今見ると新鮮で乗ってみたいなと思うバイクである。
日本最終モデルのグラファイト・ブラックは、フレームをブラックからグレーに、前・後のアルミキャストホイールをブラックからブラウンメタリックに変更されてプレミアム感が増していた。
販売価格は140万4000円であった。
スペック(日本モデル)
・全長×全幅×全高:2,575×900×1150mm
・シート高:680mm
・車重:313kg
・エンジン:空冷4ストロークOHC 3バルブV型2気筒 1312cc
・最高出力:40kW(54PS)/4,250rpm
・最大トルク:103Nm/2,750rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=油圧式シングルディスク、R=油圧式シングルディスク、前後ABS
・タイヤ:F=90/90-21、R=200/50 R18
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