2024年2月にYZF-R1のEURO5+対応の開発停止が発表され、事実上の公道仕様の生産中止が告げられていた。しかし、9月18日にアメリカで公道仕様の2025年モデルが発表され、同時にヨーロッパでは「R1 RACE」と名付けられたクローズドコース専用モデルが発表された。

ヨーロッパでのレースを主眼に開発たれた2025モデル

ヨーロッパで発表された「R1 RACE」は、アメリカで発表された「YZF-R1」をベースにしたレース仕様と言えるが、新しいR1はヨーロッパでのレースとトラック使用に焦点が当てられたモデルとして開発されたようだ。新しいYZF-R1はモトGPマシンであるYZR-M1により近い装備が与えられ、モトGPにインスパイアされた空力ウィングレット、アップグレードされたサスペンション、最新のブレンボ製ブレーキシステムを備えている。

最初に目につくのは、やはりフロントカウルに取り付けられたウイングレットだろう。カウルから大きく張り出したデザインのこのウイングレットは、ヤマハファクトリーレーシングモトGPチームからの技術的フィードバックに基づいて設計・開発されているという。材質にカーボンを使用することで強度と剛性を確保し、R1のアンチウィリーエレクトロニクスの効果を最大限に高め、ブレーキングやコーナリング時のフロントエンドの感触とフィードバックも向上させている。また、シートには新しいシートカバー材質が採用され、グリップ性の向上によって体重の移動が楽になり、コーナリング時の安定感も向上している。

カヤバ製の43mm径フロントフォークは完全新設計されたもので、左右のフォークチューブにリバウンドダンピングとコンプレッションダンピング用の個別のアジャスターが装備されている。それぞれ個別に調整可能で、右チューブはリバウンドダンピング用、左チューブはコンプレッション用となっており、高速と低速の両方に対応している。各フォーク内にベースバルブが装備されたことで、オイルがフォークの底部に流れ込むのを制限または完全に防ぎ、シリンダー内の圧力を最適化。この新しい構造によってダンピングの応答性が改善され、接地感が向上するとともに安定性が向上している。また、アウターチューブには、新しいカシマコーティングが採用されている。

ブレーキにはブレンボ製のマスターシリンダーとSTYLEMAモノブロックキャリパーを組み合わせる、全く新しいフロントブレーキシステムが採用されている。マスターシリンダーはコントロール性に優れたラジアルタイプ、軽量なSTYLEMAキャリパーは、4つの30mmピストンを通じて制動力を生み出している。

200PSを発生する伝統のCP4エンジンは、270度-180度-90度-180度という点火タイミングを採用して、強力で直線的なトルクを発生。高効率の吸気システムと特別に設計されたフィンガーフォロワーロッカーアームを備え、レース用に開発されたエンジンはサーキットにおいて最適なパフォーマンスを発揮するようにチューニングされている。

元々YZF-R1は6軸IMU(慣性計測ユニット)という、モトGP由来の技術を備えた最初のオートバイの1台である。このIMU は、ピッチ、ロール、ヨーを監視するジャイロ センサーとGフォースセンサー、および前後、上下、左右の加速度を測定する加速度計を備えており、マシンの状態データを1秒あたり125回ECUに送信します。ECU は、トラクション コントロール(TCS)、スライドコントロール(SCS)、ブレーキコントロール(BC)、リフトコントロール (LIF)、ローンチコントロール(LCS)、3 モードのエンジンブレーキマネジメント(EBM)など、R1の高度な電子ライダー補助機能を制御する。さらに、新型YZF-R1にはヤマハのクイックシフトシステム(QSS)とパワー選択モード(PWR)も搭載されている。

大幅なモデルチェンジとなったアメリカ、ヨーロッパ仕様のR1は日本にもこのアメリカ仕様をベースとした公道仕様が導入される確率が高く、2025年モデルを公道で乗ることができるようだ。ちなみにアメリカ仕様の価格は18999ドルで日本円に換算すると約271万円スタートとなっている。

惜しみなくカーボンを投入したハイグレードモデルYZF-R1M

STDと同時に発表されたR1Mに関しては、以前同様にヤマハフラッグシップを象徴するシルバー・ブラック・ブルーを纏った姿が特徴。同時にSTDとの大きな違いとして、タンクにアルミが使用されている点やフロントフェアリング全体がカーボンに統一されている部分も継続となる。

大きな変化としては、やはりSTD同様に特徴的なカーボンウィングレッドが追加された点だろう。R1Mではフロントフェアリング全体がカーボン仕様のため、より親和性のとれたデザインとなっているように見える。

またSTDではカヤバ製だったサスペンションがオーリンズへと変更。「ダイナミックオーリンズエレクトロニック レーシング サスペンション」 (ERS) はIMUと連携する電子サスペンションで、リアルタイムで調整を繰り返すことで最適なパフォーマンスを実現する。

価格はSTDの18999ドル(約271万円)から27699ドル(約395万円)と大幅に上がっており、これは贅沢に使用されたカーボンやアルミパーツ、足回りの充実した装備によるものと思われる。

より高い性能をレースで発揮するためのGYTRも用意

R1 RACEに加えて、ヨーロッパではGYTR製パーツを組み込んだ「R1 GYTR」も発表されており、これはヤマハの専門GYTRプロショップによって組み立てられる。レースベースモデルとして設計されたR1 GYTRは、パフォーマンスを次のレベルに引き上げるためのライダーのニーズに合わせてさらにカスタマイズすることが可能になっている。

位置を調整可能なGYTRリアセット(※ステップキットのこと)とハンドルバーは理想的なライディングポジションを作り出し、ウィングレットを含むカーボン強化ファイバーグラス製のGYTRレースカウルは軽量かつ空力性能に優れる。このカウルはブラックプライマー仕様で提供され、GYTRデカールセットも含まれる。また、ライダーの操作性をさらに向上させるレーシングシートも用意されている。

その他にもレース用のZ04レーシングブレーキパッドやレーシングECUアクラポビッチ製のエキゾーストシステムを備える。さらに、完全にキーレスとなり、トラック重視のGYTRオン/オフスイッチを備えています。また、GYTRリアスタンドフックの取り付けによりピットでの作業性向上し、Rシリーズレーシングリアスタンドも付属している。

YZF-R9はどうなる?

YZF-R1がよりサーキット志向を高めた新型YZF-R1だが、噂されているCP3を搭載した「YZF-R9」もそのコンセプトを引き継ぐ可能性もある。おそらくYZF-R9はEICMAで発表されることになるだろうが、新型のR1にウイングレットが採用されたということはR9もウイングレット付きになるのではないだろうか。モトGPの850cc化も近づいており、今後他のメーカーを含めたスポーツバイクのラインナップにさらに大きな動きがあるのかもしれない。

YZF-R1(2025年US仕様)

・全長×全幅×全高:80.9×27.2×45.9in

・ホイールベース:55.3in

・シート高:33.7in

・車両重量:448lb

・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒998cc
・燃料タンク容量:4.5bal

・変速機:6段リターン

・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17

・価格:18999ドル(約271万円)

YZF-R1M(2025年US仕様)

・全長×全幅×全高:80.9×27.2×45.9in

・ホイールベース:55.3in

・シート高:33.9in

・車両重量:452lb

・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒998cc
・燃料タンク容量:4.5bal

・変速機:6段リターン

・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17

・価格:27699ドル(約395万円)

アメリカでYZF-R1の2025年モデルの公道仕様が発表!! 日本にも早期に導入か? (37枚)

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