
根強いキャンプブームが続く昨今。バイク好きの中にも、週末に愛車へキャンプ用品を満載して、アウトドアを満喫するキャンプツーリング、いわゆる「キャンツー」を楽しんでいるライダーも多いと思います。
でも、二輪免許を取ったばかりの初心者や、久々にバイクに乗るリターンライダーなどで、これから愛車を購入しキャンツーをやってみたいと考えている人には、どんなバイクが最適なのか迷っている人もいるでしょう。
そこで、ここでは、キャンツー向きバイクの中でも、特に、車体が軽いなどで、初心者などでも扱いやすいモデル5台をピックアップして紹介します。
目次
どんなバイクがキャンツーに向いている?
まず、初心者などがキャンプツーリングをする場合、どんなバイクが向いているかを紹介します。ポイントは、以下の通りです。
積載性がいい
テントやシュラフに調理用品など、キャンプに必要な荷物は意外に多いもの。クルマと比べ車体が小さいバイクの場合は、持っていく荷物も厳選する必要はありますが、それでも、できるだけ積載性の高いバイクの方が重宝します。
特に、リヤシートがフラットで座面も広ければ、荷物を積載する時の安定性もいいですし、より大きな荷物も積みやすいといえます。加えて、キャリアや荷掛フックなどを標準装備しているバイクの方が、積載物を固定しやすく、キャンツーには最適です。
キャンプツーリングには、必要な荷物を積載しやすいモデルの方がいい(写真はイメージ)
航続距離が長い
キャンプ場には、人里離れた場所にあるところもあり、周辺にはガソリンスタンドすらないケースも考えられます。
特に、長距離を走るツーリングでは、やはり燃費のいいバイクがベター。また、燃料タンクもできるだけ大容量のモデルの方が、1回の給油で走行できる航続距離も長くなります。
多少のダートを走れる走破性
キャンプ場内はもちろん、アクセスする周辺の道には、未舗装路がある場所も多いといえます。そう考えると、選ぶバイクもダート走行性能がある程度高いモデルの方が安心です。
また、ライディングポジションも、スーパースポーツなど前傾がきついモデルより、バーハンドルを装備し、アップライトなポジションになるモデルの方がいいでしょう。
例えば、最近流行っているアドベンチャーモデルや、ブロックパターンのタイヤを履かせたスクランブラータイプなど、オン
・オフ両方の道で快適に走ることができるバイクは最適な選択肢のひとつだといえます。
バーハンドルを装備し、アップライトなポジションになるモデルの方がいい(写真はホンダ・CL250)
初心者なら軽くて足着きのいいバイクが最適
高速道路などでの余裕ある走りや荷物の積載量などを考えると、大排気量のツアラーなどは魅力的。ただし、例えば、オフロード走行に慣れていない初心者ライダーなどの場合は、車体が重いバイクだと、未舗装路でバランスを崩した際に車体を立て直すのが大変です。
そのため、オフロードを初めて走るようなライダーなどには、250ccや125ccなど、小排気量のモデルの方が走りやすいといえます。なぜなら、車体が軽く、足着き性も比較的いいためです。
軽量なバイクであれば、例えば、未舗装路を走っていてバランスを崩しそうになっても、ハンドル操作などで車体を立て直しやすいもの。また、足着き性がよければ、とっさに足を地面へ着きやすいので、立ちゴケのリスクも減ります。もし、隆起の激しいダート道などに遭遇し、そのまま走行する自信のない場合も、両足を交互に地面に着けながら、ゆっくりと走ることもできますからね。
オフロードを初めて走るようなライダーなどには、車体が軽く、足着き性も比較的いいバイクがおすすめ(写真はイメージ)
おすすめ1:スズキ・Vストローム250SX
では、以上のような条件を満たすバイクには、どんなものがあるのでしょうか? 以下に、おすすめの最新モデルを紹介してみます。
まずは、スズキの軽二輪アドベンチャーツアラー「Vストローム250SX」です。
1050ccや800cc、650ccなど、豊富なラインアップを誇るスズキVストロームシリーズに属するのがこのバイクです。250ccクラスでは、以前から2気筒エンジン搭載の「Vストローム250」をラインアップしていますが、2023年に登場したVストローム250SXは、249cc油冷単気筒エンジンを採用しています。
最高出力19kW(26PS)を発揮するエンジンは、低回転域で粘りのあるトルク感を演出しながら、中高回転域では気持ちの良い加速感を実現します。また、軽量コンパクトなことで、車両重量164kgという軽量な車体に大きく貢献。初心者など幅広いライダーが扱いやすい車体や、オン・オフを問わず発揮する高い運動性能などの礎(いしずえ)となっています。
