
250ccクルーザーの中でも大柄なボディでクラスレスの魅力を放ったヤマハ・XV250ビラーゴ。1988年のデビューながら、後継のドラッグスター250も含めて約30年渡るロングセラーを誇りました。そんなビラーゴの大きな特徴だったのが、発売当時には画期的だった249ccの本格的空冷Vツインエンジンです。
そんなビラーゴのエンジンでスポーツモデルを作ったらどうなるの? という素朴な疑問にヤマハが応えてくれたのが、1992年登場のSRV250、そして1996年登場のルネッサでした。今回はこの2モデルのイイところを紹介して、その魅力をお伝えしたいと思います。
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大人向けの落ち着きを持つブリティッシュなSRV250
SRV250は1992年に発売されたモデル。当時のオートバイ業界にはクラシックブームが到来していました。その火付け役は1988年登場のホンダ・スティード400や1989年登場のカワサキ・ゼファー。スポーツマシン一辺倒の時代はここで一つのターニングポイントを迎えたといえます。
そんな中でバッチリなクラシカルさを持ったSRV250は、カリカリのスポーツモデルというわけではないものの、その気になればワインディングを楽しめる両刀使いのモデルでした。
▲ビラーゴのエンジンを利用しつつ、まったく違うキャラクターのモデルとして登場したSRV250。エンジンパワーはアップし、フレームはダブルクレードルの高い車高へ変更。全体的にカフェレーサーをイメージさせるモデルです。
▲XV250ビラーゴは1988年発売。盛り上がり始めたクルーザー人気の中で、国産車初の本格的な空冷Vツインエンジンを搭載したモデルとして人気となりました。後方シリンダーのエキゾーストカバーがダミーなのはご愛嬌……。
ビラーゴとの違いは見た目だけではなく、エンジンパワーも強化。ビラーゴからは3PSアップし、ピークトルクも若干上がっています。しかし高級感のあったメッキ多用の美しさは損なわれず、むしろクランクケースにはバフ掛けがされているなど、手間のかかったエンジンです。カラーリングも派手すぎないダークなバリエーションで、軽薄さを感じさせません。
▲ビラーゴのエンジンに見た目はそっくりながら、シングルキャブレターのビラーゴに対してツインキャブレターを装備。またダミーのエキパイカバーや吸気インテークを排し、シンプルにエンジン性能をアップして27PS/8500rpmとなっています。
▲メーターは深いブルーグリーン。ビラーゴにはなかったタコメーターも配置し、あくまでスポーツモデルであることを忘れさせません。それでいてインジケータ―はシンプル。見飽きない美しさは「デザインのヤマハ」ならではです。
▲発売翌年の1993年にはハンドルとサスペンションをスポーツ寄りに変更したSRV250Sが発売。こちらはヘリテイジなヤマハのレーサーを思わせるホワイト基調のタンクが追加され、よりスポーティなイメージを強くしました。
スマートでシンプル、イタリアンなルネッサ
ルネッサはSRV250発売の4年後、1996年に発売されました。エンジンやフレームはSRV250と同じながら、見た目は全く違います。ダークシアンの似合うSRVに対して、ソルトレイク・シルバーとオレンジ・カクテルという2色で登場したルネッサは、さらにスポーティさを増しつつ、まるでカスタム後であるかのようなシンプルさを追求していました。
▲エンジン以外はSRVとまったく違う外装のルネッサは、容量を減少させながらも低めのタンク、シングル風の薄いシート、ワンサイズダウンしたヘッドライトなどでSRVからさらにスポーティさを追求。
エンジンはバフ掛けの高級志向だったSRVから一転してブラックアウトに塗装。フレームを含めて全体的にブラックを効かせていることが、サイズの変わらないSRVよりもスマートに見える理由のひとつ。
▲初期はブラックアウトされていたエンジンは、翌年のカラーチェンジでメッキ仕上げに変更。どちらもスタイリッシュながら、筆者はブラックのほうが好みです!
▲SRVとの大きな違いは、メーターがシンプルなスピードメーターのみに変更されたこと。ビラーゴもこのスタイルですが、ルネッサはレーサーのタコメーターのような洗練さを持っています。
いかがでしょうか。クラシック志向のライダーにとっては、どちらかがバッチリ刺さるモデルではないでしょうか?
惜しむらくはSRV250とルネッサ、どちらもベースは人気のビラーゴのエンジンながら、誰もが知っている大好評バイク! とはゆかずに生産を終了してしまっています。しかし性能と信頼性はビラーゴの折り紙付き。生産終了から時間も経ち、中古車市場でも数が減り始めているとなると、これは今こそ手に入れるべきモデルなのかもしれません。
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