モトGPクラスでその速さを見せ、2025年シーズンから日本人ライダー小椋 藍が乗ることでも注目を集めるアプリリア。そのアプリリアから登場したRSV4 X ex3mは、モトGPテクノロジーを満載したスペシャルなモデルだ。
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マックス・ビアッジが開発に関わる限定車
ここ数年モトGPクラスでの活躍も目覚ましいアプリリアだが、かつての中量級であるWGP250ccクラスではマックス・ビアッジやバレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソといった名ライダーたちのライディングによって何度も年間チャンピオンを獲得している。
そのアプリリアの輝かしいレーシングヒストリーの中でも、1994年から3年続けて年間チャンピオンとなったマックス・ビアッジと、彼の駆ったチェスターフィールド・アプリリアカラーのRSV250は特別な存在と言えるだろう。
2019年にフルモデルチェンジされたアプリリアのフラッグシップモデルであるRSV4は、排気量が1079ccとなったためスーパーバイクのレギュレーションから外れ、2021年にはユーロ5排出ガス規制に対応するために1099ccへとさらに排気量を拡大。一部のレースには条件付きでの参戦が許可されているが、基本的にはレースの第一線からは身を引いた形になっている。そんな独自路線を進むRSV4だが、アプリリアレーシングによって仕立てられた「RSV4 X ex3m」と名付けられたモデルが30台限定で発売されることになった。
このRSV4 X ex3mの開発や最終調整にはマックス・ビアッジが関わっており、その“Perla Nera(黒真珠)”と呼ばれるカラーリングは、ビアッジが駆ったチェスターフィールドカラーのRS250への明確なオマージュである。
車体の各部に、モトGP由来のテクノロジーを満載する
RSV4 X ex3mはアプリリアレーシングによってモトGP由来のテクノロジーを各部にフィーチャーしたモデルである。このRSV4 X ex3mの最大の特徴とも言えるのが、モトGPレーサーRS-GPのために開発されたグラウンドエフェクトエアロダイナミクスを搭載したことであり、これは新設計のフロントウイングと“スプーン”と呼ばれるスイングアームの下のアンダー ウイング、フロントマッドガード下部のコーナリングウイングで構成される。これらのウイングを含むフェアリング類は全てカーボファイバー製であり、パン コンポジティ社によってモトGPと同じテクノロジーを用いて製造されている。これによってRSV4 X Trentaと比較して、直線でのダウンフォースが5倍に増加したことで安定性と精度が向上し、ウィリーが減少。また、コーナーではダウンフォースが3倍になり、グリップが大幅に向上している。
エンジンは65°V型4気筒1099ccで、圧縮比を高め、高性能エアフィルターやチタンヘッダーとツインテールパイプを備えたSCプロジェクト製のエキゾーストシステムなどを装備。その結果、最高出力230hp/13500rpm、最大トルク131N・m/11000rpmというスペックを発揮する。すべてのアクティブ電子制御を管理するECUは、アプリリアレーシングの誇るAPXで、これはビアッジとRSV4が優勝したWSBで使用されたシステムの最新進化形だ。
乾燥重量わずか165kgに仕上げられた車体は、ツインスパーアルミニウムフレームにオーリンズの前後サスペンションを組み合わせ、ブレーキシステムはブレンボ製。ホイールにはカーボンファイバーリム採用され、ピレリがスーパーバイク世界選手権で使用しているのと同じスリックタイヤを履く。
その他、ジェットプライム製のレーシングタイプハンドルスイッチが採用され、アジャスタブルタイプのフットペグやクラッチレバー、タンクキャップ、エンジンケース、フロントブレーキレバーガードなどはすべてビレットアルミニウムで作られている。
限定30台、80000ユーロのバイクがもたらすもの
このRSV4 X ex3mの価格はVAT(付加価値税)別80000ユーロで、9月からFACTORYWORKS.APRILIA.COM でオンライン予約のみで販売される。購入者はノアーレのアプリリアレーシングでバイクを受け取り、レーシング部門を訪問することができるという。また、各車両にはリミテッドナンバーが刻まれ、ヤシ製のノートパソコン、専用のバイクカバー、専用カーペット、リアスタンドが提供される。
たった30台限定となるRSV4 X ex3mは、アプリリアレーシングが立ち上げたファクトリーワークスプログラムの一部であり、ノアーレのレーシング部門で考案されたプロジェクトだ。派生シリーズ選手権を最高レベルで競うライダーや、最高のパフォーマンスを備えたRSV4やTuono V4を求めるライダーのために、レースで開発されたテクノロジーを提供するために設計されている。この特別なバイクを手に入れられる人は幸運であり、今まで経験したことのないライディングを体感することになるだろう。
RSV4 X ex3m主要諸元(2024)
エンジン:65° V型4気筒1099cc(SBK レース仕様)
排気システム:SCプロジェクト製チタン、カーボンファイバー ダブルエンドテールパイプ付き
ECU:APX(アプリリアレーシング)、専用キャリブレーションおよび GPS システム付き
最大出力:230 HP / 13500 rpm
最大トルク:131 Nm / 11000 rpm
ホイールリム:フルカーボンファイバー GP TEK (フロント 17’x3.5’’、リア 17’x6’’)
ブレーキシステム:ブレンボ GP4 MS モノブロックキャリパー、ブレンボ PR19x16 マスターシリンダー、Z04 ブレーキパッド
フロントブレーキディスク:ブレンボ DP 330 ‘T Drive’ ブレーキディスク、厚さ 5.5 mm
フロントサスペンション:オーリンズ FKR 加圧カートリッジ、機械式。スプリングプリロードと油圧圧縮およびリバウンドダンピングを調整可能。
リアショックアブソーバー:オーリンズ TTX、機械式 GP 由来のピギーバック、スプリングプリロード、ホイールベース長、専用油圧、圧縮、リバウンド調整可能。
ステアリングダンパー:オーリンズ製 調整可能
フェアリング:モトGP仕様 パン コンポジティ製カーボンファイバー製
エアロダイナミクス:パン コンポジティ製カーボンファイバー製フロントウィング、アンダーウィング、コーナリングウィング
タイヤ:ピレリ スリック ディアブロ SBK フロント SC-1 125/70、リア SC-X 200/65
乾燥重量:165 kg
価格:80,000ユーロ(ヨーロッパ・税抜き)
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