
取材協力:レッドバロン
カワサキが誇るスポーツシリーズ「Ninja」。その入門機ともいえる250ccクラスには、現在2気筒の「Ninja250」と4気筒の「Ninja ZX-25R」の2モデルがラインナップされている。しかし2015年~2016年の短い間だけ、そこには単気筒エンジンを搭載した「Ninja250SL」が存在していた。Ninjaシリーズの中でも個性の強いこのモデル、細部をチェックする機会を得たので紹介したい。
オフロードマシンのエンジンを積んだNinjaは、最高にスリムで軽量
Ninja250SLは、海外で2014年に登場した250ccフルカウルスポーツだ。日本には2015年に導入され、従来からのNinja250と共にラインナップされたが、両者は名前こそ似ているが、中身は全く違うモデルだった。Ninja250は出力31PS/11,000rpmの水冷並列2気筒DOHCエンジンを搭載、2眼のヘッドライトやアシスト&スリッパークラッチを採用した万能スポーツだが、Ninja250SLは出力29PS/9,700rpmの水冷単気筒DOHCエンジンを採用し、電子制御やアシストシステムは採用されていない。これだけの情報だと、「Ninja250を安く仕上げたモデル」というイメージが沸いてしまうが、むしろスパルタンな特性はNinja250SLの方が上を行っていた。
Ninja250SL[カワサキ]2015年に発売された250ccフルカウルスポーツ。パワフルなエンジンを軽量なボディに搭載し、軽快な運動性能を発揮した。
というのは、Ninja250SLはとにかく「軽量化」を志向したモデルであり、コンパクトなボディの車体重量は149kgという超軽量クラス。Ninja250から25kgもスリムアップしているのだ。「SL」というネーミングは「スーパーライト」の略だというから、そのコンセプトは徹底している。そして搭載されているエンジンのベースは、「闘う4スト」で知られるオフロードマシン「KLX250」のもの。パワフルさに定評があるエンジンを軽量なボディに収めた……というわけで、キビキビした運動性能と軽快なハンドリングを楽しめるモデルとして仕上がった。
個性派のNinja250SLだったが、2016年にカラーチェンジと一部フレーム設計の変更というマイナーチェンジを受けたのち、生産は終了となった。KLX250も同時に生産終了し、これによってカワサキの250cc単気筒は空冷OHCのエストレヤ/250TRのみとなった(こちらも2017年には生産終了)。
軽量なボディからくる運動性能はとても軽快。ポジションも非常にスポーティーで、コーナリングを十分に楽しめる。
人馬一体の「タイトフィット」を実現 足つき良好!
実際に跨るとかなり前傾が強め。モデルは170cm/65kgの体格だが、停車状態からかなり背中を丸める必要がある。これはスポーティなポジションの実現のため、セパレートハンドルを採用しているのも理由のひとつ。またシート高も高め(780mm)だが、細い車体はまっすぐに足を下ろせるため、足つきは良好だ。このスタイルはライダーとの「タイトフィット」を目指し、新設計のトレリスフレームを用いて実現したものとなる。
モデルは身長170cm、体重65kg。シート高は780mmだが、片足はべったり接地する。軽い車体も相まって不安はなし。
フレームは専用設計のトレリスフレームを採用しており、スリムなボディを実現。これにより高めのシート高でも足つきは良好となっている。
装備面ではユニトラックのリアショック、インナーΦ37mmのフロントフォークで足回りをガッチリとかため、軽快なボディの運動を支える。ホイールは当時のNinja共通デザインのキャストホイールで、前後ともに17インチを採用。電子制御は非搭載だが、メーターはフルデジタル化されている。灯火類はバルブ式で、ヘッドライトはNinja250と印象を変える異形シングルタイプだ。このほか、ラジエーターファンカバーの工夫により、冷却風を車体下部へ流し、ライダーの快適性をアップする構造も採用されている。
そんなNinja250SL、先述の通り販売年数は短く、年々市場の車両は減る一方ながら、コアな人気は衰えていない。しかし独特のスタイルを継承するモデルはほとんどなく、絶版となってからも高い人気は続いている。どっしりした安定感や、便利で優しい最新装備はないが、コアなスポーツファンから愛され続けるモデルとしても、またビギナーのスポーツバイクデビューにも、どちらにもお勧めできる素敵な絶版車がNinja250SLなのだ。
Ninja250SL(2015)主要諸元
・全長×全幅×全高:1,935×685×1,075mm
・ホイールベース:1330mm
・シート高:780mm
・車重:149kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 249cc
・最高出力:29PS/9,700rpm
・最大トルク:2.2kg-m/8,200rpm
・燃料タンク容量:11.0L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/80-17、R=130/70-17
・価格:¥459,000(2015年)
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買うなら真っ先にリアサス交換を勧めます。
プリロード最弱でも固すぎる乗り味で腰を痛めます。
そこさえ改善すれば切れ味鋭いコーナリングを堪能できます。
Ninja250SLは楽しいコーナリングマシーンですよ(笑)
全長2kmのコーナーが多いサーキットなら余裕で大型と張り合えますよ!!
腕次第だけど...
楽しくて良いバイクなのですが、謎のエンスト持病が苦になります