ホンダが2002年に発売したバイト(Bite)は、若手研究者で構成された開発チーム「Nプロジェクト」第3弾となるモデル。ズーマーに続いてリリースされたバイトは、スリムさを追求した。

ズークの再来を思わせたシンプルさが魅力

Nプロジェクトは、1990年代中頃から目立つようになったバイクをファッションアイテムとして生活に取り込む若者向けモデルを開発するために結成された。2001年にエイプとズーマーでヒットを記録し、2002年に第3弾としてバイトが発売された。

Biteは英語で、刺激する、夢中にさせるという意味から「若者のライフスタイルを刺激する便利なツール」をイメージして命名された。BMX風のメッキハンドルとシートでまるで自転車のようなシンプルさとファッション性を追求したスタイルが特徴だ。

サドル型シートは自転車と同様に支柱部分が上下し、シート高を7段階110mmの範囲で可変できるようにしていた。「低めのポジションでローライダー気分、高めのポジションでは視線も高いキリンの気分」が味わえると、当時のカタログでアピールしていた。

バイトのコンセプトは「スケボー感覚モビリティ」で、1990年にスケートボードをイメージさせるフロアステップボードで発売されたズークの再来とも言える。高さ可変のサドル型シートもズークもズークから受け継いだもので、ともに短命に終わった幻の名車だ。

Bite(2002年) [HONDA] 当時採用され始めた4ストロークエンジンを搭載して個性的なスタイルで発売されたバイト。ロングセラーのズーマーと対照的に2003年型で生産終了した。

レバーで固定を解除し赤いノブを引っ張ることでシートの高さを変更できる。停車中には椅子のようにして仲間とのコミュニケーションがとれるように意図された装備だった。

BMX風メッキハンドルの補強部にメーターをセット。左レバーで前後ブレーキが制動できるコンピブレーキを装備。フロントカバーを最小限にしたスタイルもズークに似ている。

ZOOK(1990年) [HONDA] 所ジョージさんの「今、出たトコロ! ヘンテコリンは、気持ちいい。」というキャッチフレーズでデビュー。メットオンシートもユニークだった。

バイト主要諸元

・全長×全幅×全高:1715×665×1050mm
・ホイールベース:1190mm
・シート高:730mm~840mm
・車重:72kg
・エンジン:空冷4ストローク単気筒 49cc
・最高出力:4.9PS/8000rpm
・最大トルク:0.46kg-m/7000rpm
・燃料タンク容量:5L
・変速機:無段変速機(Vマチック)
・ブレーキ:F=ドラム、R=ドラム
・タイヤ:F=90/90-10、R=90/90-10
・当時価格:17万9000円(税抜)

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