
特徴的なフロントカウルのストリートグライド/軽いハンドリングのロードグライド
1. ストリートグライドとロードグライドの大きな違いはフロントマスク
右が“ヤッコ(奴)カウル"が特徴的なストリートグライドで、左がフロントカウルがフレームマウントのロードグライド。今回のモデルチェンジで両者ともスタイリングを一新。
ハーレーダビッドソンのラインナップの現在のシリーズはおおまかに分けて6種類。スポーツスター系の“SPORT"や主戦力の“CRUISER"、3輪の“TRIKE"、ミドルクラスの“X"、アドベンチャーツアラーの“ADVENTURE TOURING"。この5つのセグメントに加え、今回紹介するストリートグライドやロードグライドが属する“GRAND AMERICAN TOURING"がある。
この“GRAND AMERICAN TOURING"は、いわゆる“長距離ツアラー"的な位置付けのシリーズ。パニアケースやトップボックスを装備するとともに、モデルの多くが大きなフロントカウルを備えているのが特徴で、とにかく快適な長旅を行えるようになっている。
2024モデルのストリートグライドとロードグライドは、スタイリングやメーター機能を刷新するとともにエンジンをMilwaukee-Eight117(1923cc)へと換装。このエンジンは、OHVや空冷フィンなどこれまでのハーレーエンジンらしさを残しつつも、排気バルブ周りを液冷する“空水冷"を採用することで、パワーアップを果たしながらライダーへは排熱の影響が行きにくくするという工夫が盛り込まれている。
●STREET GLIDE [2024]
【全長/全幅/全高】 2410×-×-mm
【ホイールベース】1625mm
【シート高】715mm
【車両重量】 368kg
【エンジン】空水冷4ストロークV型2筒1923cc
【最高出力】108PS/5020rpm
【最大トルク】17.8kg-m/3500rpm
【燃料タンク容量】22.7L(ハイオク)
【変速機】6段リターン
【ブレーキ】F=ダブルディスク、R=ディスク
【タイヤ】F=130/60-19、R=180/55-18
【販売価格】3,693,800円~3,953,400円(税込)
●ROAD GLIDE [2024]
【全長/全幅/全高】2410×-×-mm
【ホイールベース】1625mm
【シート高】720mm
【車両重量】 380kg
【エンジン】空水冷4ストロークV型2筒1923cc
【最高出力】108PS/5020rpm
【最大トルク】17.8kg-m/3500rpm
【燃料タンク容量】22.7L(ハイオク)
【変速機】6段リターン
【ブレーキ】F=ダブルディスク、R=ディスク
【タイヤ】F=130/60-19、R=180/55-18
【販売価格】3,693,800円~3,953,400円(税込)
2.ハンドルポジションが大きく異なるストリートグライドとロードグライドのポジション比較(ライダー:身長172cm/体重75kg)
●STREET GLIDE[2024]
【シート高】715mm
●ROAD GLID[2024]
【シート高】720mm
わずか5mmほどシート高が違うものの、ストリートグライド、ロードグライド、どちらにしても両足の踵までべったりと付き、膝にも余裕ができるので足着き性に関しての印象は両車ほとんど変わらない。ただ大きく変わるのはハンドルまわりのポジションで、一般的なクルーザーと同じく低めポジションのストリートグライドに対し、ロードグライドは拳3つ分くらい上にグリップがある印象で、よりのけぞるようなライディングポジションがとりやすくなっている。
3.どう違う!? ストリートグライドとロードグライド -実走インプレッション-
まずはバットウイングフェアリング(日本では奴凧のヤッコカウルと言った方がしっくりくるかもしれない)が特徴的なストリートグライドから試乗をスタート。368kgという重量に気圧されながら跨ったものの、走り出してみればそれほど重さを感じないから不思議だ。
