
カワサキは、7月半ばに原付2種と思われる電動Ninjaと電動Zのプロトタイプを国内で展示したばかりだが、さらに2024年以降に向けて電動の中大型モデルを開発していると予想される。そうすると期待したいのが、2013年に発表された「J」の進化版。ジャパンモビリティショー(東京モーターショー)でぜひ見たい!
「J」の発表から10年、機は熟した!?
カワサキは、2022年11月のミラノショーでカーボンニュートラル(CN)達成に向けて、電動バイク、ハイブリッドバイク、水素燃料バイクの3種類の開発構想を明らかにした。電動とハイブリッドについては、プロトタイプを展示しそれぞれ2023年、2024年に発売することもアナウンスしていた。
一方、水素バイクについては2030年の実用化を目指すとしており、直近の事業計画で発表された「2025年までに10機種以上導入予定」としているCNモデルが一体どうなるのかは不明のままだ。そこで、ウワサになっているのが中大型EVの構想だ。
現在のところ考えられる方向性は2つ。まずは、2013年11月の東京モーターショーで展示された3輪バイクの「J」。まるで『アキラ』に登場したバイクのような未来感が大いに話題になったコンセプトモデルで、電動だけでなく可変ライディングポジションが特徴だった。
「J」は、2017年の東京モーターショーでもブランド動画に登場するなど未来のカワサキを象徴するコンセプト。2013年の初展示から10年を経て2023年のジャパンモビリティショーでは現実味のあるモデルとして「新J」が提案されてもおかしくないだろう。

3輪電動ビークル「J」(2013年) [KAWASAKI] 4輪のように見えるがカワサキによると3輪。電源は高速充放電が可能な大容量ニッケル水素電池「GIGACELL(ギガセル)」を使用している。

「J」は可変ポジションを採用しており、スポーツモードではマシンと一体となったスポーツライディングが楽しめる。

コンフォートモードは街乗りに適したリラックスしたライディングポジションを実現する。2017年TMSでは「AIを搭載したコネクテッドモーターサイクル」と発表された。

ZZR-X(2003年) [KAWASAKI] 「J」に遡ること10年。ZZ-Xはハイスピードツアラーモードとツアラーモード、スポーツモードの可変ポジションを提案していた。
もうひとつの可能性、ギア付きのEVも期待!
カワサキの電動バイクでもう1台提案されていたのがEVプロジェクトだ。2019年11月のミラノショーで初公開されたNinja 250の外装を纏ったスーパースポーツで、10kWの定格出力を発揮。そして、EVにあえて4速ミッションを搭載していたのが特徴だった。
カワサキは、EVであっても「Rideology(ライディオロジー)」という設計思想に沿ってバイクを開発しており、こだわりの一つである「操ることを悦びにする」を具現化した結果、ミッション搭載のEVが生み出されたのだ。
このEVプロジェクトも市販に向けて開発中とウワサされていたので、「2025年までに10機種以上を導入予定」とするCNモデルに含まれている可能性がある。実際、カワサキは2021年10月の事業説明会にEVプロジェクトの現車を展示しており、これを“予告”と受け取ることも可能だ。
2023年10月に開催されるジャパンモビリティショーは、自動車業界だけでなく幅広い業種を募って未来のモビリティを提案するショーに「東京モーターショー」がリニューアルするもの。ここにカワサキがどのような未来志向のバイクを提案してくれるのか楽しみだ。

EVプロジェクト(2019年~) [KAWASAKI] 2021年10月にカワサキが国内で初公開したEV研究車。加速時には20kW(27.2PS)相当のパワーを発揮するとされたので、250ccクラスに近い。

エンジン車由来の4速リターン式ミッションを装備し、柔軟性の高いトルク伝達を目指した。その結果、ライディオロジーに沿った優れたライダーフィーリングを実現したという。

専用フレームにバッテリーを搭載し、100~240V家庭用電源やCHAdeMO規格の急速充電システムで充電する。車重は219kg、航続距離は100kmとされた。

2022年11月のミラノショーで勢ぞろいした電動、ハイブリッド、水素という動力源。まずは、電動/ハイブリッドモデルから拡充し「2025年までに10機種」を実現するだろう。

カワサキはCNモデルに独自のマークをを制定した。サステナブル、ディベロップメント、ファンを実現するという想いが込められている。このマークをつけた次なるモデルが期待される。
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