2024年春から日本に導入されているロイヤルエンフィールド「BULLET350(ブリット350)」。同社のラインナップでは4モデル目となる350ccモデルだが、その中でも最もオーソドックスなスタイルのロードスターだ。今回は足つきと実走のインプレッションをしてみたい。

「弾丸」の名を冠する伝統のモデルが復活

「現存するバイクメーカーで最も古い」がキャッチコピーのロイヤルエンフィールド。イギリスで1901年に初めてオートバイを生産し(ぎりぎり20世紀だ!)120年以上の歴史を誇る。それだけでも十分面白いバックボーンのメーカーなのだが、それ以上にその名が知られる理由は、拠点が1970年代にインドに移って以降、ほとんどモデルチェンジをしなかったこと。このためごく最近まで60年代そのままの空冷シングル機のみをラインナップしており、「新車で買えるレトロバイク」としてマニアには有名だった。

そんなロイヤルエンフィールドの中でも、最も知られたシリーズが「BULLET」だ。弾丸を意味する「バレット」に由来するこのモデルは1948年に初登場し、きってのスポーツネイキッド(そんな名前のない時代だが)として活躍。2015年まで「バレット500」として販売されていたものの、これを最後に途絶えていた。

IMGP6368_2024-08-13 19-45-09_2024-08-13 19-53-01
IMGP6363_2024-08-13 19-45-10_2024-08-13 19-53-03

今回復活したブリットは、349ccの空冷OHC単気筒エンジンを搭載するミドルクラスとして登場。このエンジンは既にラインナップされているクラシック350やメテオ350、ハンター350と同様のパワーユニット。最高出力は20PS/6100rpm、最大トルクは27Nm/4000rpmで、兄弟モデルと同様。ミッションは5段リターン。車体重量は195kgで、クラシック350と同じ数値だ。スペック的な違いはホイールサイズ程度で、クラシックがフロント19インチ・リア17インチのところ、ブリットはフロント19インチ、リア18インチというレイアウトで、リアが大きいクラシカルなシルエットとなっている。

実用車を思い出させる武骨さ 鉄フェンダーが最高だ

ブリットは、近年は流行りの「ネオレトロ」とは明らかに違うマシンだった。驚いたのは前後フェンダーがスチール製であること。現代のバイクの常識(重くなる、錆びる、高くつく)から言えば、新発売のモデルに鉄フェンダーはないだろう。しかし真っ黒なボディに、やや野暮ったい大きなフェンダーは、旧車そのものの重厚感を放っていた。ただし華やかなロードスポーツマシンとは違う。その雰囲気は黒塗りの実用車。バイクが貴重な家庭の足だった時代の匂いだ。

その雰囲気はもちろんフェンダーからのみ発散されているわけではない。太いフォークカバーやごつめのシートもそうだし、分厚いメッキのキャブトンタイプのマフラーも、そして「殿様乗り」を自然にさせてくれるアップなハンドル位置も、リアルなレトロさにあふれている。それでいて装備はもちろん現行車。ブレーキはきちんと前後ともに油圧ディスク、インジェクションで安定した吸気。電子制御はほぼなく、前後のABS程度ではあるが、それ以外はまあ不要だろう。

足つきはクラシック350と並びシリーズで最も悪し!

外見をほめちぎってしまったが、足つきはあまりよくない。よくない、と言っても、不安はもちろんないのだが。18インチのリアホイールのおかげでリア周りがボリューミーに見えつつ、シート高の数値は805mmで、これは車重と同じくクラシック350と共通。165cm/50kgの体格だと、両足をおろすとカカトが完全に浮く程度。ややサイドカバーが大きく、足を開き気味になるのもネガティブな要素だ。引き起こしも少し重い。金属パーツ大量装備であるから、これは仕方ないと言いたい。

とはいえ、足は片足を上げればべったり接地することができ、不安定さはなし。同クラスのシリーズにもまたがった中では、最も足つきが悪いといえるのだが、それでも取り回しに不安は覚えなかった。

スピードは出さなくていい! という感じながら、意外と軽快に旋回

さて、乗り出すと豊かなトルクで低回転から力強く前へ蹴りだされる。このビッグシングル特有の感覚はブリットでも健在だ。しかし軽快に加速できるのは高速道路の制限速度くらいまで。それ以上はスロットルを開けども苦しそう。スペックからでもわかることだが、スピーディーでキビキビした加減速というのは難しそうだ。

しかし意外にも旋回性はよい。ポジションが操作性を全然邪魔しないためか、クルックルと小気味よいコーナリングが楽しく、立ち上がりもポコポコ!と元気そのもので、コントロールが楽しいのも個性的。スポーティーなハンターや、ノンビリしたメテオとも違う独特のフィーリングは、ツーリングにも街乗りでも、景色を見ながら走るのにピッタリだろう。レトロなバイクが好きなライダーには文句なくおススメしたいマシンだった。

ブリット350(2024)主要諸元

・全長×全幅×全高:2145×750×1125mm
・ホイールベース:1390mm
・シート高:805mm
・車重:195kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ 349cc
・最高出力:20PS(14.9kW)/6100rpm
・最大トルク:2.75kg-m(27Nm)/4000rpm
・燃料タンク容量:13.0L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/90-19、R=120/80-18
・当時価格:69万4,100円~

全部が鉄。こういうバイクが欲しいんです。ブリット350【165cmで足つきチェック】 ギャラリーへ (12枚)

この記事にいいねする


コメント一覧
  1. キタキツネ。 より:

    全部鉄で出来ているということはレトロな雰囲気とかではなく、コケでつぶれてもかなりの所まで板金で直すことが出来るという利点があります。プラスチックだと粉砕したらどうしようもないし、コケくても加水分解でボロボロになったりもするので所有年数がかさむだけでもガッカリしますが、その点全部鉄だと、機械式腕時計にも通じる安心感というかロマンを感じます。

コメントをもっと見る
コメントを残す

ロイヤルエンフィールド BULLET 350の価格情報

ロイヤルエンフィールド BULLET 350

ロイヤルエンフィールド BULLET 350

新車 15

価格種別

中古車 2

本体

価格帯 69.79~70.18万円

69.93万円

諸費用

価格帯 15.32~19万円

17.97万円

本体価格

諸費用

本体

66.29万円

価格帯 65.78~66.8万円

諸費用

8.98万円

価格帯 8.47~9.49万円


乗り出し価格

価格帯 85.11~89.18万円

87.9万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

75.27万円

価格帯 75.27万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

【PR】ロイヤルエンフィールド BULLET 350 関連のおすすめ車両 関連のおすすめ車両