ハーレーダビッドソンのミドルネイキッド「X350」「X500」の、有名ビルダーによるオリジナルカスタムが、先日開催された「YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2023(ヨコハマホットロッドカスタムショー)」で発表された。オリジナルスタイルを活かしつつ、ビルダーのセンスが注入されたスペシャルマシンだ。
アンベールイベントでお目見え!奇しくも同じグレーベースのカラーに
今年10月に販売を開始した、ハーレーダビッドソンのミドルネイキッド「X350」と「X500」。現行ラインナップ唯一の普通二輪免許で運転できるX350と、クラシックネイキッドスタイルのX500は、発売1か月で受注は1000台を突破し、日本導入数も拡充する。クルーザーの代名詞的なハーレーのイメージを覆す注目の新モデルだ。
2023年12月3日(日)に開催された「YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2023」ハーレーダビッドソンブースにて、そんなX350/X500のカスタムマシンが初披露。手掛けたのは、X350を「HOT-DOCK CUSTOM CYCLES」の河北啓二氏、X500を「Wedge MOTORCYCLE」の二平隆司氏となり、日本のみならず、世界中のカスタムシーンで高い評価を受けるハイレベルなビルダーが揃った。
会場では朝早くから、そんなマシンのアンベールイベントが開催。ハーレーダビッドソンジャパン・野田一夫社長の挨拶ののち、2台のマシンはそれぞれのビルダーの手によって公開された。スタンダードモデルではハーレーダビッドソンのイメージカラー、オレンジをメインとしている「X」シリーズだが、登場したカスタムマシンは奇しくも同じライトグレーをベースとしたシックなマシン。しかし、もちろんそれぞれのビルダーの個性が存分に発揮された唯一無二の仕様となっている。
HOT-DOCK CUSTOM CYCLES「X350 Knight」
トラッカースタイルのX350は、353ccの水冷並列2気筒、360度クランクエンジンを採用。Vツインのような鼓動感はないものの、トルクフルなフィーリングで36HP(27kW)/9,500rpmを発揮。コンパクトなボディとアップライトなポジションが特徴的だ。デザインのモデルとなっているのは70年代のフラットトラックレーサー「XR750」で、タンク形状やシンプルな造形にそのスタイリングを引き継いでいる。
このX350をベースに戦闘機をモチーフとしたグラフィックを施したのが、東京都練馬区・HOT-DOCK CUSTOM CYCLESの河北啓二氏が手掛けた「X350 Knight」。日本を代表するカスタムビルダーの一人である河北氏は、ハーレーダビッドソンの各モデルをベースとして様々なスタイルのマシンを発表、国内最大規模のカスタムショーを幾度も主催するほか、レース参戦も続けており、競技用のレーサー製作も得意としている。
そんな河北氏は、X350のモデルとなった「XR750」に絶対的な美を見出し、X350にもレーシーなイメージを投影。外装パーツをグレーアウトし、オレンジのアクセントでチェッカーパターンと、「Night」の名にたがわない馬のシンボルを描いた。またタイヤは前後ともにMAXXIS製のフラットトラック専用モデルを装備。エンジンやメーター、フレームといった主要パーツはほとんどスタンダードのままながら、スパルタンなシルエットを実現している。また軍用機のイメージも随所に取り入れられており、シートカウルにはリベット風のアレンジや、メッシュが張られたエアインテーク風のデザインが施されている。ペイントにはスケールモデルでよく行われる「黒立ち上げ」手法で陰影を強調し面構成を複雑化。遊び心も詰まった仕上がりだ。
Wedge MOTORCYCLE「X500 Notch X」
ハーレー定番の人気モデル「スポーツスター」シリーズのスタイルを取り入れ、ロードスターとして設計されたネイキッド「X500」は、500ccのDOHC水冷並列2気筒エンジンを搭載。大型二輪免許が必要な排気量ではあるが、こちらもX350同様の360度クランクを採用しており、鼓動感とネイキッドらしいアグレッシブな走行感覚を楽しめる点でクルーザーモデルと差別化されている。
そんなX500をベースにマシンを製作したのは、東京都多摩市・Wedge MOTORCYCLEの二平隆司氏。妥協のないカスタムへの姿勢により、板金、塗装などの諸工程をすべて自分で行うこだわりから、世界中で高い評価を受ける端正なマシン製作を特徴とする。ハーレーをモデルとすることは少ないというが、その独自の世界観はX500をモダンレーサースタイルへ生まれ変わらせた。
二平氏の「X500 Notch X」はスパルタンな印象のカフェレーサーだ。シャーシはスタンダードモデルのままながら、シートは大胆にリファインされたシングルシートへ変更。ハンドルは一気に引き下げられたセパレートとなり、ヘッドライト位置やメーターもこれに合わせて変更。またタンク形状も細やかに調整されており、前傾の強い戦闘的なポジションとなっている。排気系にはショートサイレンサーを採用。タイヤは前後ともにサーキットの定番、DUNLOPのα-14へ換装され、スパルタンな印象を裏切らない性能をイメージさせるものとなった。そんなレーシーなスタイルを彩るグラフィックは、シンプルなライトグレーに極細のシルバー&ゴールドのピンストライプが施された仕上げで、上品で都会的な雰囲気も印象的だ。
発売されて間もないX350とX500だが、どちらも様々なカスタムパターンを実現するベースとしてはもってこい。サードパーティー製パーツも充実すれば、一般ライダーにもカスタムのチャンスがやってくるハズだ。今回発表された2台のスペシャルマシンは、これからのカスタムシーンを盛り上げる嚆矢となるだろう。
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