ヤマハの告知どおり10月9日、欧州と米国でブランニューの「YZF-R9」が発表された。MT-09の3気筒を新設計の専用アルミフレームに搭載し、MTからわずか1kg増という軽さが特徴。R1譲りの足まわりやウイング付きのボディも備え、次世代のヤマハ製スーパースポーツの旗艦として君臨する。日本登場も確実だ!
目次
SSの新フラッグシップとして誕生したR9
Webike+で以前から報じてきたとおり、ヤマハがYZF-R9を正式発表した。ヤマハのスーパースポーツ(SS)シリーズYZF-Rに追加された最新作で、次世代トップモデルSSの位置付けとなる。
従来の旗艦で直4を搭載したYZF-R1は、排ガス規制の影響などで今後レース専用モデルとして販売される。そこで新開発されたモデルがYZF-R9。3気筒ネイキッドのMT-09がベースと言われてきたが、フレームは新設計の専用品を奢る。さらにR1と同等のサス&ブレーキ、ヤマハ公道モデル初のウイングレット付きフルカウルなどを与え、高い戦闘力を誇る。
これで入門向けのYZF-R125、R15から、R25/R3、R7、R9とステップアップ可能なシリーズが完成する。
欧州と米国で発表されたYZF-R9(欧州名はR9)。専用フレームに、119PSを発生するMT-09譲りの890cc水冷3気筒CP3を搭載する。欧州仕様の車体色は2色で、写真はアイコンブルー。
写真はテックブラック。サイドから見ると直線的かつフラットなデザインが特徴だ。
US仕様には白×赤(Intensity White/Redline)を加えた3色設定。
水冷3気筒ユニットはネイキッドのMT-09がベース(写真はSP)。R9は、フレームや外装などの大部分が新設計だ。
R系の最新デザインにヤマハ史上最高の空力性能をミックス
デザインは、2021年型で登場したYZF-R7の流れを汲む中央のLEDヘッドライトと左右の切れ長ポジションが特徴。加えて、空力性能はヤマハ史上最高を謳う。
これまで、パフォーマンスとサイズのバランスからYZF-R6が空力では最高峰だったが、R9はそれ以上。排気量をはじめ、ラジエター、前面表面積が大きいにも関わらず、R6より空気抵抗が少ない。
そして、ライト下にあるウイングレットはフロントエンドの揚力(リフト)を軽減。直線での揚力は6~7%減少し、フロントダクト下のスポイラーと組み合わせると旋回時に揚力を約10%減らしてくれる。
ウイングレットは斜めから見るとかなり大型。Mダクトと呼ばれるセンターにプロジェクターヘッドライト、左右に鋭いポジションを設置する。ウインカーはR1と同様、ミラーにビルトインタイプだ。
上側から見ると印象が異なる。ノーズが尖り、前後ともカウルがサイドに張り出すなど実に複雑な造形をしている。
完全新作フレームはヤマハSS史上最軽量、車重はMTからわずか1kg増
フレームはMT-09を踏襲すると思いきや、専用品を新設計。R9に懸ける、ヤマハの気合いが伝わってくる。
MTもスポーティなアルミダイヤモンドフレームだが、R9はスポーツモデル伝統の「デルタボックスフレーム」を名乗り、単体重量はわずか9.7kg。フレーム重量はヤマハ製SSで史上最軽量を誇り、車重は200kgを切る195kgを達成した。フルカウルながら、ネイキッドのMT-09SPから1kg増に抑えているのだ。
さらに、ねじれ、縦、横の3方向全ての剛性をアップ。厚みや形状、機械加工された穴で最適化し、高いレベルのフィードバックと乗り心地の両立を狙った。
ディメンジョンも変更され、キャスター角はMTの24°40'に対し、22°35′に。軸間距離は10mm減の1420mmとした。
エンジンは前述のとおり、119PSを発生するMT-09の890ccクロスプレーン3気筒を継承。国内仕様のMT-09は888ccで120PSだが、これは欧州仕様との表記の違いでR9も同様となるだろう。ただし、二次減速比や点火時期、マッピングは全てSS向けに最適化されている。
アルミ鋳造のデルタボックスフレームを新規設計。単体重量はわずか9.7kgで、ヤマハSS史上最軽量を達成した。
エンジンやマフラーは基本的にMT-09と同様だが、点火時期などを最適化した。

足まわりはR1と同等のKYBサスとブレンボで固める
足まわりも非常に戦闘力が高い。前後サスは新設計のKYB製。2025年型のR1 GYTRおよびR1レースベース車と同等品で、R9専用にセットアップされている。
