
あのハーレーダビッドソンやインディアンモーターサイクルを生み出したクルーザー大国アメリカ。日本のメーカーもクルーザー市場にいくつかの車両をラインナップしている。そして、世界中で多種多様なバイクを販売するホンダも、アメリカで魅力的なクルーザーモデルを販売している。そのモデルの一つがシャドウ・ファントムであり、日本国内では販売が終了していたが、アメリカでは継続して販売されていた。
目次
アメリカモデル紹介
シャドウ・ファントムはシャドウ750(アメリカでは現在でもShadow Aeroとして販売中)から派生したモデルである。クルーザーモデルとして並列2気筒や単気筒などのラインナップが増える中、伝統のV型2気筒のエンジンを搭載している。日本国内では2016年に販売が終了したが、アメリカでは販売が継続されていた。2023年までは日本国内で販売していたものと同様のルックスのモデルがラインナップされていたが、2024年モデルでボバースタイルを身にまとい大幅なアップデートを受けた。今回はそれを紹介したい。
アメリカでは2024年モデルでボバースタイルへ大幅な進化
2023年モデルから2024年モデルへの変更点は多岐にわたる。ツートンカラーのタンク、リアディスクブレーキ化、リアフェンダーショート化、シングルシート化、フォークブーツ追加、ヘッドライトカバー大型化、マフラーブラック化、など。全体的にマットブラックパーツを使用する箇所が増えている。このモデルからABS付モデルも選択可能となっている。
詳細
安定したクルージングを味わえるVツインエンジンや、長距離走行でも安心なメンテナンス性の高いシャフトドライブの採用など、クルーザー大国アメリカのニーズにマッチした車体を構築していることが特徴。そこに流行のボバースタイルの要素を数多く取り入れ、ブレーキなど安全性を見直すことで、更に魅力的なモデルとなった。ストック状態では1人乗りのモデルとなっている。大型クルーザーとはまた違ったスリムなボバースタイルも相まって、現地ではシティーコミューターなどのライトユーザーもターゲットとされていることだろう。
ボバースタイルとは?
ボバー(Bobber)とは、アメリカ発祥のダートトラックをより早く走るレースマシンにするために「余計なものを切り落とし軽くする」ことから始まったクルーザーのカスタムスタイルで、簡素な外観とスリムでコンパクトな車体などが特徴。従来の華美でグラマラスなクルーザーとは対極的に、余分なパーツを削ぎ落としたり、車体やフェンダーを短く切り詰めるなどシンプルなデザインをポイントとしている。
日本の絶版車、アメリカではなぜ現役で販売できる?
排出ガス規制値が日本(直近では令和2年度二輪車排出ガス規制)やヨーロッパ(直近ではEURO5 2020年適用)では段々と厳しくされてきているが、アメリカは独自の排ガス規制を敷いているため、日本やヨーロッパで販売できないモデルも継続して販売されている。
日本国内での販売
シャドウ・ファントムは日本では2009年に販売を開始した。2012年に車体色をグラファイトブラックからマットガンパウダーブラックメタリックに変更した。当時は当車輌のほか、よりクラシックなシャドウ750、ロードスポーツモデルのVT750Sも派生車としてラインアップされており、ニーズに合った車両を選択することができた。2016年には惜しくも販売が終了した。
筆者も大型自動二輪の免許を取得し、バイクを購入する時にシャドウ・ファントムも検討していた車輌の1台だった。当時流行し始めていたマットブラックのカラーとロー&ロングの車両がとても魅力的に感じていた。あいにく試乗車が見つからなかったため検討から外れてしまったが、今でもぜひ乗ってみたい1台である。
スペック
・全長×全幅×全高:2362×828×1069mm
・ホイールベース:1640mm
・シート高:650mm
・車重:250kg(油脂類含、ガソリン満タンにて)
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒 745cc
・最高出力:44.6PS(回転数記載なし)
・最大トルク:6.62kgf-m(回転数記載なし)
・燃料タンク容量:17.7L
・変速機:
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/90-17、R=160/80-15
・価格:ABSモデル US$8,699(約123万6600円)
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