また、Vストローム250が前後17インチホイールを採用しているのに対し、SXでは前19インチ/後17インチホイールを装備。オフロードでの走破性をアップさせている点で、よりキャンツー向きのモデルだといえます。
ほかにも、シリーズ共通の「クチバシ」デザインなどによる、冒険心をくすぐるタフなイメージも魅力的。また標準装備するリアキャリアは、純正アクセサリーの27Lトップケース(税込み1万9800円)の装着も可能で(トップケースアダプタープレート・税込み6270円の装着が必要)、ツーリング時の高い積載性を誇ります。
<Vストローム250SX 主要諸元>
・全長2,180mm×全幅880mm×全高1,355mm
・シート高:835mm
・車両重量:164kg
・エンジン:249cc
・油冷4ストローク単気筒
・最高出力:19kW(26PS)/9,300rpm
・最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,300rpm
・燃料タンク容量:12L
・燃費:WMTCモード値34.5㎞/L
・価格(税込):56万9800円
おすすめ2:ホンダ・CL250
1962年に登場した250ccの「ドリームCL72スクランブラー」など、オン・オフ両方のスクランブラーと呼ばれる往年の名車を復活させたネオクラシックなモデルが「CL250」です。
アップタイプのマフラーや上体が起きる自由度が高いポジション、フロント19インチ/リヤ17インチのホイールやセミブロックパターンタイヤなどにより、街乗りからフラットなダートまで、幅広いシーンで快適な走りを実現します。
エンジンには、249cc・水冷4ストローク単気筒を搭載。低回転域からトルクフルでレスポンスよく立ち上がり、高回転域までスムーズに吹け上がるフィーリングを体感できます。
しかも、WMTCモード値34.9㎞/Lという優れた燃費性能も実現。燃料タンク容量は12Lですから、スペック上の計算では、1回の満タンで418km以上も走れることになります。
ほかにも、790mmという低いシート高や、車両重量172kgという軽い車体により、初心者などにも扱いやすことも魅力。純正アクセサリーにはリアキャリア(税込み2万9700円)や38Lのトップボックス(税込み3万5200円)なども揃え、荷物の積載性をアップすることも可能です。
<CL250 主要諸元>
・全長2175mm×全幅830mm×全高1135mm
・シート高:790mm
・車両重量:172kg
・エンジン:249cc
・水冷4ストローク単気筒
・最高出力:18kW(24PS)/8,500rpm
・最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/6,250rpm
・燃料タンク容量:12L
・燃費:WMTCモード値34.9㎞/L
・価格(税込):62万1500円
おすすめ3:ホンダ・CT125 ハンターカブ
ロングセラーのビジネスバイク、ホンダ「スーパーカブC125」の兄弟車で、アウトドアにも対応した装備が魅力の「CT125・ハンターカブ」。原付二種モデルなので、高速道路の走行こそできませんが、下道ツーリング派などには絶大な人気を誇るモデルです。
スーパーカブC125をベースに、前後スポークホイール、110mmのストローク量を持たせたフロントフォーク、アップマフラーやアンダーガードなどを採用。市街地走行から郊外へのツーリング、林道でのトレッキングなど、幅広い走行状況に対応した装備を持つことが特徴です。
また、124ccの空冷単気筒エンジンには、クラッチの操作がいらない自動遠心クラッチを採用。シート高800mmという足着き性のよさや、趣味の道具もたっぷり積める横幅409mm×前後477mmという大型サイズのリアキャリアなども魅力です。
<CT125 ハンターカブ 主要諸元>
・全長1,965mm×全幅805mm×全高1,085mm
・シート高:800mm
・車両重量:118kg
・エンジン:123cc
・空冷4ストローク単気筒
・最高出力:6.7kW(9.1PS)/6,250rpm
・最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/4,750rpm
・燃料タンク容量:5.3L
・燃費:WMTCモード値63.7㎞/L
・価格(税込):44万円
おすすめ4:ヤマハ・XSR125
レトロな外観とパフォーマンスを調和させたヤマハ「XSR」シリーズの125cc版が「XSR125」。ストリートにマッチするスタイリッシュなモデルですが、SNSなどを見ると、意外にオフロード走行やキャンツーなどに使うユーザーも多い原付二種モデルです。
