ベースの良さを生かすメンテナンスで速さを打ち出す

この車両は1441ccの純正排気量にNOSを組み合わせた340ps仕様で、JD-STER・プロオープンクラスに参戦し2022年ランキング3位となった石森秀樹さんのZX-14R。14Rでのチューニングの参考になる1台で、’22年のベストETは8.742秒(1/4マイル≒402.1m)となっている。ライバルは市販車での関係同様にスズキ・ハヤブサだが、この車両ではどんな手が入っているかをクラスフォーエンジニアリングの横田さんに説明してもらった。

「この車両も320ps出る仕様になっています。ポテンシャルとしては白田さんのハヤブサ(ザ・グッドルッキンページのこちらで紹介!)同等です。排気量は1441cc。ZX-14Rの場合は純正でこの排気量で、純正そのままでも切削加工燃焼室を持ったチューニングヘッドを積んでいます。それで、ノーマルで比べればハヤブサより20psくらいパワーのアドバンテージがあるんです。

その上でこの車両ではピストンをCPキャリロ製、コンロッドもキャリロ製、シリンダースタッドボルトもクロモリ製に換えています。NOS(亜酸化窒素による過給)も使いますから、その出力に耐えつつ、それをよりしっかり伝えるようにしています。この手法はドラッグレースで上のタイムを狙うにはハヤブサでもZX-14Rでも同じです。

クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

ただ、そこから何をするかは工夫していかないといけない。14Rの場合、シリンダーは元々めっきですからボーリングは再めっきが必要で難しい=排気量は上げられないし、バルブは換えられてもアフターマーケットのハイカムはないんです。それに、メンテナンスサイクルも短い。ハヤブサでは2シーズンに1度で大丈夫でも、14Rでは1シーズン1度が必須、できればもう少し短いスパンで行いたい。それにクランクメタルはまめに状態を見ておきたい。

ストリートでのカスタムにも通じるんですけど、14Rではまずエンジンオイル、潤滑系は強化しておきたいんです。このエンジンでもやっていますが、オイルポンプカバー。純正の鋳造ではバーンと回したときにゆがみが出やすい。するとオイルがしっかり回り切れなくなって焼き付く。このカバーを削り出し品に換えれば強くなりますから、ゆがみと漏れを抑えられます。

この車両ではほかにもオイルポンプギヤやオイルリリーフバルブも換えて、クランクケース側にも急加速時のケース内でのオイル偏りを予防するオイルラインをオリジナルで追加しています。

ZX-14Rはノーマルのままでハイチューン、さらにシリンダーヘッドへのアクセスはいいですから、それを生かしたい。突き詰めるには少し手間もかかりますけど」

この車両はポート加工なども行われ、より速さを目指すように手間もかけられる。車体側に関してはハヤブサと同じように軽量化とローダウン、パワーに耐えること、抵抗を減らすことを目的に手が入る。ややドラッグレース特化に振れてはいるが、急加速が多いとか、距離が伸びるという向きには、エンジンまわりの話は参考になるはずだ。この先のタイム、そして手の入れ具合にも注目しておきたい1台でもある。


Detailed Description 詳細説明

クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

フロントカウルは以前は灯火類も備えた純正を使っていたが、現在は純正に近しい形状のドラッグレース用サイドカウル一体成形品に変更している。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

メーターやコクピット、ラジアルポンプの左右マスターシリンダーはZX-14Rの純正だが、ハンドルマウント部にはNOSシステム(左の青)、A/F(空燃比、右の黒)、燃料噴射量(右の赤)の各調整用スイッチを備える。右に見えるコイルコードはライダーにつなぎ、落車時にキルスイッチを作動させる。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

テールカウルもZX-14Rの純正形状をなぞった形のドラッグレース用に変更し、シートスポンジとヒップパッドを追加している。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

エンジンは340ps仕様。燃焼室は純正で切削加工がされているのをそのまま使い、ステンレスバルブやバルブスプリングも純正を使っている。クラスフォーではさらに吸排気ポートを加工し、NOSによる過給の圧力もスムーズに受け止めるようにされている。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

ピストンは純正同径φ84mmのCPキャリロ製でNOS対応のため剛性を確保。コンロッドもキャリロHロッドにし、クランクケースはシリンダースタッドボルトをAPE製クロモリに変更。スタートの急加速時にミッション側にオイルが偏り焼き付き→ブローを予防するオリジナルのオイルライン加工も施す。今ならボーリング+再めっきもできるがコストもかかるので14RにはNOS追加がいいと横田さん。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

フロントフォークはZX-14R純正倒立で、Brock'sラジアルマウント用ローダウンタイダウンで車高を調整する。フロントブレーキまわりは14Rの純正だ。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

リヤブレーキはここでは安全性も鑑みた上で取り外されている。前後ホイールはBrock's BSTカーボンで3.50-17/6.00-17サイズを履く。



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R 必要な加工とオーバーホールの上にチューニング

スイングアームはアメリカのマッキントッシュ製8インチ(約20cm)ロングタイプで、リヤショックはロングホイールベース対応のBrock's製EZショック。これらの足まわり系パーツはハヤブサ用とともにクラスフォーでのドラッグレース用パーツの定番にもなっている。


主なカスタム内容(KAWASAKI ZX-14R)

エンジン
*エンジンカバー類含む
CP CARRILLO φ84mm 鍛造ピストン
CP CARRILLO H断面コンロッド
APE クロモリスタッドボルト
ROARING TOYZ クイッククラッチアクセスカバー
エキゾーストシステム BROCK'S PERFORMANCE エイリアンヘッド 2 フルシステム 14" マフラー ZX-14R(12-23)
フレームスイングアーム McINTOSH MACHINE & FABRICATION アルミプロスイングアーム
ホイール周り
フロント
BST ダイヤモンドテック 3.50-17
ホイール周り
リア
BST ダイヤモンドテック 6.00-17
サスペンション
フロントフォーク
BROCK'S PERFORMANCE フロントエンドロワリングストラップ
サスペンション
リアショック
BROCK'S PERFORMANCE EZリヤショック
ドライブシステム駆動系
*スプロケット、カバー含む
EK 530ZVX3ドライブチェーン
VORTEX RACING 840 リヤスプロケット 44T
外装 CATALYST KAWASAKI ZX14 12'+ SUPERSPORT UPPER(フロントカウル)
CATALYST KAWASAKI ZX14 12'+ STOCK STYLE TAILS(シートカウル)



クラスフォーエンジニアリング ZX-14R(KAWASAKI ZX-14R)
取材協力:クラスフォーエンジニアリング TEL044-989-4740 〒215-0027川崎市麻生区岡上2-17-17
URL:http://www.class4.co.jp
2023年 4月 21日




情報提供元 [ ヘリテイジ&レジェンズ ]

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