
最初のモデルが登場してから30周年を迎えたKTMのロードスポーツモデルであるDUKE(デューク)シリーズ。もはやCB、MT、Zなどのようにバイク業界での確固たる地位を築いた感がある。
そのデュークシリーズが大小合わせて一挙にモデルチェンジが行われた。
今回は普通自動二輪免許区分の390デュークと250デュークをフューチャーし紹介していこう。
目次
30周年を迎えたDUKEシリーズが一挙モデルチェンジ!!
初代390デュークのリリースは2013年のことなので、すでに10年以上の年月が経ったことになる。スモールデュークの中では長兄にあたるモデルであり、コンパクトにまとめられたシャシーにパワフルなエンジンを組み合わせたキャラクターでスポーツバイクファンを魅了してきた。
日本をはじめ多くの国で盛んにワンメイクレースも開催されており“READY TO RACE”つまりレースの準備は整っているというKTMのキャッチコピーのボトム層を支えてきたのである。
その最新版であり大幅なモデルチェンジが行われた2024年モデルでは、新型エンジンを搭載。従来モデルと比べて29cc拡大した排気量399ccの水冷シングルエンジンで、クラス最高峰の45馬力を発揮する。エンジンのパワーアップに合わせてフレームも新設計されており、ねじり剛性の適正化が行われた上、リアサスペンションとスイングアームの取り付け位置を車体右側にオフセットすることでエアクリーナーボックスなどのレイアウトを変更させ、シート高を低く抑えることを実現している。ちなみに燃料タンクの容量は約1.6リットル増大し15リットルとなったので、日常使いをはじめツーリングでの給油ストレスも軽減している。

大幅にアップグレードした2024型デューク390
390DUKEと250DUKEの2モデル体制!
ライディングモードはストリート、レイン、トラックから選ぶことができ、サーキットユースを想定したトラックモードではラップタイム計測やローンチコントロールが可能となっている。
足まわりに目を移すとフロントサスペンションにはφ43mmのWP製APEXオープンカートリッジフォークが採用されており、これはコンプレッション/リバウンド両減衰力の調整を可能としている。先述したように右側にオフセットした格好で備えられたリアサスペンションはリバウンドとプリロード調整が可能なWP製APEXモノショックとなっている。このほか見た目からしてかなり軽量な印象を受ける新型ホイールも採用されている。
今回のモデルチェンジでは全体の90%もの構成パーツを新型としているという390デューク。それに追随して各部ブラッシュアップが図られた250デュークの乗り味を確かめていこう。

2024モデルにて、フルモデルチェンジが図られたKTM 390DUKE
プレミアム感マシマシの390DUKE!
実車を目の前にして最初に気づいたのは、フロントマスクを印象付けるヘッドライトパーツが上位モデルに近いデザインとなっている上、燃料タンクから前方に向かって伸びているサイドシュラウドが大型化されており、デュークシリーズの持ち味である“凄み”が一層増しているということだ。
シート高は従来モデルと比べ10mm抑えた820mmとなっているが、シートのそのもの高さを体感できるというよりも、シートの両サイドのシェイプが深くなり、足つきが向上したという感じだ。
エンジンを始動し走り始める。降雨により路面は濡れ、さらに霧で前方視界が悪いというコンディションではあったが、車体の軽さが大きな武器となっており不安さは無い。むしろサスペンションの動きが良く、路面状況のインフォメーションがライダーに伝わってくるので、ペースを上げる気にさせてくれる。
長兄モデルである1390デュークと比べれば1000cc近く少ない排気量ではあるが、その分振り回してスポーツライディングを楽しむことができる。
テスト車両にはオプションのクイックシフターが装備されていたが、多くのバイクがシフトチェンジレバーのロッドの部分にセンサーを設けているのに対し、KTMでは軸部分にセンサーを付けることでシフトチェンジのダイレクト感が高い。これはワインディングやサーキットというステージだけでなく、ストリートでも気持ちよく走れることに直結している。

フロントマスクはより精悍に。周囲のベゼルパーツにはデイタイムランニングライトが備わる

燃料タンク容量は1.6リットル増大し15リットルとなっている

390DUKEのエンジンは従来モデルと比べ29cc増大し、399ccとなった。

リアサスペンションのセット位置が車体右側にオフセットされたのは大きなポイント

コーナーリング時に入力をしやすい位置にセットされているステップ。KTMのクイックシフターはタッチが良い。

シート高は820mm。オプションパーツとして800mmのローシートも用意される予定だ

φ43mm WP製APEXオープンカートリッジフォークを採用。コンプレッション、リバウンド共に減衰力調整が可能だ
ニュー250DUKEはコスパ抜群!!
一方の250デュークはというと、実は390デュークとエンジンのクランクケースが異なり、現在日本には上陸してきていない125デュークのエンジンをベースとしたものとなっている(欧州などの国では200デュークが販売されている)。
フロントサスペンションの調整機構を持たないが、内部のリセッティングが施されており、段差を乗り越える際などでかなりスムーズな印象を受けた。
ちなみに私は以前初代250デュークオーナーであったが、それが割とピーキーな特性のエンジンだったのに対し吹け上がりが格段に軽やかになっている。
クラスを超越した装備が魅力の390デューク、対して250デュークはフロントマスク、メーターディスプレイ、サスペンションなどが違うものの、車検が不要であり維持費を抑えることができるというのは大きなメリットとなっている。
どちらもスポーツモーターサイクルブランドであるKTMならではのキャラクターがしっかりとつたわってくる仕上がりとなっているぞ。

2024モデルKTM 250DUKE。デザインコンセプトは従来から踏襲しつつ、より精悍なイメージとなった

250DUKEのフロントマスクは390DUKEとデザインが異なる

249cc4ストロークシングルエンジンを搭載。最高出力は23kW

250DUKEはφ43mm WP製APEXビッグピストン・フロントフォークを採用

250DUKEはパワフルさを維持しつつ全域で扱いやすくなった印象だ
390DUKE[2024]主要諸元
・全長×全幅×全高:―×―×―mm
・ホイールベース:1,357mm
・シート高:820mm
・車重:165kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 398.7cc
・最高出力:45PS(33kW)
・最大トルク:39Nm
・燃料タンク容量:約15L
・変速機:6速
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70R-17、R=150/60R-17
・価格:78万円
250DUKE[2024]主要諸元
・全長×全幅×全高:―×―×―mm
・ホイールベース:1,357mm
・シート高:800mm
・車重:165kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC 249cc
・最高出力:31PS(23kW)/9,500rpm
・最大トルク:25Nm/7,500rpm
・燃料タンク容量:約15L
・変速機:6速
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70R-17、R=150/60R-17
・価格:68万9000円
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