
7月12~13日、カワサキZX-4R/ZX-4RRの試乗会が開催された。そこには開発陣も参加しており、インタビューする機会に恵まれたので気になる質問を投げてみた。
ZX-25Rの開発時からZX-4Rの構想はありました
ZX-25Rを開発している時から400cc化の構想はありました。具体的に動き始めたのはZX-25 Rが発売されて、250ccの4気筒が受け入れられそうだなという手応えをつかんできてから400ccも本格的に始めようか、という話になりました。
開発陣としては400ccもやりたいと、ずっと念頭において開発してきましたが、ある程度の需要が見込めないと企画が難しかったですね。ですので、ZX-25Rの結果とNinja 400がよく受け入れられていて、市場が活性化していることが後押しになりました。
また、Ninja 400という2気筒のモデルが主力として存在していたので、400ccの市場はNinja 400に注力していたというのがあります。少し時間が経過して400ccの市場に新しい機種を投入しようということになりました。ZX-25Rから遅れて発売されたのは、戦略上の時間軸も影響していますね。(ZX-4R/ZX-4RR開発責任者・成岡翔平氏)

ZX-4R/ZX-4RR開発責任者の成岡翔平氏はZX-25Rの開発にも携わった人物だ。

ZX-25R SE [KAWASAKI] 2020年に発売された250ccの4気筒モデル。ホーネットやバリオスIIが絶版になって10年以上経ってから発売されて驚きとともに大いに話題になった。

ZX-4RR [KAWASAKI] フレームはZX-25Rと同一。エンジンはミッションとクランクケース(一部加工が異なる)も共通。ZX-25Rがオーバースペックの豪華装備だったようだ。
エンジンパワーには余力があります
前回のZXR400から30年以上経過していますので、その59PSを基準にすると大幅なパワーアップに見えると思います。例えばZX-10Rですと少しずつパワーアップしていますので、いきなり飛んで77PSが出たように見えると思いますが無理なく出ています。
ZX-4Rは元々アジア市場を目指して開発したものではありますが、意外にアメリカ市場でも好評です。アンダーパワーで物足りないという話になるかと思ったのですが、「十分これで面白い」と楽しんでもらっています。
現状ZX-4Rのレースベース車は考えていませんが、出したらどのくらいパワーに伸びしろがあるのか楽しみではありますね。(ZX-4R/ZX-4RR開発責任者・成岡翔平氏)

ZXR400R(1989年) [KAWASAKI] レーサーレプリカブームから一歩引いていたカワサキが投入した400レプリカ。当時は馬力規制があり59PSだった。全日本でもタイトルを獲得した。
新開発の400cc4気筒エンジンでバリエーションモデルも展開したい
せっかく新開発のエンジンを起こしましたので、ZX-4Rの受けが良ければ、違うバリエーションを作っていきたいなと思います。どんなモデルを出すかは市場の動向を見ながらということになりますね。
もちろん、日本市場だけでは難しいものがあります。ZX-4Rも日本だけでは開発できなかったのですが、世界で400ccのマーケットが広がっていることがプラスになりました。他の国からもどういうモデルが欲しいかをヒアリングしながら考えていく流れですね。
少し前まで400ccは海外では積極的には出していなくてほぼ日本専用でした。それが250ccが受け入れられて、それでももう少しパワーが欲しいというお客様もいらっしゃったので、600ccまでいくとちょっと行き過ぎという層を狙う入門モデルとして海外では評価されています。今では400ccは海外でも受け入れられていますね。(ZX-4R/ZX-4RR開発責任者・成岡翔平氏)

ELIMINATOR [KAWASAKI] Ninja 400のエンジンを使って登場したバリエーションモデル。他にもネイキッドのZ400もあるが、ZX-4Rではどんな展開が見られるだろうか?

XANTHUS(1992年) [KAWASAKI] ZXR400のバリエーションモデル。ゼファーやZRX系とは異なるパフォーマンス重視のネイキッドで現在のストリートファイターの走りだった。
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