この手の重量車ではナーバスになりがちな極低速域も意外と車体は安定しており、Uターンしてみてもフラフラとステアリングを取られることがない。時速10kmも出せばしっかりとした安定感が出て、ますます重さを忘れさせてくれる。見た目はものすごく大きいが、乗ればその走りは“意外と軽やか"なのだ。
左スイッチボックスのウインカーボタンの逆側がライディングモード切り替えボタンになっており、ウインカーの操作と同じくらい気軽に切り替えが可能。
試しに“ロード"、“スポーツ"、“レイン"と切り替えればしっかりと出力性能が変化するのがわかる。特に顕著なのが“スポーツ"の過渡特性。“ロード"に対しスロットル操作に対する加速感が“ガツン"と顕著になり、よりパワフルに感じる。
逆に“レイン"は、ドライ路面でのるとモノ足りなく感じるくらいしっかりパワーが調教されている。そして秀逸なのが“ロード"だ。おそらくこのモードがメーカーとして一番推しのモードなのだろう。“スポーツ"程の元気さではないのだが、程よいパワー感の中に分厚いトルクの味わいがあるから、スロットルを操作しているのが単純に楽しい。
このパワー特性に関してはストリートグライドもロードグライドも同様な印象だったが、“ロード"モードにしておけばどこまでも走り続けられそうな心地よさがある。
次にロードグライドに乗ってみる。ストリートグライドとロードグライドの見た目の違いにもなっているフェアリングは、乗り味に与える影響も非常に大きい。
というのもストリートグライドはヘッドライト&フェアリングがハンドルマウント。つまりステアリング周りにフェアリングの重さがすべてかかってくるような構造なのだ。
対してロードグライドは、フェアリング&ヘッドライトがフレームマウントになっている。つまりステアリングに重量物が載ってない。おかげでロードグライドはストリートグライドに対してハンドリングがスポーティに感じるのだ。
このストリートグライドとロードグライドの違いを感じるのは、Uターン時や低速旋回時くらいではあるのだが、しっかり手綱を引いておきたくなるストリートグライドに対して、アップライトなハンドルに手を添えているだけで曲がっていけるロードグライド……それくらいキャラクターが異なっている。
またフレームマウント構造のロードグライドに関しては、旧型の2021モデルと乗り比べすることができた。排気量が旧モデル比で55cc大きくなっている新作だが、走り比べてみてまず感じたのは、エンジン特性よりも車体重量の違いだ。
新型の方が引き起こしの時点から断然軽く感じるのだ。実際重さは7kgくらいの差しかないとのことだが、走り出してみると数値以上の軽さを感じる。発信停止や極上低速域では、その軽さの違いが大きく感じる。旧型では“よっこらしょ…"なんてUターンしていたところが、新型ならスッと苦もなく旋回できる感じなのだ。
車格も機能面もほぼ同じ、ストリートグライドとロードグライドであるが、フレームマウントのロードグライドに対し、ストリートグライドはハンドル回りが重い分、取り回しも重たく感じる。ストリートグライドを選ぶか? ロードグライドにするか? で迷ったら、試乗時にこの辺りを重点的に確認してみるといいだろう。
4.ストリートグライド&ロードグライドのディティール比較
バットウイングフェアリング(通称:ヤッコカウル)でハンドルマウントのストリートグライドと、フレームマウントでシャークノーズフェアリングなのがロードグライド。
ストリートグライドもロードグライドも同様のタッチパネル式のフルカラーデジタルメーターを採用するのは変わらないものの、メーター下部に収納トレイがあるのがストリートグライドで、ないのがロードグライド。
ハンドルポジションが大きく違うストリートグライドとロードグライド。またハンドルを切るとヘッドライトの向きが変わるハンドルマウント(ストリートグライド)か、フレームマウント(ロードグライド)かも大きな違いとなる。
5.ディティール共通
Milwaukee-Eight117と名付けられた空水冷4ストロークV型2筒1923ccエンジンを搭載(従来比55ccアップ)。排気バルブ周りのみをクーラント液で冷やす“空水冷"を採用している。
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