
CBR650R、アフリカツイン、NC750、ホーネット750……ホンダは大型クラスに4つのプラットフォームを展開し、欧州でいずれもヒットを飛ばしている。さらに次の一手として今秋、新プラットフォームを発表するという! 「新しい価値」を提供することが目的で、どうやら排気量はアッパーミドル、ジャンルはオンロードスポーツと予想される。
目次
ホンダの欧州市場で大型FUNクラスが大人気!
欧州15か国におけるホンダのセールスが絶好調だ。
ホンダがメディア向けの会見で発表した資料によると、コロナ禍によって落ち込んでいた欧州の二輪販売台数が2022年6月以降、まさにV字回復。販売台数は2022年度の34.7万台から2023年度には約10万台増の44万台に。2024年度の見通しでは47.5万台を記録するという。
シェアは約18%から22.7%に拡大。特に売れているのがFUN系のモーターサイクルでシェアは11→16.3%にまで急伸した。
CB&CBR650R Eクラッチのメディア試乗会で発表されたホンダの欧州市場状況。好調を支えているのがFUN系のバイクだ。
果たして、どんなバイクが売れているのか。大型FUN系ではCBR650R&CB650Rが一番人気で、レブル1100、CB750ホーネット、X-ADV、NC750X、CRF1100Lアフリカツイン、NT1100らが続いている。
CB&CBR650Rやレブル1100は日本でも人気で、前者は2023年に2318台を販売し大型クラス4位、後者は3282台で3位を記録した(数字は二輪車新聞による推定値)。
だが、日本未発売のCB750ホーネットを筆頭に、X-ADV、NT1100など日本でヒットしているとは言えないモデル群がいずれも好調だ。
大型FUNバイクの世界的な販売台数。グラフは「2024年の予測」としているが、2023年の実績をベースとしている。欧州が42%とトップだ。資料はホンダより。
なお、CB750ホーネットの派生モデルであるXL750トランザルプは、2023年途中から登場したためグラフに入っていないが、直近一年間の販売台数は2万台超とこれまたヒット中だ。
4つのプラットフォームで効率的に派生モデルを拡大
お気づきの読者もいると思うが、これらヒットモデルは4つのプラットフォームから展開されている。
CB&CBR650Rは648cc並列4気筒、レブル1100、NT1100、アフリカツインは1082cc並列2気筒、X-ADVとNC750Xは745cc並列2気筒、ホーネット750とトランザルプは754cc並列2気筒だ。フレームが共通のモデルも多く、効率的にバリエーションを増やしている。
ホンダによると、大型モデルの8割以上を主要の4プラットホームで網羅。主に2020年以降に登場したモデルが市場を牽引している。なお、2024年型で登場した並列4気筒のホーネット1000もセールスが期待できそうとのことだ。
ホンダ提供による資料。大型FUNモデルは主に4つのプラットフォームで効率的に構成されている。
NC750X、X-ADVは58PSを発生するSOHC4バルブ745cc並列2気筒を搭載。2012年のNC700系に端を発する心臓部は、四輪フィットの技術を参考に燃費、コスパなど実用性を追求した。
ホンダ首脳が示唆、次の一手は「新価値」のあるプラットフォーム
注目したいのは今後の話だ。さらに「5つ目のプラットフォーム」についてホンダの首脳が予告している。
2024年7月に行われた二輪メディア向けの会合で、本田技研工業の執行役 二輪・パワープロダクツ事業本部長である加藤稔氏が参加。加藤氏はバイク関連で実質的なボスと言える立場だ。
加藤氏は「4つのプラットホームをベースにしっかりと商品をそれぞれ進化させながら 数を稼いできたということで、かなり効率のいい事業展開ができております。一方で、お客様からは“もうちょっと新価値が欲しいよね”と言われています。そこはまだ言えませんけど、仕込んでますということであります」と話す。
確かに現在、600~800cc台のアッパーミドル市場には、各メーカーの並列2気筒が乱立している。ホンダにおいても、並列4気筒のCB&CBR650Rを除いて、主要プラットフォームはいずれも並列2気筒。ライバルも並列2気筒モデルが多いだけに、新味には乏しいと言えるだろう。
アッパーミドルの単気筒? Vツイン? 11月のEICMA=ミラノで見られるか
では、どんなエンジンが新プラットフォームになるのだろうか。
関係者筋の話と推測を交えながら考察してみると、排気量はアッパーミドル600~800cc台で、ジャンルはオンロードスポーツ。詳細は11月開催のEICMA(ミラノショー)で明らかになるという。
メイン市場はやはり好調の欧州だろう。発表の場がミラノであることからも、それは明らかだ。
現在ホンダには売れ筋のラインナップが揃っており、野心的なモデルが登場すると予想。趣味性が高いエンジンで、前述の加藤氏が話すとおり「新しい価値」を提供してくれるハズだ。
そこで本記事のトップ画像にイメージとして掲載したのが、ホンダがかつてショーで展示したコンセプト車。単気筒を搭載する「スーパーモノ644」とVツインの「ザクシス」で、ともに話題になったが、未だ市販化されていない。次期新型となる根拠は全くないが、こんな刺激的なバイクが登場すれば嬉しい。
果たしてどんな新型が発表されるのか。今秋のミラノショーが待ち遠しい!
2001年にホンダR&Dアメリカが製作し、同年の東モに出展されたコンセプト車のザクシス。心臓部はVTR1000F系の水冷Vツインで、過激デザインと前後片持ちアームの独特な足まわりが特徴だった。
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