
文/Webikeスタッフ:銀
こんにちは!ウェビックスタッフの銀です。今回はホンダのハイブリッドスクーター、PCX e:HEVを、片道30キロの通勤ルートを中心に実際に走ってみた感想をレポートします。
普段、私は片道約30キロの道のりをヤマハ NMAX(2016年式)で通勤しています。ルートとしては、約1/3は渋滞がひどく、すり抜けが多いストップ&ゴーの道で、2/3は流れの早い国道の幹線道路、主に国道246号線を走るルートです。今回のPCX e:HEVも同様のルートで走行しています。
Sモードがパワフル! プリウスのようにメーターがアシスト状態を知らせてくれるのが楽しい
2021年、フルモデルチェンジでさらに魅力をましたPCX。すでに通勤試乗でのインプレをレポートした125㏄だけではなく、PCX160とハイブリッドスクーター「PCX e:HEV」も同時に発表されています。今回は、国内ではホンダだけがラインナップする、ハイブリッドスクーター「PCX e:HEV」を通勤で使ってみました。
車体構成はPCXとほとんど同じで、重量が4キロ重くなったPCX e:HEV。カラーリング以外では、シート下スペースがバッテリーの分だけ狭くなっていることぐらいしか違いがわかりません。
エンジンを始動し、普通に走り出しても新型PCX125と比較するとちょっと加速が重く、スムーズさに欠けるかな? というぐらいの違いです。ですが、スイッチのモードセレクターでSモードを選択すると、印象が一気に変わります。まさに背中を押されるような力強い加速で、スタートダッシュを一気に決めてくれます。
▲2021年型PCX e:HEVは、2018年にデビューしたPCXハイブリッドの最新仕様。4バルブヘッドに進化したパワーユニットを採用し性能を底上げしています。ハイブリッドシステムは従来型を踏襲。
▲ACGスターターを兼ねたアシストモーターも駆動に活用するのがシステムの概要。その際の電力はリチウムイオンバッテリーから使いますので、空になってもエンジン始動に影響しません。
▲身長170cmで余裕のあるライディングポジションはPCXと全く同じでハンドルやスクリーンはやや低め。足が伸ばせるのがPCXのいいところです。
▲足着き性は体重65kgでがかかとまで接地します。ぴったりと尻の部分をホールドしてくれるシートも優秀です。
PCX e:HEVの前に、ちょうど150㏄のADV150を試乗していたのですが、ADV150と同等かそれ以上の加速です。ホンダの資料によると、PCXのハイブリッドシステムはエンジントルクに対して4000rpm時で約33%、5000rpm時で約22%のトルク向上を達成しているとのこと。
PCX160の最大トルクが1.5kg-m/6500rpm、ハイブリットではないPCX125が1.2kg-m/6500rpmと、PCX160は125に対して25%の差があるので、数値的にもPCX e:HEVのほうが、トルクが向上していることになります。加速力だけで考えるならば、PCX e:HEVはPCX160よりも優れていながら、125㏄の原付2種クラスに収まっているわけですから、維持費の面から見てもとても魅力的なのです。
▲信号待ちから発進した直後のメーター表示。アシストゲージがフルアシスト表示になっています。※左上は停止時のメーター表示でバッテリー計はアシスト用のリチウムイオンバッテリーの表示です。
▲発進してしばらくするとアシスト量が減ります。アシストは約3秒間継続され、その後1秒で徐々に減少する仕様になっています。
▲これは完全にアシストが終了した状態です。ちなみにこの状況でもアクセルを一度閉じてから開けると“追いアシスト”してくれます。
▲減速時など充電中はチャージゲージが2段階で点灯します。“追いアシスト”を使いすぎてしまうとバッテリーゲージの減りが早くなります。
PCX最高峰マシンに乗る優越感と引き換えに犠牲になるのはシート下のスペース
ハイブリットシステム以外は基本的にPCX125と同じなので、装備や使い勝手においては特に不満になる点もありません。それ以上に、PCX e:HEVのカラーリングとブルーの差し色で一歩先の乗り物に乗っている優越感?を味わえます。
デメリットとしては、ハイブリットシステムをシート下スペースに搭載しているため、PCX125/160よりもシート下スペースが狭くなってしまっています。些細なことかもしれませんが、やはりシート下は広いに越したことはありません。また、車両本体価格もPCX160を上回ってしまっています。PCX160であれば、高速道路にも乗れるため、コミューターとしての使い勝手はさらに向上します。原付二種と軽二輪の維持費の差を考えると、あえて原付二種クラスにこだわるかどうかは悩みどころです。
維持費、性能、そしてコミューターとしての利便性、普段の生活の足として日常的に使うからこそ、コミューター選びは悩みどころが実に多いです。PCX e:HEVはまさにそんなコミューター選びの悩みを増大させる、実に魅力的な原付二種スクーターだと思います。
▲シート下はリチウムイオンバッテリーのスペース分食われてしまいますが、ヘルメットのスペースはきっちり確保されています。
▲シート裏にも逃げがあるので、このようにB4サイズのバッグも収納できました。PCXでは後方部分にレインウエアが収納できるスペースがあります。
▲エンジンは欧州でユーロ5に適合している最新の仕様ですが、従来の2バルブから4バルブ化などの改良を施して12→12.5PSに出力がアップしています。加えて1.9PSのモーターパワーが加わります。
▲フロントホイールは初代から受け継ぐ14インチで2021年型で10mmワイドになりました。ホイールも新作になっています。
▲リアホイールは従来の14インチから13インチにサイズダウンしサスストロークが伸長。またシート下スペースも23→24Lに拡大しています。
▲一目でPCXと分かるヘッドライトやポジション灯はすべてLEDを採用しています。
▲リアの灯火類もLEDで、Xの文字をデザインに取り込んでリアからでもPCXと分かるようにアピールしています。
▲左のフタ付き収納スペースは500mlのペットボトルも入る容量を確保。またUSBタイプCの充電ソケットも装備しています。給油リッドの裏にはタンクキャップを置くスペースもあって便利です。
2021年型PCX e:HEV主要諸元
・全長×全幅×全高:1935×740×1105mm
・ホイールベース:1315mm
・シート高:764mm
・車重:136kg
・エジンン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 124cc
・最高出力:12.5PS/8750rpm/1.9PS/3000rpm(モーター)
・最大トルク:1.2kg-m/6500rpm/0.44kg-m/3000rpm(モーター)
・燃料タンク容量:8.1L
・変速機:Vマチック無段変速式
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-14、R=130/70-13
・価格:44万8800円
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