中国の重慶モーターサイクルショーでQJMOTORが新型のV4クルーザーを発表した。2022年にホンダのVFR800Fが生産終了し日本のV型4気筒が途絶えたばかりだが、今度は中国でV4モデルが新登場した形だ。

90度のV4 600ccエンジンを採用

「閃600」と名付けられたクルーザーは、現代的なボバースタイルに、なんと水冷4ストV型4気筒エンジンを搭載したニューモデルだ。中国では最近になって並列4気筒エンジンのモデルが多数登場しているが、V4エンジンも新開発されており多気筒化が進んでいる。

エンジンはDOHC4バルブを採用。最高出力は68PS/10500rpm、最大トルクは5.5kg-m/8000rpmで、スリッパークラッチも装備されている。エンジン型式は振動面で有利な90度V4なので、スポーツバイクにも転用される可能性もあるだろう。

シャーシは、マルゾッキ製のフロント倒立フォークにラジアルマウント4ポットブレーキキャリパーを採用。リアはベーシックな2本サスだが、ネイキッドに近いスポーティな走りが期待できそうだ。シート高は720mmとエリミネーターよりも15mm低い数値に収めている。

V4のクルーザーと言えば、1982年のホンダVF750マグナに始まり1987年のV45マグナが有名だ。エンジンはスーパースポーツのVF750Fにも展開されたもので、RVF750にも結びついた名機だ。閃600に今後そのような計画があるかは不明だが、新V4マシンの動向に注目だ。

閃600 [QJMOTOR] 水冷スポーツスターSに似たヘッドライトやボバースタイルを採用したV4クルーザー。ティアドロップ型タンクは16Lの容量を確保している。

エンジンは新開発の水冷V型4気筒DOHC600ccとされる。最高出力は68PSと決して高くはないが、コンパクトな外観の90度V4エンジンはスポーツバイクにも転用できそうな印象だ。

右サイドカムチェーンの90度V型4気筒はホンダに似たレイアウト。RVF/RC45系統のエンジンとカバー形状やセル、オイルフィルター、サーモスタットの位置はほぼ同じだ。

フロンフォークはマルゾッキ製。ボバーらしいワイドなフロントタイヤは130/90-16サイズでレブル250と同一。径300mのWディスクで制動力は高そうだ。

メーターは3.6インチTFTカラーディスプレイでスマートフォンとの連携が可能。トラクションコントロールやタイヤ空気圧の表示に加えハンドルスイッチはバックライト式となる。

スラッシュカット状のテールカウルが迫力。スポーツスターSと同様に一人乗り専用と思われる。駆動系はクルーザーらしくベルトドライブだ。

左右2本出しのサイレンサーがV4エンジンを主張。ナンバープレートホルダーはスイングアームマウントされている。

カラーバリエーションは、展示車のブラックの他にマットシルバーも存在している。

ホンダのV45マグナやヤマハのVMAXにコンセプトが近い?

国内では2023年に発売された新型エリミネーターや、ブームの先駆けとなった2017年のレブル250が中心のクルーザーモデル。今回中国で発表された閃600もそれらと同じボバースタイルを採用するが、V4エンジンを採用した中身は往年のモデルを想起させるものだろう。

最も類似しているのは1987年のホンダのV45マグナで、V4エンジンだけでなく4本出しマフラーが特徴。もちろんV4クルーザーといえば1985年のVMAXが最も有名で、145PSを発揮したVブースト付きV4エンジンに世界中から注目が集まった。

V45マグナ(1987年) [HONDA] 750ccのV4エンジンが約45立方インチであることを現わすネーミングのクルーザー。日本でも発売されコアな人気を獲得した。

VMAX(1985年) [YAMAHA] V45マグナのドラッグマシンイメージはVMAXが源流と言えるもの。ベンチャーロイヤルの1198ccのV4エンジンにVブーストを投入して145PSを発揮した。

閃600中国仕様主要諸元

・全長×全幅×全高:2180×820×1115mm
・ホイールベース:1580mm
・シート高:720mm
・車重:219kg
・エンジン:水冷4ストロークV型4気筒 600cc
・最高出力:68PS/10500rpm
・最大トルク:5.5kg-m/8000rpm
・燃料タンク容量:16L
・変速機:─
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=130/90-16、R=180/65-16
・価格:3万5999元(約73万円)

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