大阪モーターサイクルショーにて発表された、カワサキ発の新型ミドルクルーザー「エリミネーター」。そのネーミングはかつて同社がラインナップしていた、マッシブなストリートドラッガーのシリーズを引き継いだものだ。果たして、新型エリミネーターは旧型の雰囲気を残すマシンなのか? それとも、まったく新しい世界観を持つマシンなのか? 旧型を知るオーナーにとっては気になるポイントだろう。

そんな新型エリミネーターのメディア向け試乗会が開催された。(旧)エリミネーター250を普段から愛用している私はさっそく参加、そのフィーリングを比べてみることにした!

旧型からキャラクターを引き継いだ新エリミネーター

そもそもエリミネーターシリーズとは、1985年に発売された「エリミネーター900 / 750」をスタートとして各排気量に展開したシリーズだ。どのモデルもスタイリングはロー&ロングなボディと低いシート高を持ち、クルーザー然としたシルエットをもつ。しかし、共通しているのは当時の現役スポーツモデルのエンジンを搭載していたこと。400cc以上のモデルでは「GPZ」シリーズをベースとした水冷並列4気筒エンジンを採用し、ドラッグレーサーイメージの「ドラッガー」としてコアな人気を博した。

今回登場した新型エリミネーターは400ccで、系統としては過去の「エリミネーター400」に相当するモデル。搭載するエンジンは並列2気筒となったが、「Ninja400」のエンジンをそのまま採用している。この「スポーツモデルのエンジンを積んだクルーザースタイル」というコンセプトは、今も昔も変わっていない。すなわち、ドラッガーマシンとしての魅力もそのまま……ということになる。

 

4/25に発売されたばかりの新型エリミネーター。スタンダードモデルに加え、ブラックアウトされたボディとミニカウル、ドライブレコーダー等の上位装備を備えるエリミネーターSEもラインナップされている。

4/25に発売されたばかりの新型エリミネーター。スタンダードモデルに加え、ブラックアウトされたボディとミニカウル、ドライブレコーダー等の上位装備を備えるエリミネーターSEもラインナップされている。

 

 

新型エリミネーターに搭載されるエンジンはNinja400と同様の水冷並列2気筒DOHC。出力は35kW(48PS)/10000rpmと、クルーザー的外見を裏切る高回転でパワーを発揮するビュンビュン系だ。

新型エリミネーターに搭載されるエンジンはNinja400と同様の水冷並列2気筒DOHC。出力は35kW(48PS)/10000rpmと、クルーザー的外見を裏切る高回転でパワーを発揮するビュンビュン系だ。

 

レトロな丸形ヘッドライトだが、灯火類はフルLED化されており光量は充分。レトロスタイルなカウルは「SE」仕様のみの採用で、メーターのみ露出するミニサイズだ。デザインは旧シリーズ「SE」をイメージしたもの。

レトロな丸形ヘッドライトだが、灯火類はフルLED化されており光量は充分。レトロスタイルなカウルは「SE」仕様のみの採用で、メーターのみ露出するミニサイズだ。デザインは旧シリーズ「SE」をイメージしたもの。

 

横長のテールランプは旧エリミネーターシリーズにも共通するフォルム。また、テールカウルとサイドバーのデザインも旧シリーズに似ている。このあたりは旧シリーズファンにとっても嬉しい。

横長のテールランプは旧エリミネーターシリーズにも共通するフォルム。また、テールカウルとサイドバーのデザインも旧シリーズに似ている。このあたりは旧シリーズファンにとっても嬉しい。

 

シート高は735mmと、スポーツモデルとしてみれば非常に低いが、クルーザーの中ではけして低くはない数値。これはエリミネーターがクルージングだけでなく、アグレッシブなスポーツ走行にも適応するため。SEにはディンプル付きの滑りづらいレザーが採用されている。

シート高は735mmと、スポーツモデルとしてみれば非常に低いが、クルーザーの中ではけして低くはない数値。これはエリミネーターがクルージングだけでなく、アグレッシブなスポーツ走行にも適応するため。SEにはディンプル付きの滑りづらいレザーが採用されている。

 

旧エリミネーターシリーズの中で、新型と同様に並列2気筒エンジンを搭載するのは250ccの「エリミネーター250」だ。こちらのエンジンはGPZ250Rベースで、水冷のハイポテンシャルな高回転エンジンを搭載。スタンダードモデルはクルーザー的キャラクターが強く、メーターはスピードメーターのみ、メッキパーツを多用するといった外観だったが、のちにスポーツ色を強めた「エリミネーター250SE」、スポークホイールとしてクルーザー色を高めた「エリミネーター250LX」が登場した。

新旧モデルを並べてみると、フレームやタンクといった大きなパーツの形状はまったく違うのだが、ロー&ロングなボディにパワフルなエンジンの印象は同じ。ティアドロップ型のタンクを搭載しフラットな旧エリミネーターは空冷Z系のロードスターなデザイン、盛り上がったタンクの新エリミは前傾気味で、水冷Z系の「SUGOMI」デザインに似る……なんて感想はちょっと穿ちすぎだろうか?

