
写真:長谷川徹、小川勤
バイクに乗り始めて2年半ほど……まだまだバイクビギナーという自覚はありつつも、自らをルーキー(新人)ライダーと名乗って、もっといろんなバイクに乗ってみようと思う今日この頃。ついに!ようやく!はじめましてのドゥカティ試乗の機会が訪れた!まずは、スクランブラー アイコン(2024)で行ってみよう!
目次
はじめてのバイク購入の候補のひとつはスクランブラー アイコン ダークだった
人生いろいろ、40歳で一念発起して普通二輪&大型二輪の免許を取得した私だが、20代の頃に免許取得と同時に憧れたバイクがドゥカティだった。とはいえ、まさに高嶺の花という表現がぴったりで、憧れつつも自分とは無縁の世界。それは免許取得後も変わらず、バイクに乗るようになってからもドゥカティに乗ることはないと思い込んでいた。
そう思い込む要因はいくつかあるが「ドゥカティ=スーパースポーツ=自分は乗れない」の公式が私の中で明確だったことが大きい。これなら乗れそう!と一目惚れしたブサ可愛い(褒め言葉)ロイヤルエンフィールドのヒマラヤからスタートした私のバイク人生と、彫刻的な美しいバイクで颯爽と駆るドゥカティの世界が交わることはなかったのだ。
それが大きく変化したのは、今春にトライアンフのスクランブラー400Xに乗り換えたことも大きい。ここで私の歴代(といっても2台だが)の愛車を比べてみよう。ちなみに2台とも新車で購入している。
ロイヤルエンフィールド ヒマラヤ(1年10カ月、約1万kmをともにしてお別れ)
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ411cc、最高出力:24.3ps@6500rpm
トライアンフ スクランブラー400X(納車して半年経過、約5000kmをエンジョイ中)
水冷単気筒DOHC4バルブ398cc、最高出力:40ps@8000rpm
これを見て、お分かりいただけるだろうか? 牧歌的なヒマラヤから排気量は小さいながらも馬力のあるスクランブラー400Xに乗り換えたことで、私のバイク人生にスピードの概念がやや芽生えてきたのだ。これはいつかドゥカティに乗れる日も遠くないのでは?と思っていたら、その日は意外とすぐに訪れた。
お前にはまだ早い!と言われていた(ような気がする)高嶺の花
ひょんなきっかけは、9月より日本でも販売開始となったハイパーモタード698モノの試乗会だった。新開発された10250rpmを誇る単気筒エンジンを搭載したハイパーモタード698モノを見ることができると聞き、いそいそと取材に同行したら、スクランブラー アイコンとモンスターも試乗車が用意されていて「せっかくだから乗ってみれば?」というお誘いまでいただいたのだ。密かに憧れていたドゥカティ…今なら乗れる気がする!ということで、まずはスクランブラー アイコンとご対面。
’62イエローと呼ばれている生き生きとしたイエローのタンクが印象的なスクランブラー アイコン。か、、かわいい!見ているだけで元気がもらえるようなビビッドなカラーは、ダークカラーばかり好む私にもとても新鮮。何度も言うが、かわいい!
車重(燃料含まず)は176kg、シート高795mmのスクランブラー アイコンは、実際にまたがってみると私には少し窮屈感があるような気がしつつも、このくらいの軽さや大きさは扱いやすく、取り回しに不安もない。
「Next-Gen Freedom」の最新スクランブラーは何が違う?
ドゥカティのスクランブラーの歴史は1960年代に始まり、1975年で一度生産が終了。そして「Land of Joy」という世界観を掲げて、現代に復活したのは2015年のこと。2023年モデルは「Next-Gen(次世代) Freedom」を掲げて、第2世代に進化。
そのコンセプトを体現するかのように、スクランブラー アイコンは2つのベースカラー(ドゥカティレッドと’62イエロー)に加え、アクセサリーキットでさらに6色を展開。9色から選べるスクランブラー アイコンは、個性をつくる・楽しむことも提案しているのだ。
ちなみにアイコン以外には、フルスロットルとナイトシフトがラインナップ。そして先日、2025モデルとして新しいフルスロットルとアイコンダークが発表された。さらにスクランブラー10周年アニバーサリーを祝して限定モデル「10°Anniversario Rizoma Edition」も登場して盛り上がっている。
第2世代に進化したスクランブラー アイコン。’62イエローは青空と緑がとても似合う!
