ネオレトロといえば、「見た目はトライディショナル、中身は最新メカ」というテーマを持つジャンル。しかし最近登場したばかりの概念ではありません。言葉としての「ネオレトロ」が生まれる前から、名車のコンセプトを受け継ぎつつ、洗練された技術を投入していこうという意欲的なモデルはいくつも存在していました。

今回紹介したいのは、ホンダが1997年に発売したそんな意欲的モデルのひとつ。CB400FOUR(NC36)です。

モトレポートでは、試乗インプレの他に新車・中古バイク検索サイト「ウェビック バイク選び」に掲載されているバイクに関する情報を発信しています。

車名はCB400FOURだけどモチーフはCB750Fourだった

CB400FOURはこのCB400SFのエンジンをベースとして搭載。しかしスタイリングはスポーツネイキッドのSFとは全く違う、クラシカルなデザインで1997年に発売されました。

名前からは往年の名車である1974発売のOHC空冷エンジン搭載モデル、CB400FOUR――通称ヨンフォアのスタイルを浮かべる人が多いですが、実はデザインコンセプトはこれではなく、ホンダの4気筒マルチエンジンのデビューモデルであるCB750Fourをベースとしていました。

▲CB400FOURは1997年発売。CB400Super Fourのエンジンをベースとしながら、装備をトライディショナルなものへ変更。シンプルなタンク形状やフラットなダブルシートなどの装備に加えて、当時既に一般的ではない四本出しのサイレンサーの存在感は抜群。

▲1969年発売のCB750Fourは、市販車としてホンダが発売した最初の4気筒モデル。世界初となる量産機の並列四気筒エンジンの存在には並ぶものがなく、現在でも熱狂的な愛好家によって支持されています。

ホンダの400ccマルチエンジンの歴史は、遡れば1972年発売のCB350Fourがそのスタート。OHC空冷、34PS/9500rpmのこのエンジンから、レースやレプリカブームでの高性能化が続き、1988年のCBR400RRにはDOHC水冷の59PS/12500rpmというハイパワーなスポーツエンジンが登場しました。

そんなスポーツエンジンを搭載しつつ、ネイキッドモデルの親しみやすさ、よりシンプルなスポーツマシンとしての使い勝手を模索したモデルが1989年発売のCB-1、そして1992年発売のCB400Super Fourでした。

▲1989年発売のCB-1はレーサーであるCBR400RRのエンジンをベースに、普段使いできるネイキッドモデルとして登場。より操作性を重視してアップハンドルのTypeⅡも1992年に追加されていますが、さほど市場には出回らず。そのコンセプトはCB400SFに後継されます。

▲1992年発売のCB400SFはさらにエンジンパワーを53PS/11000rpmに落としつつも、現在でも古さを感じさせないデザインの完成度、教習車としての採用などから大成功したモデル。モデルチェンジを受けつつミドルスポーツの傑作としての地位を確固たるものとしながら、現在まで生産は続いています。

「四発が、聞こえる」4本の排気経路を完全に独立させたストレート4エキゾースト

CB750Fourのシルエットを「直4ネイキッドの原点」としてデザインされたCB400FOURは、特に4本出しのエキゾースト、マフラーの存在感に着目。当時既に一般的だった集合管形式をとっていないことが外見的な大きな特徴です。CB400FOURは4本の排気経路をそれぞれ完全に独立させ、ストレート4エキゾーストとして搭載しました。

ホンダのこだわりは見た目だけではもちろんありません。エキゾーストパイプを細く、サイレンサーの内部構造を簡略化することにより、排気効率と迫力のある排気音を両立させる狙いは見事に成功。

▲CB750Fourでは大きく広がった4本出しのマフラーがマルチエンジンの象徴でした。現在はほぼすべてのバイクが集合排気を採用しているものの、メッキ仕上げのマフラーが並ぶパワフルさは色褪せません。

エンジンはベースをCB400SFと共通しているため、出力は53PS/10000rpm、トルクは4.1kgm/7,500rpmとCB400SFと同じ。ただし吸気効率・点火タイミング等が見直されており、高回転志向のCB400SFとは違い低中速域のトルク向上が図られています。

