
文/Webikeスタッフ:アキヒト
目次
【ホンダ CBR650R】
ディテール&試乗インプレッション
2019年に前身となるCBR650Fのフルモデルチェンジで登場したCBR650R。エンジンを中心にCBR650Fをベースにしていますが、CBR1000RR(SC77)寄りのデザインや倒立フォークをはじめとする足回り、電子制御の搭載など、別モデルともいえるほどに生まれ変わっています。もちろんデザインや装備だけでなく、「R」になって走りもよりスポーティに。
今回は発売から順調に人気を伸ばしているCBR650Rの試乗インプレをお届けします!
「R」になってデザインも走りもスポーティに






【全長/全幅/全高】
2,130mm/750mm/1,150mm
【車両重量】
207kg
メインフレームには大きな変更を加えずにデザインを大幅に変更。CBRシリーズらしいアグレッシブな2眼ヘッドライトをはじめ、足回りには倒立式フロントフォークとラジアルマウントキャリパー。ハンドルもトップブリッジ下部にマウントするなど、これまでのツアラーモデルのようなスタイルからスーパースポーツモデル顔負けのスタイルへと生まれ変わりました。特徴的なレイアウトのエキゾーストパイプも、隠すことなくアンダーカウルの隙間から覗かせます。
デザインだけでなく、ヘッドライト下部には新たにスーパースポーツモデルで採用されているラムエアダクトを設けることで、高速域での鋭い加速に寄与しています。
各部のパーツを見直したことで、従来モデルよりも約6kgの減量にも成功。アグレッシブなデザイン、スーパースポーツモデル顔負けの走行性能、軽量な車体と、「R」になってよりスポーティになりました。
足つき・ポジション
【シート高】
810mm
【足つき】
大型スポーツモデルの中では比較的低めのシートにより、4気筒エンジンによる車体の幅も気にならないくらい足つきは良いです。161cmのスタッフでも片足であればベタ足で支えることができました。ハンドルの位置がトップブリッジ下部にマウントされたことで、上半身は以前よりも前傾となり車体との一体感が増しています。


試乗インプレ
他社の同排気量モデルは2気筒エンジンが多いですが、CBR650Rは唯一の4気筒エンジンとなります。他社の2気筒モデルはどれも低速域で扱いやすく、「ストリートでちょうどいい大型バイク」という印象でしたが、一般的に低速域が苦手と言われる4気筒エンジンを搭載したCBR650Rもこれらに引けを取らないほどストリートで扱いやすいバイクでした。街中では3,000~4,000rpmぐらいでストレス無く走れる低中速トルクをもちつつも、スロットルをしっかりと開けていけばレッドゾーン付近まで気持ちよく伸びていきます。スーパースポーツモデルと比較すると100PSに満たないパワーは物足りなく見えるかもしれませんが、過激さが少ない分スロットルを開けていけるので、ストリートやワインディングの中でも大型バイクを操っている感覚を楽しめます。
エンジンだけでなく、フロント周りの変更がスポーティな走りに大きく寄与しています。足回りの倒立フォーク化をはじめ、ブレーキもこれまでの片押し2ピストンキャリパーからラジアルマウントタイプの4ピストンキャリパーに変更となり、足回りの剛性と共に制動力とコントロール性も大幅にアップ。このクラス帯にしては重たい200kgを超える車重ですが、しっかりとした足回りでハンドリングやブレーキングも車体の重さを感じさせませんでした。
電子制御ではABSとトラクションコントロールが搭載されていますが、どちらも介入度の設定が無いので。常に効かして走るというよりもしもの時の備えくらいに思っておくのが良いでしょう。実際街中ではトラクションコントロールが効いた機会はありませんでしたが、サーキット走行でリアがスライドした際にはメーター上のインジケーターでトラクションコントロールの作動を確認できました。他にも純正オプションになりますがクイックシフターとアシストスリッパークラッチにより、シフトチェンジが楽なだけでなく疲労も軽減されています。
今回のモデルチェンジでほとんど別物と言えるほどに生まれ変わっていますが、ストリートでも気負うことなく4気筒エンジンの高回転サウンドが楽しめるのことは変わっていません。
ディティール紹介 灯火器&メーター
【灯火類】


ウィンカーを含め、全ての灯火類にはLEDを採用。ヘッドライトのデザインも大きく変わり、従来の単眼タイプから2眼タイプに変更となりました。ヘッドライト下にはラムエアダクトに空気を送り込むエアインテークが設置されています。