2015年に登場したスクランブラーから世界観は踏襲されているので、パッと見た時の印象に大きな相違はない。
最新のマシンらしくライト類はフルLED化を実現。ヘッドライトの特徴的な「X」はキープしつつ、よりシャープで認識のしやすいエクステリアになっている。
もちろん次世代モデルは、エンジンとシャシーの進化も見逃せない。空冷でユーロ5排出ガス規制をクリアした803ccのLツインエンジンは、先代モデルより2.5kgの軽量化、バイク全体で鑑みると約4kgの軽量化を実現している。トレリスフレームは刷新され、新しいスイングアームの採用とともにリヤサスペンションはサイドからセンターマウントに。前18/後17インチホイールも新たにデザインされたものだ。
新しいコンパクトな8枚ディスクのクラッチユニットを採用することで油圧によるレバー操作力を低減。シフトドラムをベアリングマウントにすることでシフト操作もよりスムーズになっている。スロットルを電子制御するライドバイワイヤも導入され、「ロード」と「ウェット」の2つのライディングモードを実装。トラクションコントロールシステムやコーナリングABSを装備し、上下対応のクイックシフトもアクセサリー設定(フルスロットルは標準装備)されている。
ふとした時にイエロータンクが視界に入る。そのたびに気分が高揚。かわいいって偉大だ!
スクランブラーの良さは、ドゥカティのラインナップの中でいちばんシンプルなこと
とはいえ、バイクのスペックを羅列されるほどにまだまだ難しさを感じるルーキー(私)としては、スクランブラーのいちばんの長所はエンジンはこの時代に貴重な空冷で、スペックはほどほどということに尽きると思う。
難解な電子制御に悩むことはないし、ライディングポジションも自然、そして何よりバイクの根源的な楽しさに溢れている乗り味。そしてクラシカルなスタイルはファッションも楽しみたいライダーにもおすすめで、価格もドゥカティの他のモデルより抑えられているのは嬉しいポイントだ。
実際に試乗してみて感じたのは、排気量803cc、最高出力:73ps@8250rpmのパワーにはバイクがはじめてのライダーはある程度の慣れが必要かもしれないと思うものの、ある程度バイクに乗るようになると特段難しさはない。大型二輪免許は必要だが、逆を言うと大型バイクにあるマッシブな感じはどこまでも薄く、とにかく乗りやすい。
足つきに不安があるライダーはアクセサリーのローシート(780mm)を選ぶといいだろうし、私のように少し窮屈感を感じた場合はハイシート(810 mm)を選択することもできる。
今回、スクランブラー アイコンに試乗して私のドゥカティイメージは少し変化した。冒頭に書いたように「ドゥカティ=スーパースポーツ」は変わらないが、「その世界観をカジュアルに楽しむことができるモデルもある」ということ。
世代やキャリア、性別、走るシチュエーションを問わないスタイルは、「はじめてのドゥカティ」にふさわしいパッケージ。そして9色から選べるスクランブラー アイコンは、自由な自己表現を追求したいこだわり派のライダーに応えてくれる稀有な存在だろう。
ドゥカティといえばレッド!と思っていたが、スクランブラー アイコンは他のカラーも独特の魅力があっておすすめ。ぜひ一度チャックしてみてほしい。
ドゥカティ スクランブラー アイコン [2024]主要諸元
・ホイールベース:1449mm
・車重(燃料含まず):176kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ90度L型ツイン803cc
・最高出力:73ps(53.6kW)@8250 rpm
・最大トルク:6.65kgf・m/7000rpm
・燃料タンク容量:14.5L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=φ330mmシングルディスク、R=φ245mmシングルディスク
・タイヤ:F=110/80R18、R=180/55R17
・価格:133万3000円〜
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