全日本モトクロスに電撃参戦したCRエレクトリックプロトがヒート1で2位を獲得した。電動モトクロッサーによる世界初の公式戦出場で可能性を示した形だ。

ラスト2周でペースダウンしたのはデータ不足か

ホンダレーシングは、10月28~29日にオフロードヴィレッジ(埼玉県川越市)で開催された、「D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第8戦 埼玉トヨペットCUP」のIA1クラスに、電動モトクロッサー「CR ELECTRIC PROTO(CRエレクトリックプロト)」で参戦した。

今回は、特別規則で出場が認められたされたもので、電動モトクロッサーの公式戦参戦は世界初の試みとなる。450ccエンジン車の最高峰IA1クラスでいかに戦うかに注目が集まったが、ヒート1で2位を獲得。ヒート2、3はアクシデントでリタイヤに終わり総合成績は10位となった。

ヒート1のトップは第7戦まで負けなしの成績を誇ったジェイ・ウィルソン選手でCRエレクトリックプロトはさすがに敵わなかったが、3位以下の選手を引き離した。モトクロスの1ヒート15分で十分に戦えるポテンシャルを見せたのは好材料だろう。

しかし、ラスト2周で明らかにペースダウンしたのは「バッテリーの消耗」とホンダ関係者は認めており、まだまだデータ不足の状況だ。また、バッテリースペックは限られており、15分を全開で走り切りトップを狙うには容量アップや効率化も必要だと思われる。

操作系はミッションなしクラッチなし

電動マシンがエンジン車に混ざってレースに参戦する例は、全日本トライアル選手権のIAスーパークラスが先行している。ヤマハが2023年に「TY-E2.1」を投入し黒山健一選手が上位に食い込む活躍を見せる。そして今回はCRエレクトリックプロトが全日本モトクロスに参戦し、オフロードでは電動化が進む気配だ。

TY-EとCRエレクトリックプロトの違いは操作系にあり、CRはクラッチなしのオートマになっている。これは種目の違いによるものだが、CRエレクトリックプロトは、マディなコンディションでトラクション不足になるケースも見られたようなので、パワーデリバリーは課題のひとつ。一方、変速機構がないためライディングに集中できるのはエンジン車に対する強みと言える。

CRエレクトリックプロトはバッテリーにリチウムイオンを使用しているとのことだが、エンジン車よりも車重があるという。またエンジン車は燃料が減ると軽くなるので、電動マシンはレース終盤になるほど不利になる。スピード勝負のモトクロスにはトライアルと異なる難しさがあり、今後ホンダがこれをいかに克服するかも見所だ。

【画像ギャラリー】CRエレクトリックプロトをモビリティショーで撮影 (21枚)

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