
重慶モーターサイクルショーで中国の宗申(ZONSEN、ゾンシェン)が、スポーツバイクのCYCLONEブランドから並列4気筒エンジンを採用した「RC680R」を発表した。こちらもホンダCBR650Rの対抗馬と言われている。
文/写真:Webike+ Hong KongRC680Rはドラレコ+死角検知も搭載
RC680Rは674ccの並列4気筒エンジンを搭載。スペックはまだ発表されていないが、スリッパークラッチを採用しているという。車体もCBR650Rのダイヤモンドフレームに似ているだけでなく、エンジンも公開された写真からCBR650Rを研究して開発されたものだろう。
ストリート志向のスーパースポーツであるCBR650Rと異なるのはスタイルが超本格仕様となっているところで、ウイングレットは片側に2枚装着。リアまわりは片持ちスイングアームに、フロントブレーキはマスターシリンダーとキャリパーともブレンボ製を採用している。
特徴的なのは、前後にカメラを搭載したドライブレコーダーやBSD(死角検知)及びLCA(レーンチェンジアシスト=車線変更支援)を採用していること。BSDがリアカメラなのかレーダーによるものか、またバイクにおけるLCAが具体的にどんな内容かは不明だ。
電子制御は、電子制御スロットルによるアップ&ダウンのクイックシフターを搭載。トラクションコントロールやABSも採用している。エンジンや車体といったハード面だけではなく、制御面に加えガジェット類まで最大限に盛り込まれており、CBR650Rも油断できないだろう。

RC680R [CYCLONE] ZONSENのファンモデルのブランドから新たにデビューしたスーパースポーツ。並列4気筒エンジンを初採用している。詳細なスペックは未発表だ。

エンジンとフレームはCBR650Rを参考に開発したと思われる。対してカウルデザインはインパクト重視で、スーパーカーのような派手さがある。

左がRC680R、右がホンダCBR650R。エンジンは主要3軸を3角形に配置したコンパクト設計で、CBR650Rと同じものに見えるがヘッドカバーなど細部が異なっている。

フロント倒立フォークにブレンボ製ラジアルマウントキャリパーを装着。ダブルディスクブレーキにABSも搭載している。

リアは片持ちサスにブレ―キャリパーはブレンボ製。これはドゥカティやMVアグスタの影響と考えられるだろう。

ウイングレットは片側2枚に加え、アッパーカウルにはCBR650Rに似た形状が残る。スクリーンの下にドライブレコーダーのフロントカメラをセットしている。

テールカウルにもウイングが確認できる。先端にはドライブレコーダーのリアカメラがセットされ、その下にBSDとLCAのマークがある。レーダーが内蔵されているようにも見える。

TFTディスプレイのメーターとスイッチ類はボタンの数が多い。多機能な内容が盛り込まれているようだ。イグニッションボタンからキーレスも採用されているだろう。
価格面では中国勢が有利
カワサキがZX-4Rを7月に中国でリリースする以前は、ホンダのCBR650Rが並列4気筒のスーパースポーツとして人気になっていた。1000ccモデルは現地で500万円前後相当の価格になっており、220万円程相当のCBR650Rは日本の倍とはいえリーズナブルだったと言える。
そこにカワサキがZX-4Rを140万円程相当の価格で発売したことで中国で大ヒットしているが、現地メーカーも並列4気筒スーパースポーツを続々とリリースしている。CYCLONE(サイクロン)のRC680Rは、ZX-4R以前の企画となることからCBR650Rに対抗する一台だ。
他にもQJMOTORが重慶モーターサイクルショーで発表したSRK800RRもCBR650Rの対抗馬と言われており、並列4気筒エンジンを採用し5万2999元(約107万円)。価格面では現地生産の中国勢が有利なので、販売に結び付けば進化がより加速するかも知れない。

CBR650R [HONDA] 国内では107万8000円で発売中。ホンダが中国でラインナップする唯一の4気筒スーパースポーツだが関税の影響で高額になっている。

ZX-4R [KAWASAKI] 国内ではSEが112万2000円で発売中。中国では6万9800元(約141万円)と日本より高額だが、現地では「バーゲンプライス」とされ大ヒットしている。
この記事にいいねする