 

エリミネーター250は1987年発売。GPZシリーズ譲りのハイパワーエンジンを積みながら、シート高が低く軽量という特徴から人気を博し、バリエーションモデルも生まれた。1996年販売を終了。

エリミネーター250は1987年発売。GPZシリーズ譲りのハイパワーエンジンを積みながら、シート高が低く軽量という特徴から人気を博し、バリエーションモデルも生まれた。1996年販売を終了。

 

気になる走行性能は意外なほど似ている! しかし新型の安心感は特筆もの

エリミネーター250が発売されたのは1987年。当然キャブレター仕様で、パーツにもスチール製が多い……発売から35年以上が経過した今、すっかり旧車となったモデルだ。それでも軽量(154kg)な車重にツインのパワフルなエンジンからくる走行性能は、現代水準でもパワー不足という感じはないし、トルクフルでワインディングの立ち上がりも快適。ホイールベースの長いボディはけしてグイグイ曲がるわけではないが、重心が低いためかコーナリング中でも安定感があり、車体をコントロールする楽しさがある。

そんな魅力が果たして新エリミネーターにもあるのだろうか……? という疑問を抱きながら試乗を始めた。まず驚いたのは車体の軽さだ。新エリミネーターの重量は176kgで、旧型よりも20kg以上重い(排気量も違うので当たり前だが)。それなのに、旧型よりも軽々としたハンドリングとなっている。これは重心の設計が洗練されていることにあるのだろうが、このため重いバイクに乗っているという印象はまったくなく、拍子抜けするほど簡単に走り出せてしまった。

 

旧エリミネーターはその独特の走行フィーリングが楽しいモデルだ。新モデルのコンセプト、デザインはともかく、走って楽しい魅力はあるのだろうか……? というのが旧型オーナーとしての疑問だった。旧車に乗るオーナーにとっては、新車を見るたび抱える疑問だろう。

旧エリミネーターはその独特の走行フィーリングが楽しいモデルだ。新モデルのコンセプト、デザインはともかく、走って楽しい魅力はあるのだろうか……? というのが旧型オーナーとしての疑問だった。旧車に乗るオーナーにとっては、新車を見るたび抱える疑問だろう。

 

新エリミネーターは車重も重く、車体サイズも大きくなっている。しかし跨っても走ってみても、どこにも「大きなバイクを運転している」という気負いがなかった。しかし直線ではどっしりと安定しており、クルージング性能の高さを感じる。

新エリミネーターは車重も重く、車体サイズも大きくなっている。しかし跨っても走ってみても、どこにも「大きなバイクを運転している」という気負いがなかった。しかし直線ではどっしりと安定しており、クルージング性能の高さを感じる。

 

コーナリングでもまた驚いた。バンクの具合やハンドルの操作感、立ち上がりといった様々な要素は旧型にとてもよく似ている。それでいて、それらの中で感じていた神経質な車体の不安定さやコントロールの難しさはまったく払拭されており、もうシンプルに「旧エリミネーターの嫌なところを全部なくした」素晴らしい性能を見せてくれた。

 

エンジンはツインらしく、トルクが沸き上がってくる立ち上がりのよさを感じるが、キャブレター仕様の旧型で言われていた「2段ロケット」的なピーキーさはなく、なめらかでひたすら力強い。

エンジンはツインらしく、トルクが沸き上がってくる立ち上がりのよさを感じるが、キャブレター仕様の旧型で言われていた「2段ロケット」的なピーキーさはなく、なめらかでひたすら力強い。

 

もちろん、旧エリミネーターにも新型にはない魅力はある。粗削りなエンジンのフィーリングや、スチールパーツの重厚感は旧型に軍配を上げたい。しかしどちらがより安心して、ビギナーでも運転を気楽に楽しめるのか……といえば、もちろん新型の勝利。

もちろん、旧エリミネーターにも新型にはない魅力はある。粗削りなエンジンのフィーリングや、スチールパーツの重厚感は旧型に軍配を上げたい。しかしどちらがより安心して、ビギナーでも運転を気楽に楽しめるのか……といえば、もちろん新型の勝利。

旧エリミネーターと新エリミネーターは、開発にかかわる時代も技術もまったく異なるものだ。並べて良し悪しを語るべきものではないが、こうして乗り比べてみることで、同じコンセプトのマシンに35年の技術の蓄積を投入するとどうなるか……ということを肌身で感じることができた。新エリミネーターは、現代に蘇った進化したエリミネーターシリーズの末裔であることに間違いはなかった。

エリミネーター/SE主要諸元

・全長×全幅×全高:2250×785×1100/1140mm
・ホイールベース:1520mm
・シート高:735mm
・車重:176/178kg
・エンジン:水冷4ストローク並列2筒DOHC4バルブ 398cc
・最高出力:48PS/10000rpm
・最大トルク:3.8kg-m/8000rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=130/70-18、R=150/80-16
・価格:75万9000円/85万8000円

情報提供元 [ カワサキモータース ]

この記事にいいねする


コメントを残す

カワサキ エリミネーター400(2023-)の価格情報

カワサキ エリミネーター400(2023-)

カワサキ エリミネーター400(2023-)

新車 26

価格種別

中古車 0

本体

価格帯 71.6~85.8万円

77.59万円

諸費用

価格帯 6.1~9.06万円

6.06万円

本体価格

諸費用

本体

万円

価格帯 ―万円

諸費用

万円

価格帯 ―万円


乗り出し価格

価格帯 77.7~94.86万円

83.66万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

万円

価格帯 ―万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

【PR】カワサキ エリミネーター400(2023-) 関連のおすすめ車両 関連のおすすめ車両