ヤングマシン連動企画HONDA VFR800F試乗レビュー テスター丸山浩

ツアラーでも軽量でコンパクトな車体構成

「ウェビック」＆「ヤングマシン」コラボの第2回！7月下旬に実施したアンケートで「もっとも注目しているバイク」のベスト10をインプレをしてしまうこの企画。今回は12年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたホンダ技術の結晶、VFR800Fをテスト。

ホンダ伝統のV4エンジンは、元々レースで勝つために作られたエンジンだ。低回転域からパワーが立ち上がるその特性は台形パワーと呼ばれ、あらゆるコーナーで鋭く立ち上がることが出来る。直4に比べ横幅が狭いので、車体もスリムかつコンパクトに設計することが可能だ。それにより得られる軽快なハンドリング、まさしくスポーツバイクのためにあるエンジンと言えよう。

第1線を退いてからはスポーツツアラーVFRの心臓部として使われるようになったが、〝台形パワー〟はここでも活躍する。どこからでも加速できる特性は、乗り手もステージも選ばず、ロングクルーズには最適だった。そのため2010年にはツアラーフラッグシップ、VFR1200Fへと、その系譜を進化させていた。

しかし今年、VFR800Fが新V4マシンとして登場。キャラクターこそツアラーだが、真髄である軽量＆コンパクトに立ち返り、走行性能に主眼を置いたスポーツバイクとなって帰ってきた。

ホンダ伝統の90°V型4気筒・781㏄に、低中回転から高回転で2→4バルブに切り替えるハイパーVTECを搭載、台形パワーの高回転域にパンチを加えている。

シート高は2段階に調節可能

工具は必要だが、六角1本で比較的簡単に高さの調節が可能。

街乗りでは足付きの良いローで。高速巡航時にはハイシートの方が膝の曲がりも穏やかで、長距離でも疲れにくい。

シート高:809mm

シート高:789mm

またがってみると、ツアラーとしては前傾が強いハンドル位置。速度の乗らない街中では少々辛いが、高速走行時にはバランスの良いポジションだ。シート高は2段階に調整可能で、身長168㎝の私だとハイシートでも両足の前半分が地面に着くほどの足着き性の良さだ。

装備は至ってシンプル。トラクションコントロールやABSなど、スポーツライディングをサポートするもの以外は最小限に留めている。豪華装備の快適ツアラー路線ではなく、あくまで軽量スピードツアラーであることを徹底した仕様。オプションにオートシフターの設定があることからも、走りの本気度が伝わってくる。

その割り切りは、やはりワインディングで生きてくる。ハンドリングは軽快で、かつニュートラル。タイトなコーナーが続くところでも、ハイペースで狙ったラインをトレースしていける。これにV4エンジンの特性がマッチして、どのようなコーナーでもシビアさを感じること無く、スルスルとクリアしていけるのだ。箱根のようなワインディングが数百キロも続く欧州では、このスタンスのマシンがより好まれるだろう。

逆を言うと、胸のすくような高回転域の伸び上がりが直四に比べ乏しいのもV4だが、「さぁ行くぞっ！」と気合を入れたいときには、6500rpm以上に叩き込めばいい。そこから先はハイパーVTECが作動し、ターボのようにパワーが上乗せされる。一段と強くなる排気音も相まって、演出としても楽しませてくれる。

トップカテゴリーがスペックばかりを重視し、右も左も一律同仕様のマシンになっていく中で、V4エンジンを投入してくる意義。それはやはり、V4の持つ、本気でスポーツ出来るエンジンを味わってもらいたいからだ。

ヘッドライトはLEDを採用している。スリムなボディは足付き性も良好、身長168㎝（体重61kg）のボクだとハイシートでも両足の前半分が着き、ローではカカトまで着くほど。

ホイールスポークは、左右交互にオフセットしている独特な形状。

サスペンションは前後共、伸び側を無段階でダンパー調整が可能。新設計の方持ち式プロアームとプロリンクの組み合わせとなっている。

ギヤポジションと燃料計、グリップヒーター表示を採用。センターにアナログ式のタコメーターを配置。

メーターパネル左下のスリット内にあるインジケーターは、標準装備のETCのもの。

ウェビックユーザーが注目するバイクBEST10

7月下旬にウェビック会員に「いちばん注目しているバイク」を質問し、多くの回答を得たベスト10。今後も毎月、ヤングマシン最新号発売(24日)と同時に1週間、アンケートを続けていくのでご協力を！