
先日ティザー動画が公開されたCF MOTOの「500SR VOOM」だが、今回「675SR ASPER」と共に正式な写真を入手。いまだ詳しいスペック等は不明なままではあるが、期待を込めて推察していくことにしよう。
バイク付きのツボを押さえた、高性能スポーツ「500SR VOOM」
Webike+でも何度か紹介している「500SR VOOM」は、4気筒の500ccエンジンを積んだスポーツバイクだ。デザインは90年代の耐久レーサーやレーサーレプリカを思い起こさせるデュアルヘッドライト風のフルカウルを備え、モトGPマシンのトレンドであるウイングレットも装着されている。
ヘッドライトに見える部分は外周にリング状のLEDを備えたラムエアシステム用のダクトが左右に設けられているようだ。同じく左右に高くはね上げられたマフラーは他に類を見ないオリジナリティを感じさせる部分。さらにテールランプも丸形を二つ並べており、デザイン上の大きなテーマになっている。
メインフレームはカワサキのZX-25RやZX-4R風のスチール製のようで、倒立フロントフォークとアルミスイングアームを組み合わせている。エンジンの詳細やスペックは不明だが、最高出力は70PSオーバーすると言われており、さらにラムエアシステムを採用しているので加圧時にはZX-4の80PSに迫る可能性もある。
先に公開されていた動画にあったメーターのアップではタコメーターのレッドゾーンは11000rpmから始まり、16000rpmまで数字が刻まれている。また、トルクとパワーを表示するグラフも確認でき、ピークパワーは13000rpmあたり、ピークトルクは10000rpmあたりで発生するようだ。ライバルと目されるZX-4Rよりも100cc排気量が大きいことを考えると、この回転数で同等の性能を発揮してもおかしくはないだろう。写真を見る限りデザインや各部の仕上げは極めて高いレベルにあり、このクオリティで量産車を作ることができるのであれば、日本のメーカーもうかうかしてはいられない。
500SRブームは4気筒エンジン搭載モデルとしてはスリムな印象。デュアルヘッドライト風のスタイルでレトロ感を演出し、450ccのツインエンジンを搭載した450SRとはデザインが大きく異なる。
全体は90年代のレーサーレプリカ風のデザインだが、ウイングレットを装備するなど最新のスポーツバイクのトレンドが各部に取り込まれている。
上から見ると、エンジンのボリューム感がよくわかる。タンクやシートは絞り込まれているので、跨るとスリムな印象を受けるかもしれない。
ハンドルはセパレートタイプで、メーターにはTFT液晶を採用。ステアリングダンパーも装備され、カウルサイドにはラムエアのダクトが確認できる。
コンパクトにまとめられたリアセクション。高くアップされた独特のサイレンサー位置は、このバイクのデザインの特徴となる。
シート周りのデザインは新しさを感じさせる。乗り心地はともかく一応タンデムシートが確認できるので、二人乗りが可能だ。
モト2マシンのレプリカか? 3気筒エンジンの「675SR ASPER」
さて、「500SR VOOM」だけでもCF MOTOには大きな注目が集まっているが、もう1台スペインで行なわれたアスパーチームのイベントで「675SR ASPER」というモデルが発表された。車名の「675」は排気量を表しているのは間違いなく、CF MOTOが2023年のミラノショーで発表した3気筒の675ccエンジンを搭載していると思われる。この675ccエンジンは低慣性クランクシャフトやスリッパークラッチを備え、ピストンなどに鍛造パーツを使用することでユニット単体の重量は55kgと非常に軽量に仕上げられている。気になるスペックは最高出力100PSオーバー、最高回転数12300rpm、最大トルクは68Nm/8250rpmと発表されている。
フレームは太さや形状からするとスチール製のようで、倒立フォークとホンダのガルアームのように大きく湾曲したアルミ製スイングアームと組み合わされる。フロントブレーキにはカワサキのワールドスーパーバイクチームなどでも使用されているJ.JUAN製のキャリパーを装備し、冷却用のダクトも取り付けられている。
