
イタリアの名門ブランド「ベネリ(BENELLI)」が日本国内で販売をスタートした。1911年創業のベネリは現在中国のQJモーターの手に渡っており、日本へは大手バイク総合商社のプロトが輸入販売している。現在ベネリは世界的に小型から大型モデルまで多数ラインナップしているが、日本では250cc×3機種と125cc×1機種のみ導入。今回は一番お手軽なTNT125を紹介したい。
とにかくゴージャス、意欲満々の作りに中国メーカーの気合いを感じる
ベネリのTNT125は、とにかくライダーの心を掴もうという意欲が感じられる。これは製品としてはかなり重要な要素で、心をつかまなければいくら内容が良くても購入につながらない。経験やデータの豊富な日本のメーカーであれば、コストを考慮してこだわらない部分もTNT125は全力で魅せるという感じだ。
TNT125はそんなゴージャスさが魅力のモデルで、赤く塗られたトラスフレームや二本出しマフラー、フェンダーマウントのナンバープレートホルダーなど125クラスながら大型インポートモデル並みの装備がフル投入されている。これを老舗ベネリブランドでリリースすることで、ドゥカティやMVアグスタの一角に食い込んでいこうという気合いが感じられる構成だ。
▲日本で発売が開始されたTNT125は赤、緑、白×赤、黒×赤の4色がラインナップされている。排気量は原付二種の125ccで価格は32万8900円だ
▲ライダーの身長は170cm。前後ホイールはホンダグロムなどと同じ12インチで跨った印象も大きくは変わらない
▲ライダーの体重65kgで足着き性はかかとまでべったり接地する
油冷4バルブエンジンの走りは元気でハンドリングも自然だ
そしてTNT125の走りは好印象。エンジンは回して走るスポーティな特性でレッドゾーンの10000rpmまでスムーズに吹け上がる。パワーもグロムの10PSを上回る11.1PSを発揮しており、飛び抜けた程ではないが十分に元気な走りを味わえる感じだ。2本出しマフラーからのサウンドはジェントルで、音量はきちんと抑えられていた。
ハンドリングは自然でブレーキのタッチや制動力も不足ないので、街乗りやちょっとしたツーリングまで楽しめそう。ただし、ミニバイクレースなど高レベルなスポーツ走行を考えると車重が気になるかも知れない。やはり豪華さを重視したコンセプトなので体感で半クラスほど上の重量感があり、グロムなどの4ストミニバイクをイメージすると印象が異なるだろう。
それでも特に初めてバイクに接するライダーにとっては、ギミックと言える装備でも自身を表現する手段としては重要だとTNT125に乗って気付かされた。ちょっとした違いで優越感に浸れるところもバイクの楽しみであり、ここまでテンコ盛りで装備を充実してくれるのはベネリならではだ。果たしてTNT125の豪華さは日本の若いライダーに支持されるのだろうか? これについても注目したい。
▲エンジンは基本的に空冷だと思われるが、オイルクーラーを装備していることからか油冷を公称。カスタム感も演出できる
▲特徴的なトレリスフレームはシートレールも一体の設計。燃料タンク部分はカバーになっており、容量は7.2Lとなっている
▲スラッシュカットされた2連装のサイレンサーはMVアグスタの3本出しを連想させる。エンジンは単気筒だがサイレンサー手前で分岐させている
▲ビッグバイクのトレンドを125クラスで再現したスイングアームマウントのナンバープレートホルダーを採用。クラスで唯一の装備だ
▲パイプハンドルはテーパータイプを採用。メーターには燃料計や時計も表示される
▲前後ホイールは12インチで、前後ブレーキはディスク。ブレーキはコンビブレーキとなっており、ペダルを踏むとフロントのピストンが一部作動するようになっている
▲プロジェクター4灯のヘッドライトにウインカーはLEDを採用。お面のような顔立ちは中国の文化も感じられる
▲ヘッドライトが光るとこのような見え方となりかなりの迫力。ZZR1400のようなイメージにもなる
▲リアの灯火類はテールカウルに内蔵されており、ウインカーはクサビ型と凝ったデザイン。リアサスペンションはイニシャル調整が可能だがリンクは非装備だ
2021年型TNT125主要諸元
・全長×全幅×全高:1770×760×1025mm
・ホイールベース:1215mm
・シート高:780mm
・車重:124kg
・エジンン:油冷4ストローク単筒SOHC4バルブ 125cc
・最高出力:11.1PS/9500rpm
・最大トルク:1.02㎏-m/7000rpm
・燃料タンク容量:7.2L
・変速機:5速リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-12、R=130/70-12
・価格:32万8900円
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