
トライアンフが1月9日に新作のデイトナ660を発表した。3気筒ネイキッド=トライデント660をベースにフルカウルを採用。エンジンと足まわりを強化したスーパースポーツで、同社の現行ラインナップで唯一のフルカウルとなる。価格は108万5000円という、お手頃価格のミドルSSが誕生した。
目次
伝統のスーパースポーツ「デイトナ」が久々に帰ってくる
トライアンフの「デイトナ」は、1960年代のタイガーT100に冠されて以来、同社のスーパースポーツに与えられてきたネーミング。2000年代には3気筒のデイトナ600、650、675と進化を重ねたが、2015年に販売を終了。2019年には台数限定でデイトナ765が発売された。
以降、その名はラインナップから消えていたが、ついに新作「デイトナ660」で通常モデルとして復活を遂げた。
トライアンフは2023年12月19日にティザーサイトを公開し、予告どおり翌年1月9日21時(日本時間)に正式発表。ティザーの画像から「660ccのフルカウルスポーツ」とWebikeプラスでも見ていたが、まさに予想どおりとなった形だ。
ベース車は660ccDOHC4バルブ水冷3気筒をスチール製ダイヤモンドフレームに搭載するスポーツネイキッドのトライデント660。同車はエントリー層がメインターゲットだが、デイトナ660ではエンジンと足まわり、電脳が大幅にグレードアップしている。過去のデイトナ675のような本気SSのキャラクターではないものの、ビギナーをはじめ幅広いライダーが楽しめる1台と言えそうだ。
トライデント660をベースに新作のフルカウルをまとうデイトナ660。過去のデイトナ675をイメージさせる2眼とクリーンなデザインを持つ。
カウルは張り出しを最小限に抑え、スリムな印象。シート高はトライデント比で+5mmの810mmだが前側が絞られ、足着き性にも期待できる。
カラーオプションは3色。全カラーともレースをイメージした大胆な「660」グラフィックをあしらう。写真はサテングラナイト/サテンジェットブラック。
【エンジン】+14psで4気筒のCBR650Rに並ぶ95psをマーク
旧ストリートトリプルを母体とする水冷トリプルは、トライデント比で最高出力が14ps増の95psへ、最大トルクが0.5kg-m増の7.03kg-mへと大幅パワーアップを果たした。
659ccの排気量とボア74×ストローク51.1mmは変わらないが、クランクシャフトなどの内部パーツを新作としたほか、圧縮比を11.95:1→12.05にアップ。マフラーも一新され、最大出力発生回転数は+1000rpmの1万1250rpmとしている。またレッドゾーンは、トライデントの1万1000rpm以降に対し、1万2650rpm以降にまで高めた。
そして最大トルクの80%以上をわずか3125rpmで発生。同社によると「レスポンスが良く、スポーティーで扱いやすいパフォーマンスを発揮」するという。3気筒エンジンは、2気筒のような低中速トルクと扱いやすさ、4気筒に似た高回転パワーが魅力だが、デイトナ660の心臓部はその特性に磨きがかかっているはずだ。
最高出力は、95psを発生する4気筒のCBR650R(ホンダ)と同等。2気筒のYZF-R7(ヤマハ)が73ps、Ninja650(カワサキ)が68psだけに、600cc級フルカウルではトップクラスのパワーを誇る。
3in1のサイド出しアンダーマフラーは一見トライデントと同様だが、新作。スポーティなサウンドを奏でる。
トライデントと比較したパワーグラフ。ビギナーにも扱いやすい出力特性のトライデントに対して、デイトナは6500rpm以降で伸び、特に7500rpm以降からトップエンドまでのパワーが圧巻だ。
【車体】サスとブレーキが一段とスポーティに!
足まわりもトライデントより上級になっている。フロントは、ショーワ製41mm倒立SF-BPFにラジアルマウント4ポッドキャリパーの組み合わせ。トライデントのショーワ倒立SFF(セパレートファンクションフォーク)と2ポッドのスラストマウントキャリパーに対し、よりスポーティな装備を与えた。
ディメンジョンに関しては、ホイールベースを1400 →1445mmにロング化。キャスター/トレールはトライデントの24.6º /107.3mmに対し、23.8°/82.3mmと立て気味になっている。
ライポジもスポーティだ。バーハンドルのトライデントからクリップオンハンドルとし、ステップ位置も後退&上方に変更されている。
スイングアームはスチール製。軽量な5本スポークの鋳造アルミホイールを組み合わせる。
【装備】走行モードは3パターンに、カラー液晶も採用する
このクラスでは貴重なライディングモードは3パターンから選択できる。
トライデントでは、ロードとレインのライディングモードを備え、個別にトラクションコントロールのオンオフが可能だった。一方、デイトナでは、ライディングモードをスポーツ、ロード、レインの3種類に強化。追加されたスポーツモードでは、本格的な走りやサーキット走行に最適なスロットルレスポンスを実現するという。
さらにABSとトラクションコントロールは、モードに応じて一括制御されるようになった。なお、IMUなどの慣性センサーは採用しないオーソドックスなタイプだ。
メーターはストリートトリプル765Rなどに採用されているものと同ユニットで、カラーTFTとモノクロ液晶を一体化したタイプ。オプションでスマホとブルートゥース接続でき、ターンバイターン式ナビや電話、音楽を連携できる。
上部のモノクロ液晶にタコと速度、下部のカラーTFT液晶にギヤポジションなどを表示する。
気になる価格は110万円切り!
公式発表によると、国内版の価格は未定で、3月末に入荷予定という。
なお、プレス向けのオンライン記者会見ではイギリス仕様が8595ポンド(約157万6000円相当)と発表された。現地でのトライデント660は7895ポンド(約144万6600円)。日本でトライデントは99万5000円で販売されており、これをイギリスでの価格差に置き換えると、デイトナ660は約13万円増の112万5000円程度になる計算だ。
これなら、国内のライバル勢と比べても十分勝負できるプライスと思いきや110万円切りの108万5000円で発売。春のショーで実車が拝めることも期待!

国産ライバル勢との比較。デイトナは2気筒勢ほどではないが軽量で、パワーはトップタイ。なお、GSX-8Rの国内仕様は未登場だ。
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リアタイヤの向きが逆ですね😅