車名に付く「ASPER」はアスパーチームを意味するが、このアスパーはチームオーナーである元GPレーサーのホルヘ・マルティネスのニックネームであり、この車両は彼に贈呈されたスペシャルモデルとなる。このスペシャルモデルはチームカラーをイメージしたペイントが施され、1988年に世界チャンピオンを獲得した時のゼッケンナンバー「5」があしらわれている。
現在モト2クラスには3気筒765ccのトライアンフ製エンジンが搭載されているが、かつてトライアンフには675ccの3気筒エンジンが存在していた。トライアンフの3気筒675ccエンジンはデイトナ675に128PS/12500rpm仕様で搭載されており、このCF MOTOのエンジンがトライアンフのエンジンを参考にしているのであれば、130PSに近いパワーを実現している可能性もある。
この車両も詳しい情報は公開されていないのだが、新型の3気筒スポーツモデル「675SR」がベースであることは間違いないだろう。「500SR VOOM」と共に2024年7月にCF MOTOが中国で開催するイベントで正式発表されるようなので、続報を楽しみに待っていてほしい。
ヘッドライトは確認できないが、ミラー部分にカバーがされているのが確認できる。つまり、このカウルは市販バージョンベースということだ。大型のウイングレットも装着されている。
シートはレーサーそのものと言ってよいデザイン。市販バージョンはタンデムシートが装備されるだろうが、450SRのデザインから想像すると、かなり過激なスタイルになりそうだ。
アルミスイングアームは大きく湾曲したガルアームスタイル。ステップのプレートには穴が確認できるので、ステップ位置を調整することができるようだ。
テールカウルにはアスパーのロゴが入っている。シートのサイドにもウイングレットが確認できる。
テールカウルを下側から見ると、リアのウイングレットの形状がよくわかる。ロゴの入るカバー部分は、リアフェンダーの取り付け部分だろうか。
フロントフォークは倒立タイプで、ブレーキにはJ.JUAN製のキャリパーを使用。ブレーキ冷却用ダクトも装着されているが、これも市販車に装備されるのだろうか。
リアホイールのリムにもCF MOTOのロゴが配される。タイヤサイズは190程度ありそうだ。
幅広いラインナップを揃えるCF MOTO
中国のバイクメーカーであるCF MOTOは、1989年に創立されているので今年で35周年となる。日本にもパピオシリーズが輸入されているが、まだ知らないという人も多いはずだ。モトGPを観ている方であれば、アスパーチームのスポンサーとしてモト2とモト3の車両を走らせているのをご存知かもしれない。そんなCF MOTOは中国国内ではヤマハと合併し、オン、オフ、ツアラーと幅広いカテゴリーのモデルを、小排気量から大排気量まで幅広くラインナップしている。
スポーツモデルの450SRは、37kW/9500rp、39N・m/6500rpmとパワー重視にチューニングされた450ccツインエンジンを搭載。
クルーザーカスタムのトレンドを上手に取り入れた450CL-Cボバー。30kW/8000rpm、42N・m/6250rpmというスペックの450ccツインエンジンを搭載。
アドベンチャーモデルの450MTは、32.5kW/8500rp、44N・m/6250rpmとボバーよりも若干高回転形になった450ccツインエンジンを搭載。
ツアラーモデルの1250TR-Gは、1250ccのVツインエンジンを搭載。スペックは105kW/8500rp、120N・m/7000rpmとハイパフォーマンスだ。
本国では126ccエンジンを搭載したミニスポーツのパピオは、日本仕様は124ccとして販売される。ロードモデルがXO-1、スクランブラーモデルがXO-2となる。
アスパーチームのモト3マシン。ライダーのひとりダビデ・アロンソは、イタリアGP終了時点でランキングトップという成績。
アスパーチームのモト2マシン。ライダーはジェイク・ディクソンとイザン・ゲバラという実力のある二人だ。
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