φ43mm倒立フォークは、左右にリバウンドとコンプレッションダンピングの個別アジャスターを装備。高速と低速側の調整も可能だ。さらに新機能としてベースバルブを装備した。フォーク底部へのオイル流入を制限することでシリンダー内の圧力を最適化。ダンピング応答性と接地感が向上し、安定性が向上している。
フロントキャリパーはR1の住友MOSと異なり、ブレンボのStylemaモノブロックを採用。レース向けの軽量&高剛性タイプで、コントロール性に優れる。マスターシリンダーもブレンボのラジアルポンプで、ステンレススチールメッシュブレーキホースも標準だ。
ホイールは鋳造アルミ製で5本スポーク。MTのスピンフォージド10本スポークホイールと異なり、R6レースと同タイプと見られる。
Fフォークは新設計のKYB製。カシマコーティングにより、やや暗いブロンズゴールドが特徴だ。鋳造アルミホイールにBS製RS11を履く。
リヤショックはリザーバータンク付きのKYB製フル調整式。MT-09SPのオーリンズ製フルアジャスタブルとは異なる。
フロントキャリパーはMT-09SPと同様にブレンボStylemaを奢る。ディスクはMTの298mmに対し、320mmに大径化されている。

リヤディスクはMT-09のφ245mmから220mmとし、MTと異なるニッシン製キャリパーを採用。アルミスイングアームはMTと同様のようだ。
電子制御はサーキット向けにトラコンとモードを一段と充実!
電子制御はMT-09をベースに一段と強化されている。ライディングモードはMTのスポーツ、ストリート、レイン、カスタム×2に加え、任意に設定できるトラックモード×4パターンを追加。サーキット使用時にリヤのABSをオフできる機能も採用した。
さらにバンク角を反映するトラクションコントロールは4→9段階調整が可能になった。また、MTと同様にクルーズコントロールも搭載。SSながら快適な走りもできそうだ。6 軸 IMUをはじめ、スライドコントロール、リフトコントロール、第3世代クイックシフトシステムなどはMTを踏襲する。
フルカラー5インチTFTメーターはMTがベースだが、4パターンの画面をカスタマイズでき、新たにラップタイマーなどを備えたトラックモードを追加。スマホとの連携やナビアプリも表示可能だ。なお、MT-09SPにあったスマートキーは採用されていない。
5インチTFTメーターはトラックモードを追加。アプリでの設定も可能で、バイクにアップロードできる。
テールカウル内には小物が入るスペースが。電源ソケットも用意されているようだ。
ライポジはSSらしいハード設定だが、R1よりラク
ハンドルはSSらしくクリップオンタイプを採用。R7 のハンドルよりもスポーティなポジションだが、R6よりはリラックスしており、様々なライディングに適しているという。
写真を見ると、R1並みにハンドルが低いが、ハンドルから腰までの距離を最適化し、過度な前傾姿勢にならず、シート高も830mmと幅広いライダーに対応するという。
肉抜きタイプのレーシーなトップブリッジにクリップオンハンドルを採用。
R1とR7より着座位置が前方。ステップ位置はR7と同等で、極端なバックではない。またステップは広めの設計とし、快適性にも考慮したという。
タンクカバーはニーグリップ部分が絞られた造形。シート前部もスリムで足着き性に配慮する。シート高はMTから+5mmの830mmに留めている。
サーキットはもちろん、初期YZF-R1のようにワインディングも楽しめる1台となるか。
気になる国内仕様は150万円前後の買い得価格か?
日本仕様の導入はヤマハによると2025年春以降の予定とされる。
欧州仕様の価格は未定で、2025年3月発売を予定。米国では1万2499ドル(約186万5000円)と発表されている。米国でMT-09SPの価格は1万2299ドル(183万5000円)で、日本での価格は144万1000円。
こうした価格差を考慮すると、日本仕様R9は150万円程度になるか? だとすれば相当な値頃感があるが……? 続報を待ちたい。
ベース車のMT-09やYZF-Rシリーズとスペックを比較。R1の200PSとは比較にならないが、R7からは約50PS増し。車重はGSX-8RやパニガーレV2の200kg台より軽い。
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売れそうな予感
このバイクだけじゃないが、最近のバイクのテールカウルの小ささはどうにかならんか。
「コケて壊したけど直す金がなくてそのままにしてます」みたいに見えてカッコ悪い。