このモデルに、そうしたアウトドア派ユーザーも多い理由は、おそらく、スクランブラー的なスタイルを持つためでしょう。特に、ブロックパターンのタイヤやアップライトなハンドル、丸目一灯ヘッドライトなどに装備は、フラットなダートなどを走りたくなる雰囲気が満点です。
エンジンには、最高出力11kW(15PS)を発揮する124cc水冷単気筒エンジンを搭載。可変バルブ機構VVAを採用することで、全域で優れたトルク特性を発揮します。また、クラッチレバーの軽い操作性や過度なエンジンブレーキを抑えるアシスト&スリッパークラッチも採用。減速時のストレスを軽減し、すばやくスムーズなシフトチェンジを可能とします。
足まわりには、フロントフォークに、アルミ鋳造ハンドルクラウンとスチール製アンダーブラケットを最適にマッチング。クイックでダイレクトなハンドリングに貢献します。ほかにも、丸いデザインの前後ライトやメーター、タックロールタイプのシートなど、クラシカルかつ上質なスタイルを演出する装備も魅力です。
<XSR125 主要諸元>
・全長2,030mm×全幅805mm×全高1,075mm
・シート高810mm
・車両重量137kg
・エンジン:124cc
・水冷4ストローク単気筒
・最高出力11kW(15PS)/10,000rpm
・最大トルク12N・m(1.2kgf・m)/8,000rpm
・燃料タンク容量10L
・燃費:WMTCモード値49.4㎞/L
・価格(税込)50万6000円
おすすめ5(近日登場):カワサキ・KLX230S
カワサキが2024年秋の国内販売を予定するのが新型「KLX230S」。2024年のモーターサイクルショーで披露されたこのモデルは、ジャパンモビリティショー2023で初公開された「KLX230」のローシートバージョンで、オフロードの初心者に最適なモデルといえるでしょう。
カワサキ:KLX230S(写真は2024年の東京モーターサイクルショー参考出品車)
KLX230Sは、元々、2022年まで国内販売されていたのですが、現在は生産終了。つまり、新型モデルは、約2年ぶりの後継モデルとなります。
ひと足先に北米で販売されている新型KLX230Sは、コンパクトで軽量な新開発の233cc空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。先代モデルと比べ、さらに低中速域のトルクを高めることで、スムーズな加速感を味わえます。
車体では、高い剛性と軽量化を両立する独自のペリメーターフレームを採用します。北米仕様車の場合で、53.7インチ(1363.98mm)というショートホイールベースと、33.2インチ(843.28mm)という低いシート高を実現。スタンダード仕様のKLX230が、これも北米仕様車の場合で、シート高34.8インチ(883.92mm)ですから、より足着き性を向上。これらにより、幅広いスキルのライダーが扱いやすいバイクに仕上がっています。
足まわりでは、新開発のロングトラベルサスペンションにより、起伏の多い地形でも力強い走行を実現します。また、同じく新型の軽量アルミスイングアームなどにより、バイクの軽量化も実施。車両重量290ポンド(131.99kg)~293.2ポンド(132.99)kgという軽量な車体は、オンロードからオフロードまで、幅広いシーンで軽快かつ快適な乗り味を体感できます。
新型KLX230Sは、ちょっとしたダート道から林道など、キャンプツーリングやオフロード走行を始めたいライダーには、きっと大注目のマシンとなることは間違いなし。日本仕様車の価格や具体的な発売日などは、2024年7月末現在、まだ未公表ですが、アウトドア派ライダーなどには、注目の1台ではないでしょうか。
KLX230Sのリアビュー(写真は2024年の東京モーターサイクルショー参考出品車)
<KLX230S 主要諸元>
・全長81.8インチ(2077.72mm)×全幅33.2インチ(843.28mm)×全高44.8インチ(1137.92mm)
・シート高:33.2インチ(843.28mm)
・車両重量:290ポンド(131.99kg)~293.2ポンド(132.99)kg
・エンジン:233cc
・空冷4ストローク単気筒
・最大トルク:13.2lb-ft(1.82kgf・m)/6,400rpm
・燃料タンク容量:2ガロン(7.57L)
・燃費:ー㎞/L
・価格(税込):未定
*全て北米仕様車の参考値
このように、原付二種や軽二輪にも、キャンプツーリングに向いているモデルは結構あります。初心者ライダーなどで、アウトドアのバイク遊びなどを始めたい人はぜひ参考にしてみて下さい。
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