テールライト周辺は兄弟車となるCB650Rと共通のデザインとなります。急ブレーキ時には、ハザードランプを高速点滅することで後続車へ急ブレーキを伝える「エマージェンシーストップシグナル」も搭載。
【メーター】
新設計のフルデジタルメーターは、軽量化にも寄与しています。スピードやタコメーター、ODOトリップの他に、シフトインジケーター、水温系、時計、シフトアップインジケーターも搭載。
ディティール紹介 走行性能
【エンジン】


エンジン形式:648cm3水冷DOHC直列4気筒
最高出力:70kW[95PS]/12,000rpm
最大トルク:64N・m[6.5kgf・m]/8,500rpm
ホンダの4気筒で近い排気量帯だとCBR600RRがレーシーなのに対し、このCBR650Rはストリートがメインと割り切っていてエンジン特性も全く異なります。パワーよりも扱いやすさを重視したエンジンは、3,000rpmぐらいからのレスポンスが良く、4気筒エンジンにありがちな低速時にギクシャクして乗りにくいというようなこともありません。扱いやすさ重視とはいえ、吸気効率の見直しやラムエアの搭載により従来モデルよりも5PSもパワーアップしているので、高回転ではスポーツモデルらしい力強い走りも楽しめます。
クラッチには小排気量モデルでも普及しつつあるアシストスリッパ-クラッチを採用。クラッチレバーの操作を軽くすると共に、シフトダウンによる急激なエンジンブレーキを軽減することで、トータルでの扱いやすさを向上させています。
【電子制御】
▲純正オプションのクイックシフター
電子制御ではABSの他に新たにトラクションコントロールを搭載。設定はON/OFFの2段階だけとなりますが、前後輪の速度差からリアタイヤのスリップを検知し、燃料噴射量を調整することでスリップを緩和させます。スーパースポーツモデルのような速く走るためというよりも、もしもの時の補助ぐらいに捉えておくのが良いでしょう。他にも純正オプションとなりますが、クイックシフターも使用可能となります。こちらはシフトアップのみですが、街中でも気持ち良いシフトアップとクラッチ操作による疲労の軽減にもなります。
【ハンドル】


ハンドルスイッチはホンダ製のオーソドックスデザインとなります。トラクションコントロールのON/OFFの切り替えは、左スイッチボックスの前方にあるスイッチで行います。
【ブレーキ】


フロントは310mmのディスクブレーキと、新たにラジアルマウントタイプの4ピストンキャリパーを搭載。これまでの片押し2ピストンタイプよりも制動力、コントロール性共に向上しています。リアは240mmのシングルディスク1ポッドキャリパーを採用。また、前後にはABSも標準装備となります。
【サスペンション】


フロントには新たに倒立タイプのフロントフォークを採用。調整機構は搭載していないものの、バネ下重量の低減と剛性の向上に寄与しています。リアサスペンションにはリンクレスのモノショックを採用しています。
【ホイール&タイヤ】


フロントサイズ:120/70ZR17 M/C (58W)
リアサイズ:180/55ZR17 M/C (73W)
新出材のアルミホイールは、5本のY字型スポークデザインを採用することで軽量化に貢献。従来モデルよりも前後合わせて約1kgの軽量化が行われています。
ディティール紹介 ユーティリティ
【タンク】


タンク容量:15L
タンク容量はデザインの変更に併せて従来モデルの17Lから2Lダウンの15Lになります。
【シート】


従来までの一体型シートから、タンデムシートが別体式のレイアウトに変更。シートのレイアウトは兄弟車のCB650Rと共通になります。スーパースポーツモデルのようなシャープなテール周りではないので、シートバッグなどの取り付けも容易に思われます。シート下スペースは車載工具と書類が入っており、ETCが入ったら他にスペースは無さそうです。
気になる販売価格
メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
グランプリレッド:1,089,000円
マットバリスティックブラックメタリック:1,056,000円
※2020年10月現在
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まとめ
新型CBR650Rはデザインだけでなく走りも十分に満足できる1台です。ストリートでの扱いやすさだけでなく、ワインディングでも申し分ないコーナリング性能を持ち合わせていて、トータルバランスは今年乗ったバイクの中で個人的にナンバー1かもしれないバイクでした。サーキットはメインじゃないけど、ツアラーよりもスポーツ寄りの走りを楽しみたい。それでいてストリートではマイルドで低速域も扱いやすい。そんなライダーのワガママを叶えたようなバイクに思います。初めての大型バイクでフルカウルスポーツバイクに乗りたいというライダーにも扱いやすくてオススメできる1台ですね!
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