
レプリカ時代を懐かしむのも大変結構なこと。あれだけの開発競争が起き、驚愕のハイスペックと狂乱の販売台数を記録したバイクブームは日本史に残るべきムーブメントだ。
しかしあれは一つの狂気だった。ゼファーはある意味、バイク界の正常化を果たしたのだった。
やりすぎたレプリカに対する、次の提案
80年代の後半にかけて、WGPの盛り上がりに合わせるように各メーカーからはレースシーンを強く意識した各種モデルが矢継ぎ早にリリースされていた。レースで勝てるバイクを出せば売れる。レースに勝てばまた売れる。
「速さ」という尺度が絶対で、高め合っていった各メーカーは小排気量スポーツを極めていくことになるのだが、それがピークを迎える前に既に一般ライダーはそのムーブメントについていけなくなっていたのだろう。
過ぎるパフォーマンスと、400ccクラスで70万円に届きつつあった価格。一部の極スポーツ愛好家以外は、本心ではもう食傷気味だったのだ。
そこに登場したのが「ネイキッド」というカテゴリーである。いわゆる「普通の」オートバイだ。SRのようなテイスティシングルでもなく、実用車でもなく、かつてのZやCBのような、普通の人が普通に日常でも使え、ツーリングユースなどにも懐深く応える普通のバイク。
ホンダからはCB-1、スズキからはバンディット、そしてカワサキからはゼファーが、それぞれ同じ頃に投入され、レプリカ時代は急速にネイキッド時代へと移り変わっていくのだった。
情報提供元 [ Bike Life Lab ]
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