ホンダが朝霞にある本田技術研所でデザインスケッチを公開していたので紹介したい。メインに据えられていたのはコンセプトモデル「CB FOUR」として有名なスケッチで、後のCB1100に繋がった一枚。他にも興味深いスケッチが多数展示されていた。

未公開スケッチも展示

バイクが実際に製品として発売されるには様々なプロセスがあるが、まず最初は一枚のスケッチから始まる。もちろん、開発の段階で描かれるスケッチも目的や表現が変わってくるが、スケッチを基にクレイやCADを駆使して立体にするため、かなり重要な要素だ。

今回は、1968年から現在までに描かれたデザインスケッチが様々な年代、ジャンルから集められている。中には未公開スケッチもあり、本田技術研究所ならではの見ごたえある展示となっている。それぞれホンダによる解説文とともに紹介したい。


こちらは2010年のCB1100発売時に公開されたもので、デザイナーである小濱光可氏の想いが文字でびっしり書き込まれていた。「空冷4気筒の機械美」を強く訴えていた。


CB FOUR(1999年) [HONDA] 「理屈抜きに乗りたくなるバイク」を目指して実際に立体化された。性能に劣る空冷エンジンを造る必要があるのか? という疑問に現物で答えたのだ。

現在に至るCBの羽根つきテールカウルはCBXから生まれた

1978年に発売されたCBXは、X=究極のCBを意図したネーミングで、他に類を見ない並列6気筒1047ccエンジンが105PSを発揮した名車。デザインにおいては、現在のCB1300シリーズにまで至る羽付きのテールカウルを初めて装着したことも大きなポイントだ。

OBの証言を交えたデザイナー・トリビアによると『当初CBXはリアカウルなしでデザインが進められていましたが、量産寸前まで進んでいた段階で「迫力不足」の指摘がありました。

デザイナーが海外出張中だったため、留守を預かるモデラーがクレイモデルで羽根が付いたリアカウルを作りましたが、CB750F/900Fのデザインを決めて帰国したデザイナーも同様なアイデアをリアカウルに盛り込んでいたことから、羽根が付いたリアカウルをCBXの量産車で初採用することになりました。

他にもジュラルミン鍛造のクリップオンハンドルなど、その後のデザイン・トレンドをこのCBXか発端となって築き上げていきました』とある。羽付きテールカウルははアフターパーツでもブームになり、1990年代以降はCBスーパーフォアシリーズでも再現されている。


CBX [HONDA] 実際に発売された車両も展示された。1960年代のGPレーサーと同じDOHC4バルブ6気筒エンジンを搭載したホンダ初の1000ccクラスのスーパースポーツだ。


CBXのテールカウルにはウイング状の飾りがついており、テールカウルをつけたZ1からのバイクデザインをさらに発展させるきっかけになった。その逸話(トリビア)も面白い。

CB400フォアはリアルな“バケヨン”だった!?

1974年に発売されたCB400フォアは、当時ブームの兆しを見せていたカフェレーサーイメージの一台。集合マフラーの美しいスタイルから生産終了後に中古価格が高騰する人気を見せ、現在ではコレクターアイテムに数えられる名車となった。

OBの証言を交えたデザイナー・トリビアによると『実はCB400FOURのデザイナーはCB350FOURも担当していました。革新的なデザインのCB400FOURで絶大な人気を得たことは、不人気だった350に対する「リベンジ」でもありました。

のちに、今も人気があるCBX400Fやフュージョンなども手掛けていますが、その両方が一度生産終了後しばらくしてから再度生産されるなど、何度ものブームが訪れるような永く愛されるデザインを生み出しました』とある。

CB400フォアの前身になったCB350フォア(1972年)は、販売が振るわずCB400フォアに移行した。ヨンフォア人気で350に400の外装を装着する「バケヨン」と呼ばれるカスタムが流行したと言われるが、それ以前にCB400フォア自体が、デザイナーによる「バケヨン」化だった!?

この記事にいいねする


コメントを残す