新型ZZRの開発で最初に決められたのは史上最大1352ccの排気量だった
新型ZZRを開発するにあたって、最初に決定されたのがエンジンの排気量だった。1164ccだったZZ-R1200の後継であると同時に、ライバルの動向まで見越して選ばれたのは、カワサキスポーツモデル史上最大の1352cc。まさに最大にして最強を目指したのだ。
エンジンパワーは、クラス最高の190ps/9500rpm(ラムエア加圧時には200ps)を発揮し、さらに2000rpmで10kg-mほどのトルクをマークするセッティングとしている。加速性能では、0-400m加速でカワサキ歴代最高のパフォーマンスを実現した。
新設計の並列4気筒エンジンは、クランクシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフトの3軸を3角配置としたコンパクトな設計。エンジン全幅は、排気量を約150ccも拡大したにもかかわらず、ZX-12Rと同等に収めている。
さらに、エンジンに2軸2次バランサーを採用し振動を軽減。ZX-12Rが1軸バランサーでフレームへのエンジンマウントの一部をラバーマウントにしていたのに対し、エンジン本体の振動の減少によってリジッドマウントにできたことで、フレーム剛性が向上した。

並列4気筒エンジンは完全新設計とし幅はZX-12Rとほぼ同等に抑えられている。鍛造素材削り出しのカムシャフト、鍛造ピストン、浸炭コンロッドを採用し、優れた強度と信頼性を確保している。

ZZ-R1100に対抗した1997年のCBR1100XXと同様の構成となる2軸2次バランサーでエンジンの振動を軽減した。バランサーの装備は最高出力では不利になるが、それでも190PSを叩き出した。

アルミモノコックフレームをエアボックスとして活用し、ラムエアシステムを導入する車体構成はZX-12Rを踏襲。ラムエア加圧時の最高出力は200PSの大台に乗った。
車体幅を抑えるコンパクトなアルミモノコックフレーム採用
ZZR1400のフレームは、ZX-12Rでも採用されたアルミモノコックが選定された。1352ccもの排気量をもつエンジンのため、ツインチューブ形状では幅が広がりすぎてしまうためだ。基本構造こそZX-12Rと似ているもののフレームは、ZZR1400専用として進化を遂げている。
2軸2次バランサーの採用による振動の低減によって、エンジンのリジッドマウントが可能となり、必要とされる剛性を確保しながらフレームの軽量化を推進。ZX-12Rに比べて縦剛性230%、捩り剛性90%と、しなやかさと剛性を両立させつつ、フレーム単体で約2kgの軽量化を達成している。
前後長がコンパクト化されたエンジンを車体前方にマウントすることで、ホイールベースに占めるスイングアーム長も最適化。ZX-12Rと同じく燃料タンクを車体中央に配置し、シート下まで伸ばした構造とすることで低重心化も実現している。
「アルミモノコックフレームは、ZX-10Rのようなサーキット走行を主とするスーパースポーツではメリットが生かしきれないものの、車体のコンパクト化や軽量化、さらに剛性を確保するという面でも設計の自由度が広がります」と車体設計リーダーは語った。

アルミモノコックフレームと低重心燃料タンクはZX-12Rを踏襲したが、ZZRらしい街乗りや高速クルージングをメインにした、オールラウンドに使えるハンドリングとしている。

フロントは径43mmの倒立フォークにブレーキはZZRシリーズ初の径310mmペタル形状ディスクローターを採用した。5本のY字型スポークの新設計ホイールを装備する。
2006年型ZZR1400主要諸元
・全長×全幅×全高:2170×760×1170mm
・ホイールベース:1460mm
・シート高:800mm
・車重:215kg(乾燥)
・エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 1352cc
・最高出力:190PS/9500rpm
・最大トルク:15.7kg-m/7500rpm
・燃料タンク容量:22L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=190/50ZR17
この記事にいいねする