「CB400FOUR」と名付けられ車両は、ホンダの歴史の中に2回登場する。最初は「ヨンフォア」の愛称でも知られる1974年モデル、そして2回目は1997年に登場した水冷エンジン搭載モデルだ。今回ここで紹介していくのは、二代目となる水冷エンジンを搭載したNC36型の「CB400FOUR」だ。

時代を先取りしすぎた初代「CB400FOUR」

「CB400FOUR」という名前がバイク史に現れたのは1974年であり、カタログに記された「おお400。おまえは風だ。」といキャッチフレーズが有名だ。「400cc4気筒」を意味する「ヨンフォア」や、集合管に由来する「フォーワン」となどと呼ばれたCB400FOURは、当時の多くのライダーたちの注目を集めた。

このモデルは当初408cc仕様のエンジンを搭載していたが、1975年に運転免許制度が改正されて中型限定免許が設定されたことによって、1976年にストロークを50.0mmから48.8mmに変更することで排気量が398ccへとダウンされたことでも知られている。

当時の2気筒が基本であった400ccクラスに4気筒で挑んだCB400FOURだったが、主にコストの問題から1977年に国内向けは生産中止となった。意外かとも思うのだが、名車として知られるCB400FOURはたった3年間しか製造されていないのである。CB400FOURに大きな注目が集まったのは生産中止後のことであり、現在においては新車価格の何倍もの価格で取引されるプレミアムビンテージバイクとなっている。

1997年、ホンダはこの「CB400FOUR」とまったく同じ名前を冠した400ccのバイクを発売した。それが今回紹介していくNC36型の「CB400FOUR」である。

より高い年齢層を狙った? 「二代目」CB400FOUR

「二代目」と呼ぶべきかどうか迷うところではあるが、新しいCB400FOURはCB400SUPER FOUR系の水冷エンジンをよりクラシカルなデザインの車体に搭載したモデルだ。「クラシカルなデザイン」という表現をしたが、4本出しのマフラーや全体的なボディデザインはドリームCB750FOURをモチーフとしていた。

ドリームCB750FOURは1969年から1977年の間に製造それたモデルであり、このバイクの現役時代に10代だった層は1997年には40〜50代である。CB750Fの場合は1979年〜1983年の間に製造されているので、30〜40代となる。それを考えると、NC36型のCB400FOURは、CB750F系のデザインの流れにあるCB400SUPER FOURよりも高い年齢層を狙ったモデルだったと言えるだろう。ただ、ライバルゼファーやCB400SUPER FOURは10代20代のライダーにも支持された。

NC36型CB400FOURはテールカウルを持たないシートと丸みを帯びたタンクを持ち、そして4本出しのマフラーはドリームCB750FOURをモチーフとしていた。しかし、カラーリングはラインなどの入らないシンプルな単色で、「HONDA」のエンブレムが入るだけというデザインは旧CB400FOUR的であった。

オリジナルを超えたその完成度は、新しさすら感じさせる

NC36型CB400FOURのエンジンは、先にも触れたようにCB400SUPER FOURがベースになっている。つまり、水冷DOHC4バルブ並列4気筒なのだが、そのシリンダーには美しいフィンが刻まれ、ミッションはワイドレシオの5速へと変更されている。スペックを見てみると、1996年型のCB400SUPER FOURが最高出力53PS/12000rpm、最大トルク3.7kgm/10000rpmなのに対して、1997年型のNC36型CB400FOURは最高出力53PS/10000rpm、最大トルク4.1kgm/7500rpmとなっている。同じ最高出力を2000rpmも下で発生し、2500rpmも下でより高いトルクを発生するこのNC36型CB400FOURは扱いやすく、走るシーンによってはCB400SUPER FOURよりも速さを示した。

足回りではフロント18インチ、リア17インチのスポークホイールを採用し、ブレーキはフロントダブルリアシングルのディスクブレーキを備える。リアショックはクラシカルなスタイルを引き立てるツインタイプで、4本出しのマフラーと合わせて迫力のあるリアスタイルを生み出している。

細部まで手を抜くことなく作り込まれたNC36型CB400FOURは、発売当時の価格が57万9000円と同時期のCB400SUPER FOURよりも安価であった。CB400SUPER FOURよりもコストがかかっていそうな部分もあるのに安価であり、完成度も高いNC36型CB400FOURであったが、発売翌年の1998年モデルが最終モデルとなっており、そのモデルライフはたった2年という初代モデルよりも短いものであった。

ちなみにホンダのリリースによると1997年の登場時の国内年間販売計画台数は8000台であったが、1998年の後期型発表時には4000台に縮小されている。1995年のCB400SUPER FOURの国内年間販売計画台数が20000台であったことを考えると、NC36型CB400FOURは狙った層の支持を得られなかったと考えるべきだろう。ただ、近年盛り上がりを見せるネオレトロブームの影響でNC36型の価値は見直されつつあり、それはそのまま中古車の価格上昇という形に現れていると言えるだろう。

CB400FOUR(1997)

・全長×全幅×全高:2130×780×1090mm

・ホイールベース:1460mm

・シート高:790mm

・車両重量:210kg

・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒399cc

・最高出力:53PS/10000rpm

・最大トルク:4.1kgm/7500rpm

・燃料タンク容量:15L

・変速機:5段リターン

・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=110/80-18、R=140/70-17

・価格:57万9000円(当時価格)

撮影協力:バイク王つくば絶版車館


住所:茨城県つくばみらい市小絹120

電話:0297-21-8190

営業時間:10:00~19:00

定休日:木曜日

ドリームCB750FOURをモチーフに、4本出しマフラーを備えたCB400FOUR画像ギャラリー (21枚)

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