
ホンダがジャパンモビリティショー2023に出展するモデルを発表した。中でも注目は'80年代のモトコンポとシティを思わせる、電動バイクの「Pocket Concept」(ポケットコンセプト)と電動カーの「SUSTAINA-C Concept」(サステナ シーコンセプト)。情報は未公開ながら、ホンダが出願した特許からポケットコンセプトの詳細が見えてきた!
文:沼尾宏明話題のモトコンパクトに続く、現代版モトコンポがまたも登場か?
ホンダがアメリカで発表し、大反響となっている電動バイクの「モトコンパクト」。1981年に発売され、車への積載をコンセプトにした“モトコンポ”の現代版として、折り畳み式ボディが話題だ。
そんな中、ホンダがジャパンモビリティショー2023(旧称 東京モーターショー 10月28日~11月5日に一般公開)への出品モデルに関し、概要を発表。モトコンパクトが展示されるかと思いきや、またもモトコンポ的な電動コンセプトバイクが世界初公開されることになった。
車名は「Pocket Concept」(ポケットコンセプト)。超コンパクトかつ未来的なデザインが特徴だ。

ジャパンモビリティショーでワールドプレミアされる電動バイク「Pocket Concept」。ステップが下側に折り畳まれ、スタンドとして機能しているのがユニークだ。

同じく世界初公開されるEVの「SUSTAINA-C Concept」。丸眼やフロントグリル、ボディ形状など、いかにもシティを彷彿とさせる。

アメリカで一足先に発表されていた電動コミューターのモトコンパクト。アタッシュケース状に格納でき、こちらもモトコンポと同様のコンセプトと言える。
リリースでは電動カーの「SUSTAINA-C Concept」(サステナ シーコンセプト)と同じ欄に紹介され、ともに回収した使用済みアクリル樹脂を再利用して作製されているという。また「資源の循環利用(リソースサーキュレーション)によって、限りある資源の制約から解放され、地球環境の保護と自由な移動の喜びを将来にわたって両立することを目指し開発されました」と紹介されている。
他に情報は公開されていないが、この2車はまさに往年のモトコンポとシティのコンセプトを思わせる。
1981年に発売された原付バイクのモトコンポとコンパクトカー「シティ」は同時開発。シティは全長3.4m弱ながら背の高い効率的なパッケージが特徴だ。モトコンポはシティの荷室にピッタリ収まるサイズに加え、折り畳み式ハンドルとステップ、液もれ防止機構を採用。長距離の移動はクルマ、ラストワンマイルはバイクという4輪+2輪の「6輪生活」を謳った。

1981年に登場したモトコンポ。車重45kgのため、実際は軽々と車載するのは難しかった。現在の中古市場では大人気。

同じく1981年に発売されたシティ。ポップなデザインと、コンパクトながら広い荷室で大ヒットとなった。
今回のポケットコンセプトとサステナ シーのデザインは、モトコンポ+シティと似ており、車体カラーもイメージカラーだった赤に近い色味。またサステナ シーのCはCITYの「C」とも取れるのだ。
モトコンポの重量は45kgあった上に、当時の原付としては割高な8万円だったため、ヒットには至らなかった。しかし電動バイクならば、より軽く、液もれの心配もない。当時より車載性に優れ、「6輪生活」のコンセプトが一層享受できるだろう。
すでに特許申請済み、ハンドルがシート内に収まる?
ポケットコンセプトはいかにも折り畳み可能のように見えるが、詳細は未発表だ。そこで調べてみると、過去にホンダが出願していた特許内の図面によく似たモデルが登場していた。

ホンダの特許図面より。ハンドルをはじめ、フロントカバー、シートなど外観がポケットコンセプトに酷似している。車体後部(68)にナンバープレートまで設置!
この特許は、超小型バイクにありがちな“ハンドルが足に当たりやすい”問題を解消するのが主目的だが、「ハンドルの折り畳み機構」ついても詳細に解説されている。
グリップ内側のロックナットを緩め、外側にスライドさせることで、ハンドルが下側に折り畳める。シートは前後にスライドでき、最後部まで動かすとシート下の収納部が出現。ステアリング下部のロックナットを緩め、車体側に180度回転させれば、ハンドルをシート下に格納できる。

特許の図面より。左右ハンドルにあるナットを緩めてスライドさせるとロックが解除でき、ハンドルが畳める。

ポケットコンセプトにもレバーホルダー内側にロックナットらしきものが見える。

特許図面ではシート下のグラブレールを操作することでシートが前後にスライドできるという。グラブレールは移動時の取っ手になるほか、横倒しで積載した際の保護部材にもなる。
ステップボードは、正式発表された広報写真のようにステップとなるほか、上部にも折り畳み可能とされている。
さらに特許によるとモーターは、前輪と後輪のどちらにも搭載。2輪駆動になれば面白いが、実際の製品では前後いずれかになるかもしれない。充電用コンセントは車体左側面、後輪の上側に設置。屋外での電源として使える出力用コンセントは車体右側面にある。
電動の上にこのサイズ感から、7月から解禁された電動キックボードを含む「特定原付」(特定小型原動機付自転車)扱いになる可能性もあるだろう。図面では後部にナンバープレートが描かれるが、特定原付ならではの10×10cmの小型ナンバープレートがちょうど収まりそうだ。

特許図面のストリップ。シート下にバッテリーを搭載し、ヘッドライト&カバーはステアリングにマウントされている。

ライダー乗車時のサイズ感。車体はコンパクトながら、ハンドルと足にしっかり空間があり、ライポジに違和感がない。
ポケットコンセプトと特許が全く同じになるとは限らないが、この図面を見るからに同様の機構を採用する可能性は高そう。やはりポケットコンセプトとサステナ シーは、現代版の“6輪生活”を意識した2台となるだろう。
市販化などの情報は全くの不明。まずはジャパンモビリティショーで公開される実物を楽しみに待ちたい!

ホンダは2011年の東京モーターショーで電動コンセプト「モーターコンポ」を展示。以前からモトコンポのコンセプトを継いだ車載可能な小型バイクにこだわってきたが、今度こそ復活なるか?
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