
エストレヤが2017年型で生産終了し、カワサキ250ccネオクラは空位のままだった。しかし、10月25日にプレスデーを迎えたジャパンモビリティショーで、新作のメグロS1とW230が同時に初披露! 公開された情報は少ないが、現地の取材とブースに展示された実車から可能な限り解説していきたい!
目次
エンジンは新型KLX230ベースだが、外観は別物
排ガス規制により惜しまれつつ殿堂入りしたエストレヤ。これに代わる250ccネオクラが2台も導入されることになった。発売時期や価格は未定ながら、カワサキモータースジャパンが2車とも「国内導入」をアナウンスしたのだ。

ショー会場ではカワサキモータースの伊藤社長が自らメグロS1をアンベール。カワサキは「伝統と革新」をブランドコアとしており、メグロは伝統のシンボルの一つ。元来、Wシリーズもメグロの技術を活かしたモデルだった。
メッキを多用し、クラシカルな「メグロS1」、現代のWシリーズに連なるレトロスポーツの「W230」ともに、現地で初公開された新型KLX230のSOHC空冷単気筒を搭載。詳細は未発表だが、従来型は223ccとなり、新たにユーロ5(令和2年排ガス規制)相当の排ガス規制をクリアした模様だ。
さらにエンジン外観はより大きく見えるよう各部を新作に。シリンダーヘッドのフィンや、クランクケースカバーを大型化し、空冷エンジンが目立つようデザインされている。特にクランクケースカバーは曲線が強調され、レトロかつ温もりのある造形だ。

新型KLX230をベースとした空冷シングルは、迫力ある外観を追求。エンジン前部の黒いボックスは不完全燃焼したガスを浄化するキャニスターだ。メグロS1、W230ともに心臓部は共通。

新型KLX230の空冷単気筒。外観では別物に見えるほど造り込まれている。スペックは未発表だ。

新作のキャブトンマフラーは、触媒+消音室をトグロ状にしてエンジン下にまとめている。サイドビューだとエキパイがストレート形状に見えるのだ。
レトロなシングルクレードルフレームを新設計!
車体は新設計。KLX230ではトップチューブが2本あるペリメターフレームなのに対し、メグロS1とW230はシングルクレードルフレームとなる。往年のメグロジュニアらと同様、クラシカルなバイクに採用されたフレームでレトロ感を強調している。

メグロS1とW230のフレームは新設計。トップおよびダウンチューブが1本のレトロな鋼管シングルクレードルタイプだ。
足まわりは、ワイヤースポークホイールに正立フォークとリヤツインショックを組み合わせ、いかにもクラシカル。フロントタイヤは90/90-18、リヤは110/90-17を履き、前上がりの懐古的スタイルを形成する。フェンダーはリヤが樹脂製ながら、フロントはスチール製。これまたレトロバイクのマストアイテムで、250クラスとはいえ、しっかり質感も追求されている。

フロントは18インチで、正立フォーク+シングルディスクを採用。装着タイヤはIRC製グランドハイスピードGS19。伝統的なパターンを施したツーリング向けのスポーツバイアスタイヤだ。

リヤは17インチ。ツインショックとディスクブレーキを組み合わせる。前後タイヤとも旧エストレヤと同サイズだ。
灯火類はヘッドライトにLEDを採用。従来のエストレヤはハロゲンバルブだったのに対し、よりレトロモダンな雰囲気となるハズだ。メーターはアナログ2眼で、W800と同じユニットが採用される予定という。

LEDヘッドライトを採用。現代的な顔つきとなるだろう。ウインカーやテールランプはバルブ式。※写真はメグロS1

テールまわり。やや大ぶりなウインカーがレトロだ。※写真はW230

メーターはアナログ2眼で、W800と同タイプ。写真はW230で、文字盤のデザインはメグロS1と作り分けているという。なおETCのインジケーターが見えるが、標準採用かは不明。アップタイプのバーハンドルはメグロ、Wとも共通だ。
メグロは豪華! メッキタンクと手塗りエンブレムを奢る
ここからはメグロS1とW230の詳細や違いを比較したい。
メグロS1は、2024年に創業100周年を迎える「メグロ」を記念して投入されるモデルだ。
メグロは1924年(大正13年)に生まれたアジア最古のバイクメーカー。大排気量車が得意だったが、250ccクラスの「メグロジュニア」シリーズを投入し、好評を博した。やがて経営不振となり、1964年、カワサキが吸収合併。2021年にカワサキはメグロブランドを復活させ、W800のバリエーションとしてメグロK3を発売した。
このたびのメグロS1は、K3に続く新生メグロ第2弾。車名は、メグロジュニアに冠された「S」と新時代のメグロジュニア1号車を意味する「S1」と名付けられた。

ショー会場では、最後のメグロジュニアとなった「メグロSG」を展示。メグロS1は、時代を超えたSGの正統後継車となる。
一方のW230は、1966年のW1(通称ダブワン)を祖とするWシリーズの末弟。W1は、メグロのK1を母体に排気量を650ccにアップするなど強化したモデルで、Wもメグロの血脈を引くシリーズと言える。
Wシリーズは’70年代に終了したが、1999年にW650として復活。現在もW800シリーズが展開されている。
メグロS1とW230の違いは、カラーリング、エンブレム、シート、メーター文字盤など。メグロはクロームメッキを施した燃料タンクが最大の特徴で、Wはシンプルなデザインでより買いやすい価格が期待できる。この辺りは兄貴分であるメグロK3とW800の関係と同様だろう。

メグロS1は、元祖メグロをイメージしたクロームメッキ×黒の燃料タンクとエンブレム、ニーパッドを採用。美麗なエンブレムはメグロK3と同様、アルミの立体成型に手塗りで着色される。

W230の燃料タンクは白×黒のツートーンカラーで、ニーパッドは非装備。これにWシリーズらしいメッキのバッジをあしらう。

シートは前後一体のダブルシート。メグロS1は白いパイピングを施す。

W230は黒×白のツートーンシートを採用。車体カラーとのマッチングも抜群だ。
[まとめ]ライバル不在? 盟主レブル250も危うし!?
250クラスのネオクラは現在、貴重な存在。ライバルはホンダのCL250あたりとなるだろうが、メグロやWほどクラシック感を強調したモデルではない。価格次第では、このクラスの盟主であるベストセラーのホンダ・レブル250を脅かす存在になるかもしれない。さらなる詳細を待ちたいところだ。
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