また、ブラックアウトされていたエンジンはシルバー一色となり、全体的に角を落として丸みを帯びました。これもCB750Fourイメージのために、クラシカルなデザインへリファインが成されたためです。

また、巨大なエンジンの印象を見せつけるためにタンクからはみ出したボリュームもCB750Fourと共通するポイント。排気量以上にエンジンの存在感は大きくなるのですが、このためにわざとタンク幅を縮める工夫も。

▲ベースはCB400SFと同じで、このためスペックも同じ。しかし外見はかなり違って見えます。シルバー一色で角がなく、カバーやフィンが増えていないこともシンプルな機能美を感じます。

この他にも細部まで丁寧に作りこまれたクラシカルな装備は美しく、フェンダーは前後メッキのスチール製で安っぽさは皆無。大き目のサイドカバーには4.6Lものユーティリティースペースを持ち、機能性も無視していません。

さらにブレーキシステムは前後ともに油圧ディスクを搭載。ハイパワーに負けない制動力を発揮し、クラシカルな外見を裏切るスポーツ性能を持ったエンジンに見合ったものとなっています。

▲メッキフェンダーはCB750Fourを筆頭に、70年代ホンダのCBシリーズでは定番だった装備。重量があるため樹脂製が一般的になる今でも、クラシックカスタムには欠かせない存在。

▲前後油圧式のディスクブレーキは、パワフルなエンジンに負けない制動力を求めてのもの。フロントはダブルディスクを搭載。最新スペックのエンジンを搭載したマシンであることを考えれば当然の装備とも言えます。

▲メーターは砲弾型の二連式でCB-1から継続。一部デジタル画面を持ち、アナログのみだとよりCB750Fourっぽさが出たかな……と少し残念な要素。タコメーターはレッド11500rpmを示しており、高回転スポーツマシンをベースとしていることを主張。

2010年のCB1100よりも「CBフォア」を体現していた水冷CB400FOUR

名前だけで空冷モデルと比較されがちなCB400FOUR。調べれば調べるほど、当時の開発スタッフの熱いCB愛を感じるモデルでした。

しかしホンダの持つCB750Fourへの情熱はここで終わることなく、1999年の東京モーターショーではCB750Fourの発売30周年を記念したコンセプトモデル「CBフォア」が登場。そのままの形で発売されることはありませんでしたが、2010年にはそのコンセプトを踏襲したCB1100が発売。CB750Fourという偉大なモデルの存在感は、時を超えて現代に続いています。

ところが、2010年のCB1100のコンセプトを見てみると……そのテーマ性、あまりにCB400FOURでも体現できていると思いませんか? 「空冷」と「水冷」という大きな違いはあれど、コンセプトの完成されたCB400FOUR。空冷FOURと比べてしまうのは、あまりにもったいないモデルだといえます。

▲CB400FOUR発売から2年後の1999年東京モーターショーで登場したCBフォア。ホイールサイズまでCB750Fourに合わせた、オリジナルの発売30周年記念モデル。発売こそされませんでしたが、次世代でそのコンセプトを実現する布石となりました。

▲このコンセプトアートはCB1100を手がけたデザイナー・小濱光可氏によるもの。随所にもとめられたこだわりはCB1100として結実するものの、四本出しのストレートエキゾーストは実現していません。しかし「機能をシンプルに実現した」CB400FOURの姿は、まさにこのコンセプトに近づいていました。

ホンダCB400FOUR主要諸元(1997)

・全長×全幅×全高:2130×780×1090mm
・ホイールベース:1460mm
・シート高:790mm
・車重:192kg(乾燥)
・エジンン:水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ 399cc
・最高出力:53PS/10000rpm
・最大トルク:4.1㎏-m/7500rpm
・燃料タンク容量:15.0L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=油圧式ダブルディスク、R=油圧式ディスク
・タイヤ:F=110/80R18、R=140/70R17
・当時価格:57万9000円

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