ホンダが原付一種クラス電動バイク「EM1 e:」と「BENLY e: I」をヤマハへOEM供給すると発表。となると、現在ヤマハが発売しているジョグなどのガソリンエンジン50ccバイクや、TV番組でおなじみの「eビーノ」は生産終了に? 一方、電動バイクで独自路線を歩むスズキが近々、EVの「e-po」と「eチョイノリ」を市販化するとのウワサも!
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50ccスクーターに続き、EVでもホンダとヤマハが協業へ
8月8日、ホンダとヤマハが原付一種(~50cc)クラスの国内向け電動バイク(EV)における協業を発表した。2023年にホンダが発売した個人向けEVの「EM1 e:」、およびビジネス向けの「BENLY e: I(ベンリィ イー ワン)」をベースとしたモデルを、ヤマハへOEM供給することに合意した。
同日、記者会見が行われ、本田技研工業とヤマハ発動機の担当者が登場。質疑応答を受け付けた。
2016年10月から両社はガソリンエンジン原付一種の分野で協業を開始。2018年からホンダがOEM供給したタクトとジョルノをベースに、ヤマハは独自デザインを与えたジョグ、ビーノとして販売している。
こうした提携と同様に、今後はホンダのEM1 e:とベンリィe:Iをベースに、ヤマハがオリジナルの外観デザインを施したEVを国内向けに発売することになる。登場時期に関しては、会見で「2025年の春頃がメド」とのことだった。
なお、2016年の協業開始からEVの領域でも提携を検討していたが、ここに来てEVに関しても合意に至ったことが記者会見で明らかになった。
E-ビーノは当面存続し、新EVが追加される形に
まず気になるのは、現在ヤマハが発売している原付一種EV「E-ビーノ」の去就だ。ガソリン車のビーノをベースに、ヤマハ独自のモーターやバッテリーから構成されるシステムを搭載。2015年から発売され、某TV番組での活躍などで人気だが、EM-1e:のようなモバイルパワーパックe:を採用していない。
このまま生産終了になるのか、それともモバイルパワーパックe:仕様でモデルチェンジするのだろうか?
会見では「現時点で今すぐやめる判断をする段階ではない。今後ニーズや、生産体制、リソースなどを判断しながら、どういった生産体制になるかを含めてまだ決まっていない。正式に継続するのかしないのか含めてお答えできません」との回答だった。
ただしヤマハは現行のE-ビーノを当面販売し、ホンダからOEM供給されたEVが新たに追加されることになるという。
また今後ヤマハが独自の原付一種EVを開発するかどうかに関しては未定。今回はいかに早く原付EVを発売するかを主眼に置いた提携であり、今後はニーズに合わせてどういうモデルが必要になるのか判断する。OEMより自社開発の方がベターと判断した場合は独自のEVを開発するケースもあるという。
ヤマハのガソリンエンジン50ccの存続に関しては「未定」
50ccガソリンエンジンに関する話題も会見に出た。
2025年11月から原付一種にも排ガス規制が適用されることを受け、50ccのガソリンエンジン車は存続の危機にある。今回の排ガス規制は厳しく、特に排気量の小さい50ccでは規制値をクリアすることが困難。また排ガスの異常などを検知する車載式故障診断装置(OBDII)の登載も義務化されるなど高コスト化で採算が取れないことから、メーカーは生産から撤退すると予想される。
規制後は125cc以下のモデルを出力制限した「新原付」が登場し、原付一種免許で乗車可能になる予定だ。
現在、原付一種を販売しているホンダ、ヤマハ、スズキの3メーカーとも未だ正式に撤退を表明していないが、ホンダは2025年5月で生産終了の見込み。ホンダからOEM供給されているヤマハも、ホンダが生産を終了すれば同じ道を辿るはず。さらに、NHKなどの報道によるとスズキも撤退の方針という。
今回のEV提携に伴い、ヤマハに現行50ccガソリンエンジン車の生産が終了するか訊ねたところ、現在のところ未定。「OEM供給の終了に関しても話は出ていないため、回答する時期ではない」とのことだった。
なお、ヤマハは国内向け原付一種が全てホンダからOEM供給を受けているわけではなく、ビジバイのギアシリーズのみ台湾で自社生産している。こちらに関しても動向は不明だが、ベンリィeベースのビジバイが後継機として登場する可能性があるだろう。
スズキは共通バッテリーではない、電アシ系EVを近日発売へ
今回の発表があった前日、NHKなどで「スズキが50cc原付一種クラスの生産終了を検討している」とのニュースが報じられた。
スズキの現行モデルは「アドレスV50」「レッツ」「レッツバスケット」の3車種。ホンダに加え、スズキも生産終了すれば、国産50ccはほぼ完全に消滅することになる。
一方、スズキもEVに意欲を見せている。2012年から原付EVのeレッツを販売していたが、既に生産終了。現在は電動バイクをラインナップしていないが、2023年秋のジャパンモビリティショーで「e-PO(イーポ)」と「e choinori(イーチョイノリ)」の2台を参考出品した。ともに原付一種扱いのEVで話題を呼んだ。
ウワサによるとe-POは年内、eチョイノリは来年には発売されるだろう。
この2台は共通バッテリーのホンダモバイルパワーパックeではなく、パナソニックサイクルテック製の電動アシスト自転車用モーターユニット+バッテリーを搭載。パナソニックの電動アシスト自転車は普及しており、既にバッテリーも持っているユーザーも多い。またバッテリーが軽いことから採用した経緯がある。
e-POは、パナソニックのオフタイムという電動アシスト自転車をベースにした原付一種の電動バイク。メインフレームが折り畳み可能で、フル電動/アシスト走行/ペダル走行の3通りから選択でき、バッテリーが切れても自力で走行できる。バッテリー込みの重量も20kgと自転車並みだ。
eチョイノリは、スクータータイプのEVで、2003年に5万9800円という衝撃価格で発売されたガソリンエンジンのチョイノリがモチーフ。モーターにトランスミッションを備え、加速性能や登坂性能も確保する。
ガソリンエンジンの50ccスクーターが消滅したとしても、前述のガソリンエンジン新原付、そして原付一種EVが登場することになる。EVはまだ航続距離や価格の問題はあるものの、庶民の足や地方での移動手段として原付一種はまだまだ存続することになりそうだ。
ホンダとヤマハがEV提携でE-ビーノがヤバイよヤバイよ!? スズキは「e-po」と「eチョイノリ」市販で独自路線か ギャラリーへ (8枚)この記事にいいねする
四社共通のバッテリーなのになぜ名称が「ホンダモバイルパワーパックe」なのだろう? ドリフターズのいかりや長介のポジション狙ってるんだろうか?