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会場は地中海を見下ろすバルセロナのリゾートホテル
「ゲ、ゲリラ?」。なんて過激な車名なんだろう……。突如、ロイヤルエンフィールドのSNSに上がった写真を見て驚いた。ゲリラの意味を調べると小さな戦争を意味するスペイン語が語源で、奇襲、待ち伏せ、不意をつく、攻撃を行う、戦闘などの意味。日本ではゲリラ豪雨という表現のイメージも強い。
余談だが、そんなネーミングについて今回の試乗会が行われたバルセロナで韓国のジャーナリストと話をしていると「韓国でもゲリラゴウウです。発音も同じ」と笑い合った。ゲリラつながりから、意外な異国文化を知ったのも思い出深い。
話をロイヤルエンフィールドの新モデル、ゲリラ450に戻そう。今回のメディア試乗会は、スペインのバルセロナで開催された。僕は何度か参加しているが、いつもながらロイヤルエンフィールドのワールドローンチはとても豪華だ。今回はサマーバケーション真っ只中にダブルバルセロナという海沿いの高級ホテルの一角を貸し切り、世界から60名近いジャーナリストやインフルエンサーが参加。
ロイヤルエンフィールドのスタッフはインドの本社はもちろんイギリスのテクニカルセンターからも数多く、さらにはロイヤルエンフィールドの親会社であるアイシャーグループの代表シッダールタ・ラルさん(皆にはシドと呼ばれている)も参加。ジャーナリストとのコミュニケーションや試乗を楽しんでいた。会場や参加人数を考慮してもその規模は大きく、まさに勢いのあるインドパワーを体現しているかのようだ。
エキセントリックなネーミングとカラーをまとった水冷ロードスター
ロイヤルエンフィールドの新たなるロードスタートして登場したゲリラ450は、日本でも発売がスタートしたアドベンチャーモデルであるヒマラヤと同じプラットホーム。シャシーのエンジン懸架部分はヒマラヤと共通だが、キャスター角は立てられ、スイングアームやシートレールは専用品に変更。ホイールは17インチとなり、前後サスペンションはショーワ製の専用品を採用する。
エンジンは452ccの水冷DOHC単気筒で、日本では大型自動二輪免許が必要になる。ヒマラヤとは点火や燃調、さらにファイナルを変更してキャラクターを構築している。
そんなゲリラ450は「フラッシュ」「ダッシュ」「アナログ」の3バリエーションを展開。最上級の「フラッシュ」は簡易ナビであるトリッパー内蔵のTFTメーターのほか、さまざまな装備が与えられ、カラーはイエローリボンとブラヤブルーの2色展開。「ダッシュ」はTFTメーターを装備し、ゴールドリップとプラヤブラックの2色展開。「アナログ」はアナログ式メーターを装備し、プラヤブラックとスモークの2色展開となる。
僕が試乗したのはゲリラ450のメインカラーであるイエローリボン(最上級の「フラッシュ」モデル)。このカラーを初めて見た時のインパクトは凄かった。1970〜80年代からインスピレーションを受けたというゲリラ450のカラーデザインは斬新で、イエローリボンだけでなくゴールドリップとプラヤブラックはどことなく国産旧車を感じさせるし、ブラヤブルーの前後ホイールの色が異なる感じも新鮮だ。
スペイン郊外のワインディングで理想的なコーナリングを披露!
真夏のバルセロナの日中は灼熱。試乗開始の8時30分には渋滞が始まっていたが、まずは「エコ」モードのゲリラ450で走り出す。豊かな低速トルクとスロットルを開けた時の気持ちよさやレスポンスの良さは、従来のロイヤルエンフィールドと同様。早めのシフトアップで低中速を繋ぐ走りも、少し回転を上げて元気に走るのもどちらも楽しい。
市街地を抜けてワインディングに入ったところで、エンジンモードを「パフォーマンス」に変更。するとエンジンが俄然元気になった。
試乗後、エンジニアに聞くとこれもあえての味付けとのこと。穏やかなヒマラヤと明確な差別化を図っており、少しヤンチャな性格が付加されているのだ。この加速感は使っているギヤ(3000rpm辺りから)によっては結構唐突なので、慣れるまでは注意した方がいいだろう。
とはいえベースは安定型のキャラクターだから、ライダーの操作にとても忠実。サスペンションはアベレージを上げても腰砕けになる感じはなく、ライダーが荷重を強めると減衰力を高め、タイヤのグリップを引き出す走りも可能にしてくれる。
シアット製の専用タイヤはブロックパターンとは思えないほどスポーティな走りに応えてくれ、深いバンクもしっかり許容。景色を見ながらクルージングできるし、コーナーも楽しめるスポーツネイキッドとしての魅力も持っているのだ。
ゲリラ450の排気量は452cc。日本では大型自動二輪免許が必要だが…
ゲリラ450の欧州でのライバルは、KTMやハスクバーナ、トライアンフの400cc未満のモデル。それらに比べるとプラス50ccのアベレージの高さが魅力のゲリラ450だが、日本においては大型自動二輪車免許を必要とする絶妙な排気量(452cc)には賛否が分かれるだろう。日本の普通自動二輪車免許で乗ることができる点では、ライバルたちに利があるのは事実だ。しかし僕の結論を言うと、ゲリラ450は大型免許を取得してでも乗って欲しいとおすすめできる絶妙なパッケージを持っている。
はじめてのバイクにはもちろん、ダウンサイジングを考えているライダーにもおすすめできるバイクというのは、実はまだまだ選択肢が少ない。そのなかでもゲリラ450に乗っているとバイクが好きになるし、バイクに乗るのが楽しくなるし、上手く乗りこなしたいという向上心も芽生えるだろうなぁ、という手応えを感じるのだ。
スポーティかつアグレッシブ、それでいてアクセシビリティなキャラクターを持つゲリラ450。この新たなるロイヤルエンフィールドスタイルは、多くのバイク好きを生み出してくれそうな気がしてならない!
ゲリラ450のディテールとカラーを見てみよう
ロイヤルエンフィールド ゲリラ450 主要諸元
・ホイールベース:1440mm
・車重(90%燃料+オイル):185kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒452cc
・最高出力:40.02PS(29.44kW)/8000rpm
・最大トルク:4.08kgf・m/5500rpm
・燃料タンク容量:11L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=φ310mmシングルディスク、R=φ270mmシングルディスク
・タイヤ:F=120/70 R17、R=160/60 R17
・価格:未定(日本導入時期は2025年予定)
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