
ヤマハが欧州で展開しているGenuine Yamaha Technology Racing(GYTR=ジェニュインヤマハテクノジーレーシング)に、YZF-R1の25周年を祝う特別仕様車が発表された。25台限定で注文を受け付けている。
SBKで活躍するレーサーの技術をフィードバック
R1GYTRプロ25周年車は、SBKマシンの開発を担当したヤマハモーターR&Dヨーロッパ (YMRE)で設計された低重心燃料タンクやマニエッティマレリ製ECU、これら対応するように設計された軽量のカーボン製リアフレームといったGYTRプロパフォーマンスパーツが装着されている。
足まわりは、オーリンズ製FGRフロントフォークとTTXリアサスペンションを採用し、リアはニューマチックプリロードアジャスターでヤマハのレーサーと同等のサスペンション調整が可能となる。スイングアームはSBKレース用と同じ低重心タイプが装着されている。
さらに、ブレンボ製のブレーキにカーボンファイバーのカウルで軽量化され、電子制御はGYTRプロエレクトリックシステムでサーキット走行に最適化。開発にはSBKライダーのトプラク・ラズガットリオグル選手らが関与しており、同仕様はV・ロッシ氏にも贈呈されたものだ。
R1GYTRプロ25周年車を購入した25名のオーナーは、ヤマハのエンジニアとともにサーキットで1日を過ごし、それぞれの好みに合わせてバイクのセッティングもしてもらえるようだ。まるでワークスライダーのような経験もできる特別な記念車だ。

R1 GYTR PRO 25th Anniversary [YAMAHA] 車体、足まわり、外装、コンピュータに至るまで最新かつ最高峰のレースパーツで固められた究極のR1。同車の25周年に相応しい一台だ。

コックピットも完全にレーサー仕様。メーターもGYTRプロパーツに変更されている。

オーリンズ製の機械式フロントフォークやブレンボ製ラジアルマウントキャリパー、マルケジーニ製ホイールなどに変更されている。

スイングアームはSBKレーサーと同じ下側に補強の入ったスイングアームを採用している。

シートレールはカーボンファイバー製に換装して軽量化されている。

リアのオーリンズTTXサスペンションはニューマチックプリロードアジャスターを採用している。

マフラーはアクラポビッチ製を装着。
初代YZF-R1はスーパースポーツの革命児だった
1985年のFZ750から10年を経て、ヤマハは次世代のスーパースポーツの開発を志した。最大パワー、最小重量、最高のコンパクト性という3つの明確な目標を掲げ、600cc並みの乾燥重量177kgという軽量ボディに150PSの998cc水冷DOHC4気筒5バルブエンジンを搭載した。
新しいエンジンのシリンダーとクランクケースは一体になっており重量を軽減。クランクシャフト、カウンターシャフト、ドライブシャフトの主要3軸を3角形に配置した革新的レイアウトで従来のサンダーエースより3cm短く、4cm狭くコンパクト化を果たしたのだ。
このコンパクトなエンジンにより、初代YZF-R1は1395mmのショートホイールベース化を果たしつつ、GPマシンのセオリーを反映させたロングリアアームを実現。優れたロードホールディングと安定したグリップを発揮した。

YZF-R1(1998年) [YAMAHA] CBR900RRの牙城だったスーパースポーツにパワーウエイトレシオ「1.18」のスペックと異次元の運動性で革新をもたらした記念碑的モデル。

エンジンの主要3軸を従来の水平配置から3角形配置にすることでコンパクト化を果たし、ショートホイールベースとロングスイングアームを実現。現在でも受け継がれる設計思想だ。

3軸3角形配置によりシフトシャフトが上方に設置されたエンジン。エンジンはダイヤモンド式のフレームに吊り下げられ、剛性部材としても活用された。
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